中食系食品などの購入動向推移をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2017年)(最新)

2017/03/06 05:20

食品加工・保存技術の進歩、コンビニやスーパーで取り扱われる総菜やお弁当などの調理済み、あるいは半調理食品の取扱量・種類数の充実、さらにはそれら店舗の店舗数増加や商圏拡大に伴い、人々の食生活は店舗で購入した調理食品への依存度を高めつつある。多少なりともコスト高であっても、時間や手間を節約できる中食の充実は、日常生活をより豊かなものへといざなう道しるべとなる。特に調理そのものに難儀しがちな高齢者にとっては、大変ありがたい存在に違いない。今回は総務省統計局が2017年2月17日付で発表した、【家計調査報告(家計収支編)における2016年分平均速報結果】の各種公開値を基に、中食に該当する食品に関わる購入傾向の推移を確認していくことにする。

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総世帯の動向を眺めると


まずは単身世帯と二人以上世帯を合わせた総世帯の動向を確認する。単身世帯と二人以上世帯とでは食生活も大きく異なるため、世帯内情を検証するのにはやや不向きだが、全体的な数字的動向を推し量るのには、包括的な値となる総世帯を見ていくのが無難ではある。

家計調査報告の具体的な支出項目から、中食に該当すると考えられる項目を抽出する。今回は「菓子類」「主食的調理食品」「他の調理食品」「飲料」「酒類」を抽出した。具体的にはそれぞれ次のような飲食品が該当する。

・菓子類…ようかん、まんじゅう、カステラ、ケーキ、ゼリー、プリン、せんべい、ビスケット、スナック菓子、キャンデー、チョコレート、チョコレート菓子、アイスクリーム・シャーベットなど。

・主食的調理食品…弁当、すし(弁当)、おにぎり・その他、調理パンなど。

・他の調理食品…うなぎのかば焼き、サラダ、コロッケ、カツレツ、天ぷら・フライ、しゅうまい、ぎょうざ、やきとり、ハンバーグ、冷凍調理食品、そうざい材料セットなど。

・飲料…緑茶、紅茶、茶飲料、コーヒー、コーヒー飲料、ココア・ココア飲料、果実・野菜ジュース、炭酸飲料、乳酸菌飲料、乳飲料、ミネラルウォーター、スポーツドリンクなど。

・酒類…清酒、焼酎、ビール、ウイスキー、ワイン、発泡酒・ビール風アルコール飲料、チューハイ・カクテルなど。


これら中食項目の世帯あたりの年間支出額の推移だが、他世帯種類と比較が可能な2002年以降の動向は次の通りとなる。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(総世帯、円)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(総世帯、円)

実のところ絶対額に大きな変化は無い…ように見えるが、酒類は漸減、飲料や他の調理食品や菓子類は2011年辺りから、主食的調理食品は2013年から増加の動きを示している。

他方、単身世帯の増加や少子化に伴い、総世帯の平均世帯人数も減少しているため、それを考慮するため各年の平均世帯人数で除算し、世帯構成員一人あたりの平均値を算出したのが次のグラフ。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(総世帯、一人あたり、円)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(総世帯、一人あたり、円)

酒類は実質的にはほぼ横ばいだが、それ以外は2010年あたりから、菓子類は2007年から増加を示しているのが分かる。特に主食的調理食品と他の調理食品は2013年ぐらいから上昇度合いが大きなものとなっている。

変移を分かりやすくするため、最古の値である2002年の額を基準値とし、その値からどれだけ上下をしたのかを計算した結果が次のグラフ。良い機会でもあるので外食と食費全体も合わせて計算し、グラフに盛り込んだ。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(総世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(総世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)

外食や酒類は減少の動き。他方、菓子類や主食的調理食品、他の調理食品、飲料はほぼ同じ割合で上昇している。特に2011年あたりから動きが加速化しており、これを受けて食費全体も漸減から増加に転じているのが分かる。

それでは具体的に、これら中食への支出は食費全体においてどの程度のウェイトを示しているのか。その推移を計算した結果が次のグラフ。合わせて最古の値と直近値とを比較できるグラフも併記しておく。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(総世帯、各年の食費全体に占める割合)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(総世帯、各年の食費全体に占める割合)

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(食費全体に占める割合、2002年と2016年)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(食費全体に占める割合、2002年と2016年)

酒類は漸減、菓子類は2009年までは上昇していたが、それ以降はほぼ横ばい。飲料は漸増、主食的調理食品と他の調理食品は上昇傾向を継続しており、特に2013年あたりから増加が著しい。飲料も似たような動きだが、2011年以降はほぼ横ばいに転じている感はある。

家計調査ではどのような業態から購入したかまでは分からないが、中食が食生活の中で大きなウェイトを占めるようになり、中でもスーパーやコンビニで充実度を増している主食的調理食品と他の調理食品の伸びが、この数年で著しいことは容易に把握できよう。

年齢階層別の違いが見える二人以上世帯


続いて二人以上世帯。まずは全体の額動向を確認する。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(二人以上世帯、円)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(二人以上世帯、円)

酒類の漸減とそれ以外の増加、特に主食的調理食品と他の調理食品の2013年あたりからの増加傾向のスピードアップは総世帯の動向と変わらない。先の総世帯同様に、2002年の額を基準値とした変移を見ると、その動きがよくわかる。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(二人以上世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(二人以上世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)

明らかに酒類は減っている。他方、主食的調理食品は2011年から大きな上昇を開始している。他の調理食品が2013年から上昇しているのと比べると2年早い動き。また飲料も2011年から上昇を加速している。二人以上世帯、つまり夫婦世帯において、中食は飲料と主食から大いに利用されるようになり、次いで総菜などにまで浸透したようすが分かる。飲料に関しては震災後のミネラルウォーターへの注力も一役買ったのだろう。

二人以上世帯では年齢階層別の値も取得できるため、その仕切り分けで中食のメインとなる主食的調理食品と他の調理食品の動向を見ていくと、興味深い動きが確認できる。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(二人以上世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)(世帯主年齢階層別、主食的調理食品)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(二人以上世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)(世帯主年齢階層別、主食的調理食品)

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(二人以上世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)(世帯主年齢階層別、他の調理食品)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(二人以上世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)(世帯主年齢階層別、他の調理食品)

主食的調理食品は30代から40代では横ばい、あるいは減少の動きもあった。しかし29歳以下と50代以降では漸増し、特に60代の支出が大きく伸びている。大よそ高齢層は2011年あたりから上昇度合いが大きなものとなったが、若年層は2013年前後から伸びており、若年層と高齢層間における、夫婦世帯での主食的調理食品への見方に違いが生じているのが分かる。

他方、他の調理食品、つまり総菜などは若年層と高齢層の差異がより大きなものとなっている。ただし2014年以降は若年層も多分に支出を増やしており、ここ数年に限れば40代以外はいずれも支出額を大きく上乗せしている。大勢としては「高齢層は2011年以降に中食への注力を拡大」「若年層は2013年か2014年あたりから中食を積極利用」と見て良いだろう。

単身世帯の生活様式が透けて見える中食の動き


続いて単身世帯。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(単身世帯、円)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(単身世帯、円)

酒類の額面はほぼ横ばい。他方、他の調理食品は2007年あたりからすでに上昇の動きを見せ、2011年からは加速化している。飲料、主食的調理食品、菓子類などは2013年から増加しており、先行して主食的調理食品が動いた二人以上世帯とは対照的な傾向ではある。

これを最古の2002年の額を基準値として、その変移を計算したのが次のグラフ。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(単身世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(単身世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)

単身世帯では外食への支出は減退を継続。酒類は下げ止まり。他方、他の調理食品は2007年あたりから大きな上昇を見せている。また意外にも菓子類が伸びており、単身世帯における菓子の需要の拡大ぶりがうかがえる。主食的調理食品や飲料は2013年ぐらいから大きな上昇を見せ始め、これが食費全体をも底上げしているようすがうかがえる。

単身世帯では二人以上世帯と比べると大雑把ではあるが、やはり世帯主の年齢階層別の動向を取得できる。そこで二人以上世帯同様に、主食的調理食品と他の調理食品の動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(単身世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)(世帯主年齢階層別、主食的調理食品)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(単身世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)(世帯主年齢階層別、主食的調理食品)

↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(単身世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)(世帯主年齢階層別、他の調理食品)
↑ 主要中食項目の世帯あたり年間支出額(単身世帯、2002年の値を1.00とした時の比率)(世帯主年齢階層別、他の調理食品)

主食的調理食品は、若年層では大きな動きは無く、むしろ減少の流れにある。ここ数年の跳ね上がりはイレギュラーか、あるいは2013年以降の底上げか。もうしばらく様子を眺めたいところ。他方、中堅層以降は増加の中にあり、特に2013年以降は高齢層で勢いを増した増加ぶりにある。単身高齢層が急速に主食を中食からの調達にシフトしているようすがうかがえる。

一方で他の調理食品、つまりおかず系の中食は、むしろ若年層の方が支出の増加ぶりが著しい。単身世帯では「高齢層は主食を積極的に中食シフト」「若年層は総菜で中食を積極利用」の動きを見せており、食生活における中食への見方の違いが浮き彫りとなっている。

エンゲル係数の動向と中食と年齢構成と


昨今の食生活において中食は以前と比べて確実にそのウェイトを増しており、それが食費の底上げにもつながっている。その実情が数字の上で確認できた次第だが、この動きがいわゆるエンゲル係数の上昇の主要素の一つとなっているのも事実ではある。

【エンゲル係数の推移をグラフ化してみる】で説明しているが、エンゲル係数はあくまでも「食生活や食の周辺環境が変化しない状況下における、生活様式の苦楽度合いを表し得る指標」であり、食生活に変化が生じれば比較指標としては有益なものでは無くなってしまう。その「食生活の変化」の一つが、今回確認した「中食文化の浸透」にある。対価によって便宜性と手間、そして食生活の豊かさを選択した以上、以前の食生活との単純比較は不可能。時系列的な比較指標として、エンゲル係数の有効度は落ちつつあると解釈できる。

実際、二人以上世帯と単身世帯それぞれで、今回抽出した値を元に世帯主年齢階層別のエンゲル係数を試算すると次の通りとなるが、中食が大いに使われ始めた2013年以降、明かな上昇ぶりを示しているのが分かる。

↑ エンゲル係数(二人以上世帯)(世帯主年齢階層別)
↑ エンゲル係数(二人以上世帯)(世帯主年齢階層別)

↑ エンゲル係数(単身世帯)(世帯主年齢階層別)
↑ エンゲル係数(単身世帯)(世帯主年齢階層別)

ここ数年、中食を販売する側の立場であるスーパー・デパートやコンビニの月次営業報告で、食品部門や総菜、加工食品のセールスが堅調であるとの報告が毎月のように特記事項として記されている。それらのコメントもまた、今件中食への支出増加傾向を裏付ける動きともいえよう。

そしてこのグラフからはもう一つ、全体、あるいは世帯種類単位でのエンゲル係数の、昨今の増加の理由の鍵を得ることができる。双方世帯種類でも、大よそ高齢層の方がエンゲル係数は高い。ライフスタイルの違いや、食生活への注力ぶり、消費支出から支払うべき対象の差異によるものだが、元々エンゲル係数が高い高齢層の全体に占める比率が増加の動きにあり(もちろん高齢化によるもの)、これもまたエンゲル係数の底上げに一躍買っている。

↑ 世帯主の年齢階層別・世帯構成比率(二人以上世帯)
↑ 世帯主の年齢階層別・世帯構成比率(二人以上世帯)

↑ 世帯主の年齢階層別・世帯構成比率(単身世帯)
↑ 世帯主の年齢階層別・世帯構成比率(単身世帯)

影響度合いは食生活の急激な中食化と比べればさほど大きなものでは無いが、確実に影響を及ぼしているのもまた事実。ウェイトの大きな高齢層ほど中食化が急速に進んでいる事を合わせ見れば、累乗的な効果としてエンゲル係数が急上昇を見せるのも当然ではある。


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