東・北日本の悪天候は相変わらず…熱中症による搬送者数は1週間で773人(2017年9月4日-9月10日)

2017/09/12 11:00

総務省消防庁は2017年9月12日、同年9月4日から9月10日の一週間における熱中症搬送人数が773人(速報値)であることを発表した。今年分は5月1日から熱中症による搬送人数の調査を始めており、消防庁が掌握している累計人数は5万1385人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は幸いにも居なかったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は11人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2017年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2017年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値(一部確定値)・2017年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値(一部確定値)・2017年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2017年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2017年)

今夏の電力事情に関して政府による決定前の専門委員会決定を元に精査した記事【今年の夏も電力利用制限の要請はない、とのことだけど】などで解説の通り、今年の夏も法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請、さらに数字目標無しの節電要請ですら必要はないとの報告が当委員会の公開報告書でなされている。そして2017年5月12日付で【「2017年度夏季の電力需給対策について」】が発表され、委員会の報告書通り今夏においては節電に関する特別な令、要請の類は行われないこととなった。もっとも「大規模な電源脱落や想定外の気温の上昇による需要増に伴う供給力不足のリスクがあることに十分留意が必要な状況」との解説にもある通り、震災から6年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また気象庁が発表している(当時の)3か月予報では、全国的に高めの気温となる可能性が高いとの話が出ていた。降水量は東日本・西日本ではやや多いともあるが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないことに変わりは無い。さらにここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

↑ 3か月の平均気温・降水量予報(2017年6月23日発表時点)
↑ 3か月の平均気温・降水量予報(2017年6月23日発表時点)

消防庁では【熱中症による搬送者数の計測、今年は5月1日から】にある通り、昨年と同じように今年は熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について、5月1日から開始して逐次報告を行うことになった(終了日は10月1日)。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

今回発表された各種値は今年の分としては第19週目のものとなる。現時点では速報値であり、今後逐次確定値に切り替えられることになる(確定値は速報値よりもいくぶんの増加がなされることが多い)。

今回計測週では台風15号・16号は相次ぎ熱帯低気圧に変わり、日本への直接の影響は与えなかったものの、すでに季節感は秋のドアを叩いており、沖縄・奄美地方を除けば気温が上がっても真夏日を計上することはあまり無くなった。他方、5日から7日にかけては前線の影響もあり、関東でも秋雨を確認するなど不安定な天候が続いている。また、西日本はともかく東日本・北日本における天候不良ぶりは相変わらず。

昨今気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.300(2017年8月) 】によれば、「エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続いている」「秋または冬にラニーニャ現象が発生する可能性もある(40%)が、平常の状態が続く可能性の方がより高い(60%)」とのこと。現状では熱中症搬送者計測期間(9月いっぱいまで)の気候に影響する可能性はほぼなさそうではある。

なお今回週は少年区分の搬送者比率が有意に増えているが、これは9月10日に発生した熊本県の高校における体育大会の最中での集団熱中症事案など、学校行事の最中によるところが大きい(【高校の体育大会で生徒10人搬送 熱中症か 熊本(NHK)】)。毎年9月に入ると夏休みを終えた小中高校生らによる運動会や体育祭、部活動の最中における熱中症発症が多発する傾向がある。集団行動で身体の不調を訴えにくいとの理由もあろうが、当人だけでなく見守る大人たちも十分以上の留意が必要だ。

地域別では沖縄県での60人をはじめ、愛知県の50人、東京都の38人などが続く。人口密集地域の他、天候不良が続く北・東日本では無く、残暑が継続している西日本で搬送者数が多い傾向が見受けられる。

↑ 東京都の最高気温と天候(2017年9月4日-9月10日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2017年9月4日-9月10日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2017年9月4日-9月10日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2017年9月4日-9月10日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2017年9月4日-9月10日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2017年9月4日-9月10日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月20日から開始している(昨年は4月25日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

電力需給の観点では電力使用に関する制限の類が成されなくなったのは幸いだが、電力需給に関する警戒心は今なお有しておく必要があることに違いは無い。また電気代の生活費への負担懸念から、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もあり、高齢者のエアコン忌避は単に節約心によるものだけとは限らない)。

すでに9月も半ばに入り、そこかしこで秋の気配を感じることができる時期となった。それでも多くの人が冷房の稼働や体力の調整などに十分注意しているはずだが、自分自身だけでなく周囲の人も合わせ、油断は禁物。特に前述の通り、子供の集団行事では大人たちによる、子供に無理をさせない姿勢と十分な注意が欠かせない。また、夜半においては涼しいからと適切な温度管理と冷房の用意を怠っていると、自分が気が付かないうちに水分不足の状態となり、熱中症の状態となることもある。引き続き知識、ノウハウを再確認し、自身の体力を過信することなく、さらには周囲への配慮も怠りなく、熱中症への備えを心掛けてほしいものだ。


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