財政健全化は実のところどれほど望まれているのだろうか(最新)

2017/09/03 05:16

2017-0901政治や経済の論議の中でよく話題に登るのが「財政健全化」。「プライマリーバランスの改善、黒字化」とも表現され、国そのものの収支勘定において入るお金(税収)と出ていくお金(公的事業への支出)を均等化しようとするものである。現状では税収だけでは不足する分を国債の発行でまかなっているが、それは良くない、均等化こそが健全な状態だとし、税収を増やす・公的支出を減らして調整しようとの話。この「財政健全化」を多くの国民か切に願っているとの印象もあるが、実態としてはどうなのか。内閣府が2017年8月28日に発表した、定点観測的に調査を行っている「国民生活に関する世論調査」の最新版となる2017年版などから確認していく(【発表リリース:国民生活に関する世論調査】)。

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どのような層が「財政健全化」を強く望むのか


調査要件などは先行記事【政府への要望、社会保障に景気対策、高齢社会対策(最新)】を参考のこと。

まず最初に示すのは直近年分の政府への要望の一覧。提示された選択肢の中で「財政健全化」は19.0%の人が要望している。順位としては18番目。上位には先行記事で挙げた「医療・年金等の社会保障の整備」「景気対策」「高齢社会対策」「雇用・労働問題への対応」「防衛・安全保障」「少子化対策」などが並ぶ。

↑ 政府に対する要望(2017年7月)
↑ 政府に対する要望(2017年7月)

喧伝される勢い、声の大きさからすれば、意外な値には違いない。

この「財政健全化」を求める声の大きさをいくつかの属性別で見たのが次以降のグラフ。

↑ 政府に対する要望(2017年7月、財政健全化の推進)(居住地都市規模別)
↑ 政府に対する要望(2017年7月、財政健全化の推進)(居住地都市規模別)

↑ 政府に対する要望(2017年7月、財政健全化の推進)(性別・年齢階層別)
↑ 政府に対する要望(2017年7月、財政健全化の推進)(性別・年齢階層別)

居住地都市規模別では東京都区部で大きな値が出ているなど、人口密集地ほど高い値が出る傾向がある。町村部では14.7%でしかない。

男女別では圧倒的に男性の方が高く、年齢階層別では現役世代層で大よそ一定値、若年層と引退世代で低めの値。

↑ 政府に対する要望(2017年7月、財政健全化の推進)(就業上の地位別)
↑ 政府に対する要望(2017年7月、財政健全化の推進)(就業上の地位別)

就業上の地位別では無職の具体的内容で無回答者が高い値だが、これは該当人数が3人しかいないための統計上のぶれ。それ以外では大よそ低めだが、雇用者と主夫が高い。

↑ 政府に対する要望(2017年7月、財政健全化の推進)(職業別)
↑ 政府に対する要望(2017年7月、財政健全化の推進)(職業別)

職業別では管理職や管理・専門技術・事務職、専門・技術職などが高い。金銭勘定の機会が多い人が高いとの印象がある。

属性別動向としては「中堅以降の現役世代」「都市圏居住者」「雇用者」「管理職などお金の勘定を良くしている人」に高めの傾向が出ている。とはいえ、多くても1/4程度ではあるのが実情。

経年変化では


現状では以上のような結果ではあるが、それでは過去ではいかなる想いが寄せられていたのか。1998年以降の全体値の値動きを示したのが次のグラフ。

↑ 政府に対する要望(財政健全化の推進、2009年までは財政構造改革)
↑ 政府に対する要望(財政健全化の推進、2009年までは財政構造改革)

2010年で大きく値が伸びている。これはグラフタイトルにもある通り、この年から選択肢の記述を「財政構造改革」から「財政健全化の推進」に変更したため。しかしその年の値がピークとなり、以後は大よそ漸減しているのが実情である。



「財政健全化」に関しては国の経済的信用を維持するのに欠かせない、健全化を果たすことは次世代への責務だ、デフォルトの可能性がある、国債こと「国の借金」に頼るのは問題だとの意見が強い。他方、統合政府の概念で考えるべきだ、「国の借金」の考え方そのものが筋違いである、発行した国債を国の機関である日本銀行が買い取りをする行為は、欧米が経済の立て直しのために似たような事をしているのになぜ日本だけ非難されるのか、収支バランスが崩れたのは主に高齢者向けの社会保障によるものだから、根本的に解決しようとするならその部門を削ることになるがそれでも良いのか、さらに「財政健全化」は国の経済の安定化のために成すものであり、それを成すために経済を弱体化させたら本末転倒ではないかなど(欧州の某国が良い例)、多様な意見がある。

その賛否はさておくとして。「財政健全化」は国民からの要望としては、優先順位はこのような結果ではある。少なくとも「国民の大きな声として」とは言い難いのが実情だろう。


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