たばこ自販機の台数と売上の推移(最新)

2023/05/12 02:49

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2023-0503先行記事【自動販売機の現状】において自動販売機の業界団体である日本自動販売機工業会が毎年発表している、業界動向の報告書「自販機データ」を基に、各種自販機の台数動向を確認した。中でもたばこ自販機は目まぐるしく変化する周辺環境の影響を受け、劇的なまでの動きを示している。そこで今回は状況の確認も併せ、その実情の精査を行うことにする(【日本自動販売機工業会:自販機データ】)。

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先行記事「自動販売機の現状」にもある通り、直近年となる2022年では各種自販機のうちたばこ自動販売機の台数は前年から大きく減少している。

↑ 自動販売機普及台数前年比(2022年)(再録)
↑ 自動販売機普及台数前年比(2022年)(再録)

そこでたばこ自販機の実情をより詳しく確認するため、情報が取得できる2005年分以降について、たばこ自販機の普及台数と自販金額(自動販売機で売買された金額)の推移をグラフ化したのが次の図。併せて前年比も計算し、グラフにしておく。ただし先の記事でも解説した通り、2017年分以降において自販金額は非公開となったため、その値および前年比は空白となっている。

↑ たばこ自動販売機普及状況
↑ たばこ自動販売機普及状況

↑ たばこ自動販売機普及状況(前年比)
↑ たばこ自動販売機普及状況(前年比)

まず何より驚くのは、2005年時点ではたばこ自動販売機の自販金額が2兆円近い額だったこと。そしてたばこ離れの影響を受けて少しずつ額は減らしていたものの、2008年から2009年にかけて急落。これは複数のたばこ関連の記事で説明している通り、成人識別のためのカード「タスポ」の導入に伴い、技術的に対応できない機種が撤去されたことが主要因。直近の2022年分は非公開だが、まず間違いなく2000億円を割り込んでいるだろう。それどころか1000億円すら切っているかもしれない。

他方、台数そのものは減少一方だが、自販金額は2010年にいくぶんの持ち直しが見られる。これは2010年10月におけるたばこ価格の大幅値上げによるもの。たとえばマイルドセブン(今のメビウス)が1箱300円から410円に引き上げられている。

普及台数も自販金額もおおよそ減少の一方だが、前年比のグラフを見ると2008年から2009年の「タスポショック」、2010年の大幅な値上げを経て、2012年以降は大体台数の減少率以上に自販金額が大きく減少している。たばこ自販機1台あたりの販売数が同じならば両者の減少率動向もほぼ一致するはずで(実際2005年から2007年まではその動きを示している)、さらに小幅な値上げも何度か成されていることから、むしろ自販金額の方が減少率は穏やかなものになるはず。しかし実際には自販金額の方が減少率は大きく、ここ2014年以降は下げ率において2倍前後の下げ幅を示していた。

これはひとえにたばこ自販機の台数の減少以上に、たばこ自動販売機の利用機会が減り、自販機で購入されなくなっている結果だと考えられる。喫煙者のたばこ自動販売機離れ、との表現はあまりにも凡庸だが、まさにそのような状態となっている。

概算値として、単純に自販金額を普及台数で割った1台あたりの販売金額を算出すると、その推測が裏付けられる。

↑ たばこ自動販売機の台数あたり販売金額(万円)
↑ たばこ自動販売機の台数あたり販売金額(万円)

2017年以降は空欄だが、コストパフォーマンスの低い自動販売機が優先的に撤去されているとはいえ、台数あたりの販売金額も減少を継続し、100万円を割り込んでいるはずだ。もしかすると50万円にすら届いていないかもしれない。

実際には設置場所により販売動向は大きく異なるので、今回算出した額はあくまでも概算でしかないが、たばこ自動販売機の実情がよく分かる値の動きには違いない。


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