2017年1月度外食産業売上プラス2.4%…5か月連続して前年比プラスを計上

2017/02/27 15:00

日本フードサービス協会は2017年2月27日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2017年1月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス2.4%を計上した。日取りの上では土曜が1日少なく足を引っ張られる形となったが、雨天日が東京・大阪共に1日少なく、これが後押しする形に。また年始需要がおおむね好調となり、全体の値を引き上げる形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が196、店舗数は3万3799店舗。今月は前月と比較すると事業社数は増加、店舗数も増加している。

全業態すべてを合わせた2017年1月度売り上げ状況は、前年同月比で102.4%となり、2.4%の増加を記録した。これは先月から継続する形で5か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日こそ変わらないものの土曜日は1日少なく、客数の点ではマイナスの影響を与えている。気温は東京・大阪共に前年と比べてやや低めだったが、雨天日は東京で1日マイナス、大阪でも1日マイナスとなり、客足の上ではプラス。結果として日取り・天候の上では客足・客単価の上で大きな変化を与えるとは考えにくい状況となっている。あえていえばいくぶんマイナスの影響があるかも、という程度。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で14か月連続のプラス(プラス4.2%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、該当月では消費者参加型のプロモーションの展開や季節限定商品などで売上を大きく伸ばし、洋風全体のけん引すら果たす形となった。今回月では洋風は客単価がマイナス0.1%、客数はプラス5.7%となり、売上高は5.6%のプラス。

マクドナルド単体の2017年1月における営業成績はプラス12.3%(売上、既存店、前年同月比)と大規模な上げ幅を示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる(前年同月における前年同月比はプラス35.0%。反動の類は無い)。なお同業他社のモスバーガーではマイナス2.7%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス2.3%、客単価はプラス0.9%と成し、売上はプラス2.8%とプラスを計上。「サイドメニューやフェアメニューが好調」とリリースにはあるが、これは牛丼チェーン店に関わる月次記事でも言及の通り、吉野家の「新とん汁・新けんちん汁」や、松屋の各種定食ワンコインフェア、さらには「ライスを温豆腐に変更」サービスなどが該当するものと考えられる。「その他」ではカレー部門が昨年末の価格改定で客単価が上昇とあり、確かにプラス4.1%を計上しているが、これは壱番屋が2016年12月から順次実施している価格改定が該当する(現在も地域別に逐次実施中で、最終的な価格値上げが行われる地域は2017年12月1日からとなる)。

ファミリーレストラン部門は「洋風」が単価の高い商品や季節ニューの健闘でプラス1.0%の売上。他方「和風」は店舗数の減少が響き売上はマイナス1.8%。ただし店舗数がマイナス1.7%なのに対し客数はマイナス2.8%を計上しており、単に店舗数の問題だけではないことがうかがえる。「焼肉」は店舗数の増加に加え客数が大きく増えたことを受け、部門中では最大の上げ幅な売上(プラス4.7%)を見せた。説明には「年始需要がおおむね好調」とあり、人が集まる機会における飲食の場としての焼き肉が、これまで以上に受け入れられる気配がある。

パブ/居酒屋部門では特に居酒屋の減退ぶりが著しい。年始需要を取り込める業態のはずだが客数はマイナス5.2%。店舗数がマイナス4.8%なので、店舗の減少以上の客離れが生じている(誤差の範囲とも解釈できるが)。「引き続き店舗減に加え、成人の日の宴会が減ったところもあり」と説明にはあり、イベント需要が他業種にシフトしている実情が掌握できる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は3.5%のプラスと大きく健闘、客単価はプラマイゼロで売上もプラス3.5%を示した。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年1月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年1月分)

日取りや気象環境は
幾分ネガティブ。
ファストフードは
洋風が大いにけん引し
他の業種もおおむね好調。
ファミレスは和風が軟調。
焼き肉がイベント需要の
メイン業種の一つとなる動き。
居酒屋は成人式の需要を
確保しきれず厳しい値に。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻りつつあるか、今後どこまで良い数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。他方、今冬の鍋メニューの多様化は複数か月に渡り数字の上でプラスに働いたことが明らかとなり、今後「客の嗜好にマッチした多様化企画」の展開が、成功体験の反復化として成される可能性がある。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。個人客の取り込みが上手くいかないとの解説は、居酒屋の実情を如実に表している。さらに今後禁煙の動きが加速するに連れ、マイナス要素がまた一つ加わる可能性はある。「多様なメニューが少量で、安価で注文できる」という居酒屋独自のメニュー展開の上では、子供連れにもマッチしそうな感はあるが、その役割は焼き肉店やファミレスがすでに確保しているとの見方もあり(さらには回転寿司もその座を狙う動きを見せている)、実情は難しい。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告もなされ、その市場の実情が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2017年1月は既存店で客数マイナス0.2%・客単価プラス1.2%、売上高プラス1.0%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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