収入と税金の変化をグラフ化してみる(年齢階層別版)(家計調査報告(家計収支編))(最新)

2019/03/16 05:27

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2019-0226先に【収入と税金の変化をグラフ化してみる】において、総務省統計局が2019年2月8日にデータ更新(2018年・年次分反映)を行った【家計調査(家計収支編)調査結果】の値を基に、就業者がいる世帯における大まかなお財布事情を実収入・非消費支出・可処分所得の推移から確認した。今回はその動向に関して、世帯主の年齢階層別の視点でより詳しく見ていくことにする。

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実収入・非消費支出・可処分所得などの用語の解説は先行記事の「収入と税金の変化をグラフ化してみる」で解説済みなので、そちらを参照のこと。その記事にもある通り、総務省の公開データベースe-statから取得可能な2002年以降における、総世帯のうち勤労者世帯における、実収入・非消費支出・可処分所得、要は大まかなお財布事情は次の通り。無論、これらの額はすべて月額ベースのもの。

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、円)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、円)

全体としては数字の上で減少傾向にあったのは間違いない。厳密には2011年ぐらいからは実収入ほぼ横ばいで、非消費支出が増加し可処分所得が圧迫というところか。同時に他の家計調査における分析記事でも指摘している通り、世帯構成において年齢階層比率の変化に伴い、平均値の年齢階層別ウェイトが変化し、それが全体平均に影響を及ぼしている可能性も否定できない。実際、直近年の世帯主年齢階層別の値を確認すると次の通りとなるが、現役世代では29歳以下が一番少なく、30代から50代にかけて上昇し、60代以降では急激に落ちる。

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、円)(2018年)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、円)(2018年)

60代以降で急激に値が落ちるのは、家計調査では推し量ることが難しい、同じ就業でも現役世代とは違い、再就職による嘱託や顧問の立場としての就業や、非正規社員としての短時間労働の立ち位置としての就業が圧倒的に多いからに他ならない。

そして他の調査結果でも明らかだが、急速な高齢化に伴い、勤労者世帯に限定しても高齢化は進行している。再雇用のケースでも勤労者には変わり無いからだ。

↑ 総世帯のうち勤労者世帯における世帯主年齢階層別世帯数比率
↑ 総世帯のうち勤労者世帯における世帯主年齢階層別世帯数比率

2002年から直近年の間に一番実収入が少ない29歳以下の世帯は3.6%ポイントの減少に留まっているが、30代は7.4%ポイントの減少。40代は1.1%ポイント増えているが、急激に実収入が減る60代以降は9.6%ポイントも増加している。これだけ低い実収入層の割合が増加すれば、全体平均における実収入を抑える圧力が強まっても当然といえる。

具体的に世帯主の年齢階層別に区分した上で、実収入などの動きを見たのが次以降のグラフ。縦軸はすべてそろえてあるので、他の年齢階層との比較も可能となっている。

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢29歳以下、円)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢29歳以下、円)

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢30代、円)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢30代、円)

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢40代、円)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢40代、円)

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢50代、円)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢50代、円)

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢60代、円)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢60代、円)

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢70歳以上、円)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢70歳以上、円)

60代以降の勤労者世帯では実収入の動きはほぼ横ばい、あるいは緩やかな減退の動きを見せているが、【日常生活を支える、実収入と蓄財の切り崩しと】でも指摘しているように、年齢階層別で他の層と比べて実収入が大きく減少する60代以降は、一人暮らしあるいは夫婦のみの世帯である場合が多く、子供に関する金銭的負担も現役世帯と比べて無いに等しく、世帯単位で必要な支出は少ない。また年金などの社会保障給付(実収入に含まれる)では不足する(と本人が考えている)生活費の補助として就労している場合だけでなく、社会貢献をはじめとしたライフスタイルの一様式としての就労のケースも多々ある。さらに、実収入で不足する分は蓄財からの切り崩しの手立てもあるため(貯蓄切り崩しは実収入には含まれない)、金額の増減は現役世代と比べれば大きな問題とはなりにくい。

他方、現役世代の動向を見ると、30歳までの若年層はほぼ横ばい、30代は減少から増加へと転じている。40歳は起伏を見せながらも減少の動きにあるが、50代は大きな動きも無く横ばいのままで推移している。またどの年齢階層も2007年以降の金融危機、2008年のリーマンショック、2011年の震災、2012年以降の超絶円高不況において、実収入の面でも少なからぬ影響が生じたことがうかがえる。さらに直近1、2年に限れば29歳以下は横ばいではあるが、30代以降はおおよそ増加傾向にあるのも注目に値する。

総世帯のうち勤労者世帯全体における実収入などの減少の実態は、すべての該当世帯が押しなべて落ち込んでいるのでは無く、一部に限られ、逆に増加している年齢階層もあることに加え、環境上低実収入とならざるを得ない再雇用組のシニア層の構成比率の増加によるところが大きいと解釈して問題は無かろう。そしてこの構造は、社会構造全般の変化であり、他の家計調査の結果だけで無く、多くの統計結果を見る上でも注意すべき視点には違いない。


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