テレビは平日2時間半、休日3時間半近く…米国における趣味娯楽の実情を時間配分から確認する(最新)

2023/10/15 02:36

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2023-0926アメリカ合衆国労働省労働統計局では労働者の労働にかかわる実情を中心に、同国の国民の生活様式を多様な切り口から定点観測的に調査し、その結果を逐次更新する形で公開している。今回はその公開データを元に、同国の15歳以上の大人に関する行動性向のうち、テレビ観賞や運動のような趣味娯楽の実情を、時間配分の観点で確認していくことにする(【U.S. Bureau of Labor Statistics】)。

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平日は仕事で忙しいため娯楽は短め?


最初に示すのは、15歳以上の平日における趣味嗜好の時間配分。15歳以上すべてが対象のため、就業者以外に無職の人もおり、さらに休日などに働く就業者もいるが、該当日には就業している人の比率が高いためか、後述する休日などと比べると短めの値が出ている。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、男女別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、男女別、時間:分)(2022年)

運動やスポーツは16分、雑談などは25分、テレビ観賞は2時間30分、読書は15分。ゲームで遊ぶ時間は案外少なく32分。男女別ではさほど大きな違いは無し。テレビやゲームは男性が長め、読書や雑談は女性が長めとなっており、それらしい動きをしている。

これを属性別に見たのが次以降のグラフ。まずは年齢階層別。なお有意な値が得られなかった属性では空欄となっている(以下同)。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、年齢階層別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、年齢階層別、時間:分)(2022年)

運動は15-19歳が長めで後は大きな差異はなし。やや中年層が短い程度か。雑談は20-24歳が長めで、55歳以降は年齢とともにおおよそ長くなる傾向がある。読書やくつろぎの時間も大体において年上ほど長くなり、特に65歳以上では読書が大きく伸びる。ゲームなどは15-24歳が際立って長く、それ以降は短くなっていく。ただし中年層以降は少しずつ長くなるのが興味深い。ゲーム以外に個人目的のインターネットアクセスも含まれるため、それが加味されているのだろう。

テレビ観賞時間は要注目。中年層まではほぼ横ばい、45歳以降は増加しはじめ、高齢層になると大きく伸びる。65歳以上は平日でも4時間以上はテレビ観賞をしている。これは仕事を辞めて時間に余裕ができ、それをテレビに費やしているからなのだろう。

続いて就業形態別。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、就業形態別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、就業形態別、時間:分)(2022年)

「就業者」とはフルもパートも含めた働く人全体の平均。フル就業よりもパート就業の方が自分の時間が取りやすく、そして非就業者は当然もっと自分の時間への余裕が出てくるので、おおよそ各余暇の時間が長いものとなる。もっとも非就業者が大きく伸びるのはテレビ。暇な時にはテレビが一番の友のようだ。

次は学歴別。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、学歴別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、学歴別、時間:分)(2022年)

学歴そのものよりもその学歴(に至った実力)によるところが大きいが、おおよそ高学歴ほど運動や読書の時間は伸びる。知的行動への傾向が強まるからなのかもしれない。逆にテレビやくつろぎなどの時間は高学歴ほど短くなる傾向がある。

最後は週あたりの収入別。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、フルタイム就業で副業無しの人限定、週あたりの収入別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、フルタイム就業で副業無しの人限定、週あたりの収入別、時間:分)(2022年)

緩やかだが高収入ほど運動や読書の時間が増え、テレビ観賞やくつろぎの時間が減っている。

また、テレビ観賞時間が最長でも2時間足らずでしかないこと、今グラフが「フルタイム就業で副業無しの人限定」であることを併せて考えると、テレビ観賞時間が長い人は多分に、パートタイム就業か無職なのが分かる(そしてその実情は無職者によるものであることは前述のグラフの通り)。

休日の休暇スタイルは


続いて休日の実情。今件の休日は暦上のものであり、休日に働く人もいるため、就業者のお休みの日ではないことに注意する必要がある。また無職者にとっては平日と休日の差異はあまりない。

まずは全体と男女別。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、休日、1日あたり、男女別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味嗜好の時間配分(15歳以上、休日、1日あたり、男女別、時間:分)(2022年)

いずれも平日と比べてやや長くなるのは当然だが、特にテレビ観賞時間において男女の差が大きくなっているのが特徴的。男女間で41分もの差が生じている。また、ゲームなどの時間も長くなる。

続いて年齢階層別。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、休日、1日あたり、年齢階層別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、休日、1日あたり、年齢階層別、時間:分)(2022年)

年齢階層別では学校や就業の拘束がほとんどなくなるため、平日と比べると極端な差異が出なくなっており、年齢とともに少しずつ増加・減少の動きを見せるようになる。それぞれの年齢階層における好き嫌いがそのまま表れていると見てよいだろう。特にテレビや読書の値で高齢層が、ゲームで若年層が大きな値を示しているのが特徴的。

続いて就業形態別。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、休日、1日あたり、就業形態別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、休日、1日あたり、就業形態別、時間:分)(2022年)

就業形態別ではほとんどの人が休みとなるため、実質的に大きな差異は出ていない。非就業者だけテレビで突出した値を示しているが、これは高齢者が多くを占めることによるものだろう。とはいえ休みの日に「ながら観賞」を含めずにテレビに注力するのが1日4時間以上とは、ずいぶんと長いような気がする。

次は学歴別。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、休日、1日あたり、学歴別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、休日、1日あたり、学歴別、時間:分)(2022年)

学歴別での動向は実質的に回答者の知識探求心の大きさや就業先の多忙さに連動すると考えられるが、休日ではおおよそ前者の影響を受けているようだ。テレビ観賞時間は高学歴ほど短く、読書時間は長くなる。くつろぎも高学歴ほど短くなるが、読書などが代替してしまっているのだろうか。

最後は週あたりの収入別。

↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、フルタイム就業で副業無しの人限定、週あたりの収入別、時間:分)(2022年)
↑ アメリカ合衆国の趣味娯楽の時間配分(15歳以上、平日、1日あたり、フルタイム就業で副業無しの人限定、週あたりの収入別、時間:分)(2022年)

収入別もおおよそ学歴別と同じ動きを示している。両者に少なくとも相関関係があるからなのだろう。



今件はあくまでも平均値であり、個人差は多々生じうるが、属性別に区分した統計値によって、それぞれの属性の行動性向、日々の過ごし方、余暇の楽しみ方の違いが透けて見えてくるのが興味深い。特にテレビ観賞時間の長さの動向は、日本とさほど変わりがないことを実感させてくれる値の動きであり、注目したいところでもある。


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