世界の動画・音楽配信の市場規模実情をグラフ化してみる(最新)

2018/07/13 04:57

2018-0707総務省は2018年7月3日付で2018年版となる最新の【情報通信白書】を公開した(【発表リリース:平成30年「情報通信に関する現状報告」(平成30年版情報通信白書)の公表】)。構成要素の一部は各種記事で精査した調査結果「通信利用動向調査」を基にしているが、他にも色々な調査結果や資料を収録している。今回はその中から、世界全体における動画配信や音楽配信の市場規模の現状と近未来予想に関するデータを再確認する。

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まず最初に示すのは、世界の動画配信市場の規模や契約数の現状と2020年までの予想。2017年までが確定値で2018年以降は予想値。データの一次ソースはアメリカ合衆国の情報調査機関IHS Markitのテクノロジー部局IHS Technologyとなっている。

↑ 世界の動画配信市場規模・契約数(2018年以降は予想値、億ドル・億契約)
↑ 世界の動画配信市場規模・契約数(2018年以降は予想値、億ドル・億契約)

インターネットによる配信ビジネスではどの国、どの業界でも大よそ似たような流れを示しているが、動画配信も当初は無料で提供・広告収入で利益を得るような、広告収入型のモデルが主流だった。有料配信ができるほどの品質も、利用客も確保するのが難しいとの思惑によるものだろう。しかし技術の進歩による動画の品質向上とインターネット利用者そのものの増加に伴い、有料の配信サービスが認識され、利用される機会も増えてくる。

また有料配信サービスもDVDなどの有形媒体によるビジネスのような、単作品単位のダウンロード課金から、定額制で一定枠内のコンテンツを自由に選択して何度でも視聴できるサブスクリプションのスタイルが多く使われるようになっている。

あくまでもIHS Technologyの予測だが、今後も売り切り的な動画配信よりも、定額制による視聴環境提供型の動画配信ビジネスの方が成長率は高く、利用者も伸び続けるようだ。2014年時点で定額制の売上は動画配信の売上全体の54.5%でしかなかったが、2020年の予想値では実に88.3%にまで達している。

音楽配信市場ではより顕著な形で、ビジネスモデルの大規模なシフトが確認できる。

↑ 世界の音楽配信市場規模・契約数(2018年以降は予想値、億ドル・億契約)
↑ 世界の音楽配信市場規模・契約数(2018年以降は予想値、億ドル・億契約)

日本の音楽市場に限っても、物理メディア市場の低迷、デジタル配信市場が従来型携帯電話向けからパソコンやスマートフォン用の買取型ダウンロード販売へ、そしてダウンロード販売から定額制の聴き放題環境提供型(サブスクリプション)へと劇的な変化を示している。その動きは何も日本に限った話では無く、世界的な傾向のようだ。IHS Technologyの観測では売り上げの点で2016年の時点でダウンロード販売と定額制の売上額が逆転し、その後も差は開くばかりであるとしている。音楽配信では2014年時点で定額制の売上は全体の34.7%でしかなかったが、2020年の予想値では76.5%。利用実情や日本の市場動向を見る限りでは、これですら抑えた予想の値の感すらある。



食事や衣服、趣味の他ジャンルでも同様の発想は容易にできるのだが、飛びきりのお気に入りの対象を一点買いするケースは少なくないものの、それ以外ならば大よそ自分の思惑に当てはまるような内容であれば、どれでもよい、大よそ満足してしまう。バイキング料理を楽しむようなものだ。人の好き嫌いの特性の上では、定額制は理想のサービス形式の一つなのだろう。

他方定額制では構成される創作物への対価が十分では無いとの指摘も多い(元々単品買いによるリターンを前提としていたのだから当然だが)。定額制サービスの普及が進むにつれ、作り手と配信サイドとの間のあつれきをどのような形で解消していくかが、今後大きな課題となるに違いない。


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