自分と違う考え方の人と意見を交わす時、どんな態度が必要か

2017/10/05 04:51

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2017-0926人は十人いれば十人分の違った考え方がある。似たような考え方を持つ人でも細かい部分では見方の方向性が異なることも多々ある。同じような有機質で構築されている生命体でも、生まれも成長環境も経験も異なれば、一人として同じ考えを持つ人がいるはずは無い。当然、対象となる議題において、自分とは大きく見解を異にする人と言葉を交わす必要も生じてくる。その時、人はどのような態度を必要と考えているのだろうか。文化庁が2017年9月21日に発表した定期調査「国語に関する世論調査」の最新版となる2016年度分の調査結果報告書の内容から確認する(【平成28年度「国語に関する世論調査」の結果について】)。


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今調査の調査要綱は先行記事【「流行語とか外来語とか言葉の意味が分からない」言葉のやりとりで困ることあれこれ】を参考のこと。

次に示すのは自分と明らかに考え方の違う人と意見交換をする際に、どのような態度をとる必要があると思うかを尋ね、択一方式で答えてもらったもの。ソーシャルメディアの普及浸透で意思疎通が容易になった昨今では、以前よりも多分に機会が生じる話ではある。また、単純に考えが違うのみであり、対立する考えではないことに注意。

↑ 自分と考え方の違う人との意見交換に必要な態度は何か(2016年度、択一回答)
↑ 自分と考え方の違う人との意見交換に必要な態度は何か(2016年度、択一回答)

一番多い意見は「考え方の近い人と話す時よりも柔軟な態度を取る」で55.5%。杓子定規で対応すると、相手との対立が明らかとなり、意見交換ではなく単なる喧嘩討論となってしまいかねない。それを求めているのならともかく、前提は意見交換である以上、対立を生じさせるよりは、相手との意見のやり取りをしやすくするように努めるのが得策との考え。考えが同じでは無くとも、対立する、敵対するものとは限らない。また仮にそうであっても、相手を制圧する必要があるのか否かは別の話。

次いで多いのは「必要最低限の話で済ませ、余り深く関わらないような態度を取る」で28.2%。いわゆる「触らぬ神に祟りなし」というところか。他方、相手がどのような考え方をしても態度を変えないとする「特に意識しない」の回答率は11.4%でしかない。

今件につき、年齢階層別に回答率を仕切り分けし直した結果が次のグラフ。グラフの色合いは青系統が柔軟姿勢、赤系統が強固姿勢にしてある。

↑ 自分と考え方の違う人との意見交換に必要な態度は何か(2016年度、択一回答)(年齢階層別)
↑ 自分と考え方の違う人との意見交換に必要な態度は何か(2016年度、択一回答)(年齢階層別)

実際には話す議題の内容、「考え方の違い」の方向性(単に別ベクトルの考え方なのか、対立する意見なのか)、自分と相手の置かれている立場などによって態度は変化するものだが、大よそ若年層ほど柔軟な姿勢で、歳を経るに連れて強固な姿勢で臨む傾向が強いように見える。

歳を経るほど経験や実績を背景に自分の考えを持つようになるため、その自信を背景とし、他人の意見には耳を傾けない、自分の意見を頑なに押し通す姿勢を見せてしまう。時として自分の中の経験知識を絶対視し、現状の環境に対応すべき情報のアップデートを拒否してしまう。そのアップデートでやもすれば、自分の価値観や経験が否定されかねないからだ。

歳を取るほど聞く耳を持たなくなる、頑固さが際立つようになる。よく言われる話だが、今件調査項目の結果からも、その現象に納得が行くのは当方だけではあるまい。


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