諸外国別に見た「真の自国民たる条件」への認識の違い

2017/03/29 05:23

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先行記事【自国語を話せる事は真の自国民として重要か否か】などで、アメリカ合衆国の民間調査会社PewResearchCenterが2017年2月1日に発表した調査結果【「What It Takes to Truly Be ‘One of Us’」】をもとに、諸外国の人達が「自国民が自国民たるのには法的な問題以外にどのような要素が必要か」についての認識をいくつかの切り口で確認した。今回はその総括的なものとして、アメリカ合衆国、ヨーロッパ諸国、そして日本における各項目の動向をひとくくりでまとめ、その実情を見ていくことにする。


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今調査の調査要綱は先行記事の「自国語を話せる事は真の自国民として重要か否か」を参照のこと。それらの記事にもある通り、今調査では法的な問題(戸籍など)以外で自国民たる自覚、他人からの認証を受けるのにはどのような条件が必要かに関し、「自国語が話せるか」「自国の習慣や伝統を尊重・共有しているか」「自国で産まれたか」の観点で、どこまで重要か否かの判断で答えてもらっている。また記事にはしていないが4つめの設問として「自国の主宗教を信仰しているか」も存在する。

次に示すのは諸国毎における、その4項目の全体的な回答動向を示すものである。まずはアメリカ合衆国。

↑ 真の自国民としては重要か否か(アメリカ合衆国、2016年春)
↑ 真の自国民としては重要か否か(アメリカ合衆国、2016年春)

「自国語が話せる」は重要視されているようで、賛意派が9割超え。「習慣や伝統の尊重・重視」は大変重要派こそ少なめだが、やはり重要視されており賛意派は8割を超えている。他方、自国で産まれたか否かは重要視する人としない人がほぼ同率となっている。同国の実情を色々な意味で思いはかることができる結果ではある。主宗教もまた同様で、しかも重要視しない人のうち強度の回答が多い結果となっている。

続いてヨーロッパ諸国。

↑ 真の自国民としては重要か否か(ヨーロッパ、2016年春)
↑ 真の自国民としては重要か否か(ヨーロッパ、2016年春)

先行する記事でも説明している通り、ヨーロッパ各国でその国内事情や歴史により傾向は大きく異なるので、今回調査に参加した諸国(ハンガリー、ギリシャ、イタリア、ポーランド、スペイン、イギリス、フランス、オランダ、ドイツ、オーストラリア、スウェーデン)の平均値との認識が欠かせないのだが、自国語や自国の習慣・伝統に関してはアメリカ合衆国とさほど変わりない高い値動きをしている。むしろ強度の重要視との回答率はアメリカ合衆国より高いほど。

自国で産まれたか否かもさほど違いは無いが、主宗教に関しては大きな差異を示しているのが興味深い。重要視派は3割強に留まり、重要視しないとの意見は6割近くに達している。もっとも今件は2016年春の調査結果であり、ここ数年に渡りヨーロッパ諸国で大きな社会的意識変化が生じているであろう実情を思い返すと、それから1年経過した現在ではどのような状況なのか、気になるところである。

最後は日本。日本の宗教事情に鑑み、元々の調査でも「自国の主宗教を信仰しているか」は日本では問われていないので省略してある。

↑ 真の自国民としては重要か否か(日本、2016年春)
↑ 真の自国民としては重要か否か(日本、2016年春)

自国語が話せるかについては他国同様大変高い値を示している。習慣や伝統の尊重は大変重要派がやや多い一方で、重要視していない人の割合もいくぶん高め。そして自国で産まれたかについては他の国の動向以上に重要視する人が多く、実に9割に達している。日本の実情を思い返せば、すべての項目に関して納得のいく結果には違いない。


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