自宅から駅やバス停までの徒歩時間、どれぐらいならOK?

2017/03/26 05:27

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住宅の住みやすさを推し量る指標の一つとして、駅やバス停などの公共交通機関への窓口からどれほどの距離にあるかが挙げられる。無論、該当する鉄道やバスの便の頻度も精査の上では必要不可欠な要素だが、自宅のそばに駅やバス停があれば、生活の上で便利には違いない。今回は内閣府が2017年2月13日に発表した「公共交通に関する世論調査」から、自宅と駅・バス停との距離に関する要望の実情を確認していく(【公共交通に関する世論調査(平成28年12月調査)】)。


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今調査は2016年12月8日から18日にかけて日本国内の18歳以上で日本国籍を持つ人の中から層化2段無作為抽出法によって選別された人に対し調査員による個別面接聴取法で行われたもので、有効回答数は1899人。男女比は897対1002、年齢構成比は18-19歳35人、20代142人、30代264人、40代295人、50代299人、60代403人、70歳以上461人。

次に示すのは回答者が引っ越すことになった場合、自宅から駅やバス停までの徒歩での所要時間として、どの程度までなら許容できるかを尋ねた結果。現在住んでいる場所の実情ではなく、要望としての値であることに注意。当然、回答者の現状、例えば子供が居る、歳を取っていて遠出が難しいなどが反映されている。

↑ 引っ越しすることになった場合、自宅から駅やバス停までの徒歩での所要時間として、どの程度までなら許容できるか(2016年12月)
↑ 引っ越しすることになった場合、自宅から駅やバス停までの徒歩での所要時間として、どの程度までなら許容できるか(2016年12月)

全体としては最多回答は「5分から10分未満」で4割近く。「10分から15分未満」が3割。合わせて5分から15分未満で2/3となる。「5分未満」を合わせると、15分未満で8割を超える。不動産の物件案内で「駅から●分」の類は大よそ分速80メートルが定番である事を合わせ考えると、「自宅から駅やバス停までの距離は1.2キロ未満と考えている人が8割を超える」と見ればよい。もちろんこれは通常の人の話であり、歳を取っているなどの理由で15分未満の行動範囲がもっと狭くなる場合もある。

男女別では女性の方が、年齢階層別では高齢者の方が、より駅やバス停が近くにあった方が良いと考えている。身体的な事情を考えれば、大よそ理解できる動きではある。特に70歳以上では5分未満ですでに2割、10分未満で区切れば6割が該当する。距離そのものの概算も高齢者の場合、単純に分速80メートルの値を使うわけにもいかず、長さの点では時間よりももっと短くなるだろう。

これを「現在の」居住地や一部従業上の地位別に見たのが次のグラフ。

↑ 引っ越しすることになった場合、自宅から駅やバス停までの徒歩での所要時間として、どの程度までなら許容できるか(2016年12月)(現在の居住地や従業上の地位別(一部))
↑ 引っ越しすることになった場合、自宅から駅やバス停までの徒歩での所要時間として、どの程度までなら許容できるか(2016年12月)(現在の居住地や従業上の地位別(一部))

現在居住地別では大よそ大都市圏に住む人ほどある程度の時間を許容できる、地方に行くほど近場が良いとの認識となる。引っ越し先、つまり居住地の希望としては、現状よりも一層交通の便が良い場所に住みたいとの願望が表れている。

また従業上の地位別で主婦に限ると、近場を望む人が多い。体力的な問題に加え、買い物やパート、子供の送り迎えなどを考慮すると、交通の便が良いところを望むのは当然かもしれない。他方学生は(回答者数が少ない(56人)のも一因だが)交通の便には多少ルーズさが見て取れる。

各回答項目の中央値を用い、概算的な平均値を算出した結果が次のグラフ。

↑ 引っ越しすることになった場合、自宅から駅やバス停までの徒歩での所要時間として、どの程度までなら許容できるか(2016年12月)(概算平均、分)
↑ 引っ越しすることになった場合、自宅から駅やバス停までの徒歩での所要時間として、どの程度までなら許容できるか(2016年12月)(概算平均、分)

女性、50代、主婦の短さが目に留まるが、それも合わせて大よそ10分から15分の枠組みに収まっている。今件は年齢や健康状態、世帯構成にも考慮する必要はあるが、住宅の環境の良し悪しを判断する基準の一つになるだろう。


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