2017年4月度外食産業売上プラス4.7%…8か月連続して前年比プラスを計上

2017/05/25 15:00

日本フードサービス協会は2017年5月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2017年4月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス4.7%を計上した。年度頭の各種イベントが盛り上がり、客数の増加が生じ、売上を底上げする形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が185、店舗数は3万33682店舗。今月は前月と比較すると事業社数は減少、店舗数は増加している。

全業態すべてを合わせた2017年4月度売り上げ状況は、前年同月比で104.7%となり、4.7%の増加を記録した。これは先月から継続する形で8か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日多く、土曜日は1日少なかったため、売上にはいくぶんプラスに働いたようだ。一方気象状況では東京・大阪共に雨天日数は前年より少なく、平均気温は低いため、客足面ではプラスマイナスゼロ、あるいは多少ながらもプラスに影響を与えたもよう。特に今回月は年度頭の月であることから、お花見や歓迎会の需要があり、大いに客足の増加に貢献したと考えられる。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で17か月連続のプラス(プラス7.1%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、該当月では消費者参加型のプロモーションの展開や季節限定商品などで売上を大きく伸ばし、洋風全体のけん引すら果たす形となった。今回月では洋風は客単価がプラス0.2%、客数はプラス8.8%となり、売上高は9.0%のプラス。コメントには「各社新メニューやキャンペーン商品等が好調」とあり、先月に続きキャンペーンが売上をけん引しているようだ。

マクドナルド単体の2017年4月における営業成績はプラス12.7%(売上、既存店、前年同月比)と大規模な上げ幅を示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる(前年同月における前年同月比はプラス21.3%。反動の類は無い)。なお同業他社のモスバーガーではプラス2.3%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス3.5%、客単価はプラス3.5%と成し、売上はマイナス0.1%とプラスを計上。「定食メニューが引き続き好調であったが、毎週末の販促キャンペーンが雨天と重なる場合が多く客数減」とリリースにあり、運の無さが売り上げに響いたようだ。「その他」では「アイスクリームが携帯会社とのコラボキャンペーンで客数が大幅上昇」とあり、これは4月いっぱい行われたソフトバンクのスマートフォン向けのサーティワン・アイスクリームギフト券プレゼントキャンペーン「春のアイスクリームまつり」によるものと思われる。結果、客数がプラス50.7%と大幅に増加し、売上高も12.0%のプラスを計上した(客単価はマイナス26.7%)。

ファミリーレストラン部門は大よそ客単価は前年同月比でゼロから1%位までのプラスを計上し、客数も同じような伸び率。ただし焼肉では客数がプラス7.5%と大きく伸び、全体をけん引する形となった。「歓迎会需要などを取り込み集客好調」とコメントにあり、かつては居酒屋が取り込んでいた需要を焼肉が確保しつつある現状がうかがえる。

パブ/居酒屋部門では休日前の日数が前年より少ない中で健闘したが、居酒屋では店舗数の減少もあり客数が伸び悩み、売上はマイナス1.5%。結果としてパブ/居酒屋部門全体ではマイナス0.2%となり、マイナスを示す形となった。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は6.1%のプラス、客単価はマイナス0.9%で売上はプラス5.2%を示した。

今回月で3回目となるプレミアムフライデーの影響だが、具体的な数字となって表れるほどの影響は無かったようで、解説コメントには文言は一切確認ができなかった。ゴールデンウィークと重なったこともあり、前年以上に外食利用機会が高まる機会は無かったのだろう。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年4月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年4月分)

気象環境・日取り共に
微妙なポジティブ。
ファストフードは大堅調
ファミレスはまちまちだが
焼き肉が強し。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻りつつあるか、今後どこまで良い数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。ただし吉野家は単価と客数のバランス調整に難儀しており、他の主要チェーン店に後れを取る状況が続いている。また、今回の「その他」内のサーティワン・アイスクリームにおけるキャンペーンのように、集客を見込める領域とのイベントの成果が数字となって表れており、今後もこの動きを見た他業社が追随しそうな感はある。

ファミレスは2016年以降は、それまでのような好調さとは雰囲気に変化が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。さらに今後禁煙の動きが加速するに連れ、マイナス要素がまた一つ加わる可能性はある。「多様なメニューが少量で、安価で注文できる」との居酒屋独自のメニュー展開の上では、子供連れにもマッチしそうな感はあるが、その役割は焼き肉店やファミレスがすでに確保しているとの見方もあり(さらには回転寿司もその座を狙う動きを見せている)、実情は難しい。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的(ただしファミレスも上記の通り2016年以降は成長が足踏み状態にある)。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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