受け取った郵便物数は138.7億件、荷物は40.9億件…郵便物の配達数の推移(最新)

2023/09/30 02:43

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2023-0929日本国内ならば原則的にどこへでも均一料金で郵便物を配達する郵便事業は、情報や物資の伝達を担うインフラとして欠かせない存在。一方で昨今では携帯電話やインターネットの普及に伴い、情報伝達手段としての優位性が失われ、利用機会が減少しているのも否めない。日本郵便でもここ数年、相次ぎ郵便物の料金の改正(値上げ)が行わているが、利用者の減少が一因であることは明らかである(無論人件費の上昇や大型郵便物の再配達などによるコスト増も要因だが)。そこで日本の郵便事業における郵便物の配達数動向を日本郵便などの公開データを基に確認し、郵便の利用実情を推し量ることにする。

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配達数のピークは2001年度


検証する値は引受郵便などの件数。要は郵便局で配達のための引受を行った件数。事故などによる喪失事例もゼロではないが、ほぼ配達数と同じとなる。また、内国(国内向け)に加え、海外向けへの郵便物となる国際(差立=郵便物などの発送)を合算したものが、引受郵便物の総数となる。もっとも件数はけた違いで内国の方が多いため、総数の動向はほぼ内国と同じとなる。

各種データの取得元は日本郵政グループのウェブサイトに収録されている旧日本郵政公社 統計データベース、および日本郵政グループが毎年発行しているディスクロージャー誌やその関連資料。現時点では2022年度(2022年4月から2023年3月まで)の値が最新値となっている。

データベース上では1871年度からの値(戦中から戦後一時期は未収録)が収録されているため、全期間、および戦後に限った総数の動向を確認する。また、同一グラフに収めるとほぼ底辺をはう形となる国際(差立)に関し、戦後の値を確認する(戦前分は収録されていない)。

↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、内国と国際(差立)合算、億件)
↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、内国と国際(差立)合算、億件)

↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、内国と国際(差立)合算、億件)(1946年度以降)
↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、内国と国際(差立)合算、億件)(1946年度以降)

↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、国際(差立)、億件)
↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、国際(差立)、億件)

戦前は1910年代後半までは大人しい伸び率だったが、その後急速な盛り上がりを見せた後はほぼ50億件前後の横ばいで推移する。戦後に入ると当初は戦前の半数程度にまで落ちていたがその後は利用件数が急速に増え続け、前世紀末でやや上昇度合いがゆるやかになるものの、2001年度にはピークの263.1億件となる。その後は緩やかな下り坂を見せていく。タイミング的に民営化が一因の可能性はあるが、むしろインターネットの普及に伴う情報伝達手段としての立ち位置の相対的な下落が、大きく影響していると考えた方が道理は通る。

直近の2022年度は138.9億件。ピーク時の5割台の件数にまで減っている。なお2020年度において大きな落ち込み(特に国際(差立))が生じているのは、新型コロナウイルスの流行によるところが大きいと見てよいだろう。

選挙や年賀、そして荷物は?


よい機会でもあるので、特殊な郵便物の動向も確認する。まずは選挙用の郵便物、そして年賀郵便。それぞれ内国に含まれる値だが、内訳として別途公開されており、その動向を見ることができる。戦前の値も一部収録されているが、きりのよい戦後に限り精査を行う。

↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、特殊郵便物、億件)(1946年度以降)
↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、特殊郵便物、億件)(1946年度以降)

選挙のある無しで凸凹が生じているが、選挙用の郵便物はごく少数でしかない。直近の2022年度は0.5億件。

他方年賀郵便は1997年度がピークで37.1億件、直近の2022年度は11.7億件で、3割強。年賀葉書の発行枚数のピークは2003年であることから、配達件数の方が先に減少の動きに転じていたことが分かる。

最後は郵便物とは別勘定の小包、荷物。現在の制度ならばゆうパックやゆうメールが該当する。

↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、小包・荷物、億件)(1946年度以降)
↑ 引受郵便物などの件数(郵政省・郵政事業庁・日本郵政公社・日本郵政など、小包・荷物、億件)(1946年度以降)

これまでのグラフとは様相が大いに異なる動きを示している。2003年度あたりから急激に上昇を見せ、2002年度では4.4億件しかなかったが、直近の2022年度では40.9億件と9倍強に成長している。2017年6月1日からの料金改定のリリースでも人件費上昇以外に「大型の郵便物などの増加により、持戻り・再配達を行うことによるコストが増加」との言及があり、通販やネットオークションなどによる利用が加速化している実情がうかがい知れるが、今件グラフからもそれを裏付けることができよう。


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