クレジットカードの安全対策がどこまで知られているか、その実情を探る(2017年)(最新)

2017/02/17 09:44

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昨今では多くの場面で支払い方法として使われるようになったクレジットカード(クレカ)だが、その利便性と共に盗用、悪用する形での犯罪も増えている。その悪意に対抗する形で、さまざまな安全対策が模索され、そして実用化・実運用されているのも事実。今回は内閣府が2016年9月20日に発表した、クレジットカード取引の安心・安全に関する世論調査の結果を元に、クレカに関する安全対策がどこまで認識されているのが、その実情を確認していく(【発表リリース:クレジットカード取引の安心・安全に関する世論調査】)。


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ICカード決済や暗証番号の入力の安全性を認識している人は4割近く


今調査の調査要綱は先行記事【クレジットカードの積極的な利用意向は約4割】を参照のこと。

今調査では回答者に次のようなクレカに関するセキュリティの実情の説明文を読んでもらい、その上でそれらについて知っていたか否かを尋ねている。

クレジットカードの取引には「ICカード」によるIC取引と「磁気カード」による磁気ストライプ取引があります。磁気ストライプ取引は、「磁気ストライプ」に記録したカード情報を読み取り決済処理をする取引です。一方、IC取引は「ICチップ」に暗号化して記録したカード情報を読み取り決済処理をする取引です。このため、磁気ストライプ取引のようにカード情報を盗み取るスキミング被害は発生しません。

また、IC取引では、伝票への「サイン(署名)」にかわり、ご本人しか知らない4ケタの「暗証番号」を入力いただくことになります。

「ICカードで安全性向上」「4ケタの暗証番号で安全性向上」双方共に知っていた人は全体で4割近くとの結果となった。片方のみを知っていた人はそれぞれ1割足らず。いずれか1つ以上知っていた人は5割強。いずれも知らなかった人は4割強に達している。

↑ ICカード決済や暗証番号の入力が安全であることを知っているか(2016年7月)
↑ ICカード決済や暗証番号の入力が安全であることを知っているか(2016年7月)

先行記事で説明の通り、クレカの積極利用意向は男女でほぼ同じだが、安全面の対策の実情は男性の方が認知度は高い。技術周りに関わる話では、男性の方が興味関心が強く、結果として知っている人も多くなるようだ。女性では5割近くが「ICカードの方が磁気カードよりも安全」「暗証番号の入力で安全性が高められている」双方を知らないとしている。

男女別に仕切り分けした上での年齢階層別を見ると、男女ともに大きな違いは無く、現役世代がやや高めで、高齢層になると低い値を示す形となる。

↑ ICカード決済や暗証番号の入力が安全であることを知っているか(2016年7月)(男女・年齢階層別)
↑ ICカード決済や暗証番号の入力が安全であることを知っているか(2016年7月)(男女・年齢階層別)

もっとも男性では若年層でも相応に認識を有しているのに対し、女性は20代まではかなり低い値に留まっている。主婦層となり、日常生活の買い物でクレカを多用するに至り、安全面での確認も能動的に行うように至り、実情を知る人が増えるのだろうか。

ただし男性は60代でもほぼ現役世代と同等の認識を有しているのに対し、女性は大きく減退し、70歳以上では男性の半分程度にとどまってしまうのも注目に値する動きではある。年齢階層ではなく、世代別の傾向なのかもしれない。

いわゆる「二段階認証」の認識度は


昨今ではさらにクレカの安全性を高めるため、ウェブサービスではよく見られる二段階認証的なシステムを導入するところも増えている。具体的には今調査の次の説明にあるようなもの。

クレジットカード利用者がインターネット上で買い物などをする際、クレジットカード番号などの入力に加えて、事前にクレジットカード会社のホームページ上で登録したID・パスワードを入力することにより本人認証などを行い、「なりすまし」などの不正取引を防ぐことができます。

この安全性向上の仕組みを知っているか否かを聞いたところ、6割近い人が知っていると回答した。先の安全対策よりも認識率は高い。知らなかったとする人は1/3強。

↑ インターネットで買い物をする際のセキュリティ対策として、個人用IDやパスワードを入力する方法があることを知っていたか(2016年7月)
↑ インターネットで買い物をする際のセキュリティ対策として、個人用IDやパスワードを入力する方法があることを知っていたか(2016年7月)

男女別では男性の方が認識率は高い。クレカの積極利用意向は男女で違いがほとんど無いものの、「二段階認証」の方策もまた、ICカードなどの安全対策同様に男性の方が良く知っているようだ。

これを性別・年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ インターネットで買い物をする際のセキュリティ対策として、個人用IDやパスワードを入力する方法があることを知っていたか(2016年7月)(男女・年齢階層別)
↑ インターネットで買い物をする際のセキュリティ対策として、個人用IDやパスワードを入力する方法があることを知っていたか(2016年7月)(男女・年齢階層別)

前項目同様、男性は現役世代が高めで高齢層になると落ちてくる、女性は若年層がやや低めで主婦層が主軸となる年齢層では高い値を示すが、60代からは大きく落ちるなどの動きが見られる。今調査は今回が初めての実施で以前の動向との比較ができないため、「その年齢での動向」か「世代の動向」か、どちらなのかの確認はできない。

クレジットカードの利用動向に関しては金融広報中央委員会の「知るぽると」の定点観測調査があるが、こちらは2007年が最古。しかも単身世帯の調査区分でも男女の仕切り分けはなされておらず、女性の過去におけるクレカの利用状況の確認は不可能ではある(【単身世帯の代金支払い方法の移り変わり】)。

回答時に70歳以上の女性が現役世代だった時には、女性のクレカ利用は今ほど一般的ではなかったため、安全対策などへの知識もさほど収得されておらず、そもそも利用していない……とも考えられるのだが。現役世代でも男女間では男性の方が認知率は高いため、単にセキュリティに関する情報収集への意欲は男性の方が高いということなのかもしれない。


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