寒暖差大きく季節商品が好調に推移、カウンター商材などの調理食品も好調…2017年1月度のコンビニ売上高は既存店が0.1%のプラス、4か月連続

2017/02/21 09:00

日本フランチャイズチェーン協会は2017年2月20日に、コンビニエンスストアの同年1月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でプラス0.1%となり、4か月連続のプラスを示すこととなった。寒暖差が大きく寒い時の寒さが一層強調される形となり、暖を取れる食品が大きく動いたのをはじめ、店内調理品などのカウンター商材、調理麺、調理パン、総菜なども好調な売れ行きを示し、売上をけん引した(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は4か月連続のプラス、全店は47か月連続のプラス
全店ベース……+2.7%
既存店ベース…+0.1%

●店舗数(前年同月比)
+2.5%

●来店客数:既存店は11か月連続のマイナス、全店は70か月連続のプラス
全店ベース……+1.6%
既存店ベース…−1.1%

●平均客単価:既存店は22か月連続のプラス、全店も22か月連続のプラス
全店ベース……+1.1%(629.7円)
既存店ベース…+1.2%(620.4円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……±0.0%
加工食品……+0.8%
非食品………−0.4%
サービス……+0.6%
合計…………+0.1%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

2017年1月は寒暖差が大きく、単純計算では寒さを覚える日はさほど多くなかったものの、前日と比べて気温が下がると体感温度としてはより一層寒さを覚えることから、スープや中華まんといった手軽に温かさを楽しめる食品が大きく動いた。昨今では堅調なセールスの報告が当たり前のようにすらなりつつある、店内調理品等のカウンター商材、調理麺や調理パン、総菜などの中食向け食品も好調に推移し、客単価は底上げされ、売上にも貢献した。

たばこや雑誌に絡んだ特記事項は見受けられない。前年同月と比べてとりわけ大きく売り上げが落ちた、あるいは伸びた動きは無いようだ。ただしたばこに限れば日本たばこ協会の統計値の動向を見るに、販売本数そのものは減退を続けており、その販売ルートのメインであるコンビニにおいても、販売不振が続いていることは容易に想像ができる。店内における配置面積は相変わらず一定度合い、むしろ特売的な形でスペースが拡大している店舗も見受けられるが、売り上げが落ち続ければ出版物同様に配置規模も縮小されるかもしれない。

商品構成別の売上高(既存店ベース)の動向を確認すると、淹れたてコーヒーなどのカウンター商材の堅調ぶりで全体をけん引する日配食品はプラスマイナス0.0%、加工食品はプラス0.8%、非食品はマイナス0.4%となった。客数が既存店ベースでマイナス1.1%であることから、計算を単純化するためにシンプルにその分を足し引きして考慮すると、日配食品や非食品は実質面では売り上げを伸ばしている、加工食品は大いに堅調な状況であると推定できる。またサービスはプラス0.6%となっているが、前年同月では、その月の前年同月比でプラス4.3%を計上しており、その反動によって数字上の伸びが抑えられたにすぎないと見ることができる。客数の減退分も合わせ考えれば、大健闘と評価できる。

2014年夏まではガソリン代の高騰が来店機運の足を引っ張り、集客の観点でマイナスに働いているのではとの懸念があった。昨今では原油価格の安値安定化に伴いガソリン代も比較的安値で落ち着いており、その観点における心配は薄れている。一方でここ数年来懸念されていたたばこや雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止、あるいは底打ちの状況にあるようで、報告書の言及にたばこや雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は見られなくなった。

セブンカフェ&ドーナツ数年前まではコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。

たばこは機会あるたびに税負担の上乗せが論議されている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化はない。2016年4月からは一部銘柄で、税引き上げとは無関係な値上げが実施されたため、販売数の減少はさらに加速していることは容易に想像できる(たばこ全体の販売数では実際に影響したと思われる減退が生じている)。また今年4月からは「わかば」「エコー」など一部銘柄の実売価格が引き上げられるため、これもまた売り上げに影響するだろう。

一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうにないが、コンビニにおける同じ印刷物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

セブン-イレブンの街の本屋さんプロジェクト詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2016年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも1000店舗をめどに書籍中心の専用棚設置が計画されており、今後非食品項目に影響を及ぼす可能性が出てきた。ただし直近の各報告書ではこれらの続報は確認できず、目立った成果は出ていないようだ。

一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻し、再配置の気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。駅の売店がコンビニ化(コンビニチェーンによる運営店舗の展開)するに伴い、鉄道利用者による雑誌へのアプローチの仕方も変化を遂げており、今後の動向に注目が集まっている。セブン-イレブンが継続的に「街の本屋さん」を自称し、ネット経由で書籍の調達をする受け皿を推進し続けているのも注目に値する。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツも良い例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。昨今の報告書におけるコメントでも好調さに関わる言及が常連化しているように、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。時間や手間を簡略化し、より楽しい食生活を受給する対価としてコンビニやスーパーの食品を選択するという、新しいライフスタイルの浸透といえる。エンゲル係数の上昇は、この要因が大きい。

イレギュラー的要素によって生じた軟調な環境の中でも、コンビニは堅調な売り上げを維持できる軸の模索を多方面で進めている。関連他業界を巻き込む形で、さらには生活様式の変化まで起こしながら、今後も多様な動きが見られそうだ。


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