従来型携帯電話とスマートフォンのインターネット利用状態をグラフ化してみる(2016年)

2016/10/19 11:00

従来型携帯電話の高性能ぶりが仇となり欧米から数年遅れる形となったが、日本でもようやく携帯電話の主流が従来型からスマートフォンへとシフトしつつある。スマートフォンに利用機種が移行されるもっとも大きな理由は、インターネットへのアクセス機能のケタ違いの向上ぶりにあるわけだが、それでは現時点において、携帯電話を用いたインターネット利用状況はどのようなパワーバランスにあるのだろうか。総務省が2016年8月18日に詳細を発表した「通信利用動向調査」を基に、その実情を確認していくことにする(【発表ページ:通信利用動向調査】)。

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若年層では圧倒的にスマホ、60代後半でようやく従来型が逆転


今調査の調査要項は先行記事【自宅パソコンのネット接続回線の種類をグラフ化してみる】で解説済みなので、そちらを参考のこと。

次以降に示すのは、該当利用端末を「モバイル系端末(従来型携帯電話以外にスマートフォンを含み、タブレット型端末は含まない)」に限定した「インターネットの利用率」。また各値は全体比(未回答者除く)における値。例えば「全体の従来型携帯電話のみの値は11.9%」と出ているので、調査対象母集団全体(携帯電話保有者やインターネットの利用者限定では無い)の11.9%が、過去一年間においては従来型携帯電話のみでインターネットを利用した経験があることになる。

↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(年齢階層別)(2015年末)
↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(年齢階層別)(2015年末)

若年層におけるスマートフォンの浸透ぶりが目に留まる。13-19歳では従来型携帯電話と併用している人も合わせると78.4%と8割近くに至る。そして20代になると従来型携帯電話からの乗り換え(かつそのまま併用)をしている人も合わせ、9割を超える。従来型携帯電話のみの利用者は3%にも満たない。

30代以降は従来型携帯との併用も合わせ徐々にスマートフォンのネット利用者は減り、60代後半になると2割を切る。また、従来型・スマートフォンの利用率の転換点は60代の前半と後半。表現を変えれば、60代後半以降の「携帯電話によるインターネット」は「従来型携帯電話」経由メインであって「スマートフォン」メインでは無い。

高年収ほど高利用率


続いて所属世帯の年収別利用性向。これは大方の予想通り、年収が高くなるほどモバイル系端末によるインターネット利用率は増加する。

↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(所属世帯年収別)(2015年)
↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(所属世帯年収別)(2015年)

【スマートフォンとタブレット機、月次支払額はいくら位?】などで解説している通り、そして多くの人が実体験しているように、従来型携帯電話よりスマートフォンの方がランニングコストは大きい。昨今、スマートフォンに近い機能を持ち、従来型携帯電話に近い料金プランを活用できる「ガラホ」や、仮想移動体通信事業者(MVNO)によって提供されるSIMカードを白ロム端末やSIMロックフリー端末に用いてスマートフォンとして使用することでコスト軽減を図る「格安スマホ」に注目が集まっているのも、ランニングコストによるところが大きい。低年収の方がやりくりが厳しくなるため、スマートフォンまで手が出せない状況が確認できる。

年収が一定ラインに達すると、スマートフォン「のみ」の所有率はさほど変化が無くなり、従来型携帯電話との併用が増え、これが全体的な利用率をわずかだが増加させる要因となる。もっとも、従来型携帯電話の利用率(併用者との合算)が高年収ほど高めに出るのは、高齢層ほど高年収で、同時に従来型携帯電話の利用率が高いのも一因ではある。

ともあれ直近に限れば、世帯年収による携帯電話の利用率において、600万円以上はほぼ同率となる。600万円未満の世帯における低迷こそが、携帯電話経由での情報格差の問題、そして解消すべきポイントといえよう。

世帯構成別の動向を確認


最後に世帯構成別。回答者の所属する世帯の構成別で、利用性向にどのような変化が生じるかを見たものだ。

↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(世帯構成別)(2015年)
↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(世帯構成別)(2015年)

単身世帯(非高齢者。高齢者は60歳以上)では金銭的にも余裕があり、自分で操作技術を習得できる場合も多く、携帯インターネット利用率全体も、さらにはスマートフォン利用率も高い。一方同じ単身世帯でも高齢者のみでは、操作などを教えてもらえる機会も少なく、また自分の日常生活で携帯電話を利用する限りにおいては従来型携帯電話で満足していることもあり、スマートフォンの利用はごく少数となっている。そもそも論としてモバイル系端末によるインターネットへの利用機会自身があまりない。

ところが同じ高齢者でも、二世代に渡る世帯の構成員となると、高齢者単身世帯と比べてスマートフォンによる利用率がそれなりに高い値を示すようになる。回答者本人が高齢者でも、子供などに教えてもらえる機会がありえるため(無論双方とも高齢者の場合もあるが、互いに教え合うことで、一人よりははるかに楽になる)、技術的ハードルを超えやすいものと考えられる。



世間一般のイメージは「従来型携帯電話=古い、前世代」「スマートフォン=新しい、新世代」。企業の戦略もそれに従う形で、全面的にスマートフォンをプッシュしている。携帯電話事業者による季節ごとの新商品ラインアップは、そのほぼすべてがスマートフォンで占められている(従来型携帯電話の新作が登場しない場合すらある)。

しかしタッチパネルの操作問題や、スマートフォンが「携帯電話」としてよりはむしろ「パソコン」に近いツールであることから、シニア層へのトラブルが懸念されるのも事実。また、利用スタイルの上で、現在のスマートフォンのような高・多機能は必要とせず、その実装にかかるコストの負担は大きすぎるとの意見も少なくない。

昨今では冒頭で言及の通り、スマートフォンと従来型携帯電話の中間的な立ち位置の「ガラホ」や「格安スマホ」がスマートフォンの代替的な立場として注目を集めている。特に後者は実質的にはスマートフォンと同じため、統計ではスマートフォンとしてカウントされることも多い。今後大きな伸びしろが期待できるのは、低コストを望む層に受け入れられやすい、「格安スマホ」とみてもよいかもしれない。各スマートフォン周りの値の上昇にも、小さからぬ貢献を果たすだろう。


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