年間平均12冊、中央値では4冊…米国の書籍読書実情

2017/02/02 05:15

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文章を読む行為の対象には書籍以外に雑誌、新聞、さらにはコミックなども該当する。媒体を問わなければデジタルでも各媒体は展開され、その上ウェブ上の記事なども「読む」対象となる。人の「読む行為」はインターネットの普及浸透で新たな時代の幕を開けた感はある。それでは紙・デジタルは問わないが、書籍に限定した場合、人はどれほどの冊数を読んでいるのだろうか。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社PewResearchCenterが2016年9月1日に発表した読書に関する報告書【Book Reading 2016】を元に、同国の書籍閲読実績を確認していく。


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今調査の調査要綱は先行記事の【米国で媒体を問わず年に1冊も書籍を読んでいない人は26%】を参照のこと。

次に示すのは調査対象母集団における、過去1年間の書籍閲読実績の平均値と中央値を算出したもの。媒体は紙、デジタルを問わないが、新聞や雑誌、コミックなどは含まない。また該当期間に1冊も読まなかった人(全体の26%)も合わせた平均値と中央値であることに注意。

↑ 過去1年に読んだ書籍の冊数(2016年春、アメリカ合衆国、未読者も含む、冊)
↑ 過去1年に読んだ書籍の冊数(2016年春、アメリカ合衆国、未読者も含む、冊)

全体では平均冊数は12冊、中央値の冊数は4冊。3倍もの差が開いているが、これは書籍を読まなかった人がゼロ冊扱いでカウントされているのに加え、読む人は大量の書籍を読み、平均値を引き上げている実情によるもの。冊数毎の分散値が公開されていればその辺りの実情を確認できるのだが、残念ながら大まかな区分しか公開されていない。

↑ 過去1年に読んだ書籍の冊数(2016年春、アメリカ合衆国)
↑ 過去1年に読んだ書籍の冊数(2016年春、アメリカ合衆国)

20冊超の人で具体的に何冊読んだかまでは確認ができないが、平均値を引き上げた人が少なからずいたことは容易に想像ができる。

男女別では女性の方が平均値・中央値共に高く、女性の読書好きさがうかがえる。年齢階層別では平均値こそさほど変わらないものの、中央値は明らかに若年層の方が高い。高齢層になるほど、書籍をこよなく愛する人と遠ざかる人が二極化する傾向が強まるものと考えられる。

続いて学歴、世帯年収、居住地域別。

↑ 過去1年に読んだ書籍の冊数(2016年春、アメリカ合衆国)(学歴、世帯年収、居住地域別)
↑ 過去1年に読んだ書籍の冊数(2016年春、アメリカ合衆国)(学歴、世帯年収、居住地域別)

非常にきれいな形で高学歴、高年収ほど中央値・平均値共に高い値となる。仕切り分け別の差異は年収よりも学歴の方が大きく、両者間には一定の相関関係があることで知られてはいるが、書籍閲読数に関しては学歴の方がより強い影響を及ぼしていることも推測できる。特に高卒未満では中央値がゼロとあるのに注目したい。これは高卒未満の半数以上は書籍閲読数がゼロであることを意味する。

他方、居住地域別では特に場所による違いは見られない。むしろ地方ほど中央値も平均値も高いとも読めるほど。



今件調査項目では書籍との分類でしかなく、具体的な種類やページ数の仕切り分けはしていないため、同じ1冊でもウェイトには大きな違いが生じうる。単純に冊数での比較はリスクが無いとは言い切れない。とはいえ、普段の読書性向を推し量る上では、大いに参考になる指標には違いあるまい。


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