総世帯数7万4481世帯…父子世帯の実情(最新)

2021/12/02 02:54

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2021-1201父子世帯とはさまざまな理由で母親が同一世帯におらず、父親と子供のみで構成される世帯のことを指す。父子世帯は類似の環境下にある母子世帯と比べると数が少ないものの、母子世帯同様に子供の世話や金銭面でのやりくりなど多様な点で生活上の厳しさが生じており、状況の改善が促進されるべき社会問題の一つに違いない。今回は国勢調査の最新版となる2020年分の統計公開値を基に、父子世帯の実情をいくつかの観点から確認していくことにする(【2020年国勢調査】)。

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父子世帯数は7万4481世帯


【2020年国勢調査のユーザーズガイド】によれば、父子世帯の定義は「未婚、死別又は離別の父親と、その未婚の20歳未満の子供のみから成る一般世帯」とある。世間一般で見聞きされる妻との死別や、離婚による離別以外に、未婚の女性による子供(法律上の婚姻関係にない男女間で産まれた子供、非嫡出子)を父親側が引き取った結果として生じる世帯も含まれる(父親自身は子供を産めない)。

2020年時点の父子世帯数は7万4481世帯。その世帯を一番小さな子供の年齢別に区分したのが次のグラフ。父「子」世帯なので子供のいない世帯は該当しない。また、子供が20歳以上の場合も当てはまらない。

↑ 最年少の子供の年齢別父子世帯数(国勢調査)(2020年)
↑ 最年少の子供の年齢別父子世帯数(国勢調査)(2020年)

↑ 最年少の子供の年齢別父子世帯数(国勢調査、全父子世帯に対する比率)(2020年)
↑ 最年少の子供の年齢別父子世帯数(国勢調査、全父子世帯に対する比率)(2020年)

一般的には子供が幼いほど手間はかかるもの。ゼロ歳児の子供がいる父子世帯は146世帯、1歳・2歳は1032世帯。3-5歳では4454世帯。母子世帯と比べると1ケタ少ない世帯数だが、確実に存在していることに違いはない。子供の人数はともかく、最年長の子供が6歳未満(一般的には小学校に上がる前)の世帯に限ると3203世帯となる。全父子世帯に占める比率は4.3%でしかないが、子供の世話ではより苦労が生じていることがうかがえる。

その子供の数だが、父子世帯では6割近くが子供1人世帯となっている。

↑ 子供の人数別父子世帯数(国勢調査)(2020年)
↑ 子供の人数別父子世帯数(国勢調査)(2020年)

子供が2人の世帯は全父子世帯のうち1/3近く、3人以上は1割近く。金銭面でも世話の上でも、大変難儀しているに違いない。

母親との関係は


父子世帯では原則として生物学上の母親が存在していたことになる。その母親との関係を確認したのが次のグラフ。

↑ 父親の母親との配偶関係別・父子世帯数(国勢調査)(2020年)
↑ 父親の母親との配偶関係別・父子世帯数(国勢調査)(2020年)

3/4近くが離別(離婚などによるもの)、死別は2割強、未婚は4.5%にとどまっている。

これを父親の年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ 父親の母親との配偶関係・父親の年齢階層別父子世帯数(国勢調査)(2020年)
↑ 父親の母親との配偶関係・父親の年齢階層別父子世帯数(国勢調査)(2020年)

↑ 父親の母親との配偶関係・父親の年齢階層別父子世帯数(国勢調査、父親の年齢階層における父子世帯数全体比率)(2020年)
↑ 父親の母親との配偶関係・父親の年齢階層別父子世帯数(国勢調査、父親の年齢階層における父子世帯数全体比率)(2020年)

未成年の父親の場合は半数が未婚によるものだが、これは統計上のぶれが生じている可能性がある(該当年齢階層における世帯数は2)。それを除いて考えると、離別が大半で未婚や死別は少数。父親の年齢が上になるに連れて未婚や離別は減り、死別が増えていく。母子世帯の傾向とは異なる値の傾向だが、これは夫側が子供を引き取る・引き取らざるを得なくなる状況によるものだろうか。



該当世帯の周辺環境や経済的な立ち位置にもよるが、母子世帯や父子世帯は子育てなど生活面で大きな負担を背負うことになる。子供が、手間がかかる幼少時の場合は特に生活がハードなものとなる。父子世帯は母子世帯と比べると金銭面では恵まれているかもしれないが、子育ての上ではより難儀なものとなることは容易に想像ができる。

他方、児童手当や児童扶養手当、児童育成手当をはじめ、公的な支援策も多数存在している。知らずに申請をしなければ享受できないサービスも多々存在するため、専門家に相談をするなり、積極的に調べて申し込みを行い、少しでも状況改善を試みてほしいものである。厚生労働省でも【母子家庭等関係】のページで、さまざまな支援内容を説明している。ページ名は「母子家庭等関係」とあるが、ページに掲載されている各種資料は父子世帯の話も併記されていたり、「ひとり親家庭」などの表現を用い、父子世帯へのサポートへの説明もなされている。

これらの支援を受けるにあたり、気後れする必要はない。整備されている制度についてはすべて、受ける権利を持っているのだから。


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