うなぎは誰が買っているのか…うなぎの購入性向をグラフ化してみる(最新)

2018/06/26 05:04

2018-0625毎年土用の丑の日が近づくに連れ、巷ではうなぎ商品が満ちあふれ、同時にうなぎの絶滅危惧種問題と乱獲への懸念が叫ばれる。今回は【日々のチョコレート購入性向をグラフ化してみる】と同様に、総務省統計局の定点調査である【「家計調査」】の公開値を用い、どのような層がうなぎを食べているのか、つまり需要層となっているのかを確認することにした。

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夏の土用の丑の日(毎年1回、あるいは2回)には、うなぎを食べて精をつけよう、夏の体力不足に備えようとの習慣がある。これは通説では江戸時代の平賀源内が(夏には味が落ちているので売り上げも減退することから)困っていたうなぎ屋にセールスコピーとして、「本日丑の日(なのでうなぎを食べましょう)」的な提案をしたところ、大いに売り上げがあがったのがきっかけだとされている。また丑の日に「う」がつく食べ物を食べて夏バテを防ごうとの風習もあり、うなぎ以外でも「う」がつけば何でもよかった(うどんや瓜、うさぎ、馬肉、牛肉など)との話もある。

実のところ、うなぎは滋養があるため夏バテ防止には適しているものの、江戸時代ならともかく現在では栄養摂取量も増え、食品も多様にあるため、わざわざうなぎに限定して夏バテ防止を推し量る意味合いは無い。

まずは実際に、どれほどまでに土用の丑の日にうなぎが買われているかを、家計調査から確認する。日次支出額が確認できる二人以上世帯における、2017年の土用の丑の日である7月25日を含む7月の動向が次のグラフ。対象品目は「うなぎのかば焼き」。うなぎ関連ではこの項目のみが計上されている。

↑ 二人以上世帯における日次支出額(うなぎのかば焼き、円)(2017年7月)
↑ 二人以上世帯における日次支出額(うなぎのかば焼き、円)(2017年7月)

前日の7月24日も80.72円とやや大きめの値が出ているが、当日7月25日は言葉通りけた違いの値が出ている。土用の丑の日におけるうなぎは、得てして当日購入するのが一般的のようだ。食べるスタイルを考えれば当然の話ではあるが。

さてこれをいくつかの属性別に仕切り分けし、その実情を見ていく。支出額を詳しく確認できるのは年ベースのみなので、まずは二人以上世帯(原則夫婦世帯)における、2017年の一年間のうなぎのかば焼きに対する支出金額と購入頻度を示したのが次のグラフ。

↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(うなぎのかば焼き、年間、世帯主年齢階層別)(2017年)
↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(うなぎのかば焼き、年間、世帯主年齢階層別)(2017年)

↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(うなぎのかば焼き、年間、世帯年収別)(2017年)
↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(うなぎのかば焼き、年間、世帯年収別)(2017年)

あくまでも年ベースでの値なので土用の丑の日に向けた購入額とはそのまま結びつくわけでは無いが、日々うなぎを食べる状況も考えにくいので、大よそ土用の丑の日におけるうなぎの購入動向と連動していると見てもよいだろう。年齢階層別では非常にきれいな形で、高齢層ほど高うなぎ率の結果が出ている。30代までは極めて低く、40代から上昇、50代以降は1世帯あたり1回以上はうなぎのかば焼きを購入し、該当属性の世帯平均購入金額もうなぎ上りとなっていく。「若者のうなぎ離れ」とでも呼びたくなるような結果であり、見方を変えればうなぎを積極的に購入している、こだわっているのは高齢者となる。

他方世帯年収別では1250-1500万円未満で支出金額が高め、1500万円以上で購入頻度と支出金額が高めの結果が出ているが、それ以外では世帯年収による傾向が導き出しにくい結果となっている。大よそは年収とうなぎの購入との間には連動性は無さそうだ。

これを単身世帯で見ると、より明確な傾向が出る。なお単身世帯では購入頻度に関わる指標は無い。

↑ 単身世帯における支出金額(うなぎのかば焼き、年間、世帯主年齢階層別、円)(2017年)
↑ 単身世帯における支出金額(うなぎのかば焼き、年間、世帯主年齢階層別、円)(2017年)

↑ 単身世帯における支出金額(うなぎのかば焼き、年間、世帯年収別、円)(2017年)
↑ 単身世帯における支出金額(うなぎのかば焼き、年間、世帯年収別、円)(2017年)

購入単価を考えれば若年層ではほとんど買われておらず、中年層でも数世帯に一件あるか否か。他方高齢層では多くの世帯で購入していることが予想できる結果が出ている。他方、世帯年収別では法則性の類は見いだせない。世帯年収200万円台の世帯が最高値を示しているほど(もっともこれは一人暮らしの年金生活者などによるもの、つまり高年齢層に傾向が引っ張られている感は強い)。

最後に地域別。こちらは総世帯における年間支出金額を用いている。

↑ 総世帯における支出金額(うなぎのかば焼き、年間、都道府県別、円)(2017年)
↑ 総世帯における支出金額(うなぎのかば焼き、年間、都道府県別、円)(2017年)

全国平均では2208円。最低値は山口県の689円、次いで新潟県の763円。最高値は京都府の3758円、次いで和歌山県の3735円、奈良県の3552円、鹿児島県の3150円までが3000円超。鹿児島県のようにうなぎの産地として有名なところもあるが、静岡県が全国平均よりは高いものの2702円に留まっているなど、地域属性が強い影響を与えているのは限定的のようにも見える。ましてや都道府県別の人口を考えれば、各地の支出金額総額のランキングは別のようになるのは容易に想像できる(試算では東京都の値がトップとなっている)。



以上の動向から、少なくともうなぎのかば焼きに限れば、恐らくは土用の丑の日にも高齢層が好んで食していることが推定できる。実際に土用の丑の日における商店での購入性向や、話題として語る傾向を見ても、シニア層が好んでいそうな状況は容易に確認できるため、その通りの結果が出たことになる。

「土用の丑の日はうなぎを食べよう」との話は文化的なものだから仕方が無い云々の話もよく見聞きするが、元々は江戸時代のコピーライターによるものがきっかけであったに過ぎない。現在では栄養補強・夏バテ防止の類は他にも方法は山ほどある。「うなぎを食べて夏を乗り切ろう」的な話は、それこそ時代錯誤。また、うなぎの絶滅が危惧される中で、文化だから云々と食い尽くすかのような商いを成し、種を、文化の元ネタを滅ぼしかねない状況なのは、まさに本末転倒。

高齢層は「これまでずっと習慣でやってきたのだから」とのこだわりが強いのだろう。これは土用の丑の日にうなぎを食する慣習に限らず、インターネットの利用をはじめ、多様な生活様式に当てはまる話ではある。意固地、わがままとも表現できるこだわりで、多方面に迷惑をかけるような行為は慎むべきだとは思うのだが。

「それでも土用の丑の日に精をつけるものを食してげん担ぎをしたい」というのなら、他に「う」がつく食材なり、うなぎの代替品を食すればよいまでの話。うなぎで無ければ夏バテ防止にならないわけでは無いのだから。


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