9月に入り秋の足音も…熱中症による搬送者数は1週間で1410人(2017年8月28日-9月3日)

2017/09/05 10:00

総務省消防庁は2017年9月5日、同年8月28日から9月3日の一週間における熱中症搬送人数が1410人(速報値)であることを発表した。今年分は5月1日から熱中症による搬送人数の調査を始めており、消防庁が掌握している累計人数は5万0612人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は1人が、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は30人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2017年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2017年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値(一部確定値)・2017年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値(一部確定値)・2017年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2017年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2017年)

今夏の電力事情に関して政府による決定前の専門委員会決定を元に精査した記事【今年の夏も電力利用制限の要請はない、とのことだけど】などで解説の通り、今年の夏も法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請、さらに数字目標無しの節電要請ですら必要はないとの報告が当委員会の公開報告書でなされている。そして2017年5月12日付で【「2017年度夏季の電力需給対策について」】が発表され、委員会の報告書通り今夏においては節電に関する特別な令、要請の類は行われないこととなった。もっとも「大規模な電源脱落や想定外の気温の上昇による需要増に伴う供給力不足のリスクがあることに十分留意が必要な状況」との解説にもある通り、震災から6年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また気象庁が発表している(当時の)3か月予報では、全国的に高めの気温となる可能性が高いとの話が出ていた。降水量は東日本・西日本ではやや多いともあるが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないことに変わりは無い。さらにここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

↑ 3か月の平均気温・降水量予報(2017年6月23日発表時点)
↑ 3か月の平均気温・降水量予報(2017年6月23日発表時点)

消防庁では【熱中症による搬送者数の計測、今年は5月1日から】にある通り、昨年と同じように今年は熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について、5月1日から開始して逐次報告を行うことになった(終了日は10月1日)。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

今回発表された各種値は今年の分としては第18週目のものとなる。現時点では速報値であり、今後逐次確定値に切り替えられることになる(確定値は速報値よりもいくぶんの増加がなされることが多い)。

今回計測週では前週に続き沖縄・奄美地方では発達したチベット高気圧や太平洋高気圧の影響を受けて高温が続き、西日本でも残暑を実体感できる暑さが続いたものの、台風15号の接近に伴い、次第に秋を思わせる気温を示す日も見られるようになった。他方東日本から北日本にかけては相変わらず天候は今一つで、さらに台風15号の接近に伴い雨が降る地域も多々見られたが、関東などでは日曜には台風一過となり久々に晴れ模様となった。しかしながら夏の暑さはすでに過ぎ去り、気温は低めのまま推移している。

なお気象庁では9月1日付で梅雨入り・梅雨明けの時期の確定報【平成29年の梅雨入り・明けと梅雨の時期の特徴について】を発しているが、それによれば東北地方は北部・南部共に「梅雨明けの時期を特定できなかった」という結果となった。梅雨明けが東北で特定できないのは2009年以来8年ぶりのこととなる。日照時間も各地で短い値を計上しており、少なくとも北日本において、今年の夏が熱中症の観点では過ごしやすかったことを再確認させられる。

他方8月28日付で【沖縄・奄美の長期間の高温と少雨に関する全般気象情報 第2号】も発せられており、同地域が今夏は非常に厳しい暑さに見舞われており、それが9月中旬ぐらいまで続く可能性があることが警告されている。「熱中症の危険が高まりますので、健康管理に十分に注意してください」と明記されており、今後も引き続き注意が必要である。

昨今気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.299(2017年7月)】によれば、「エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続いている」「今後冬にかけて平常の状態が続く可能性が高い(60%)」とのこと。現状では夏の気候に影響する可能性はほぼなさそうではある。

地域別では愛知県の129人を始め、大阪府の96人、東京都の94人、兵庫県の73人などが続く。西日本地域が多いように見えるのは、やはり天候が東西日本で大きく食い違い、西日本がよく晴れ気温も高かったからだろう。

↑ 東京都の最高気温と天候(2017年8月28日-9月3日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2017年8月28日-9月3日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2017年8月28日-9月3日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2017年8月28日-9月3日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2017年8月28日-9月3日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2017年8月28日-9月3日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月20日から開始している(昨年は4月25日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

電力需給の観点では電力使用に関する制限の類が成されなくなったのは幸いだが、電力需給に関する警戒心は今なお有しておく必要があることに違いは無い。また電気代の生活費への負担懸念から、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もあり、高齢者のエアコン忌避は単に節約心によるものだけとは限らない)。

すでに9月に入り、そこかしこで秋の気配を感じることができる時期となった。それでも多くの人が冷房の稼働や体力の調整などに十分注意しているはずだが、自分自身だけでなく周囲の人も合わせ、油断は禁物。また、夜半においては涼しいからと適切な温度管理と冷房の用意を怠っていると、自分が気が付かないうちに水分不足の状態となり、熱中症の状態となることもある。引き続き知識、ノウハウを再確認し、自身の体力を過信することなく、さらには周囲への配慮も怠りなく、熱中症への備えを心掛けてほしいものだ。


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