多い方が巧みに使いこなしている感…米国における「使用情報処理端末数」と「情報に振り回されている実感」との関係

2017/01/17 05:26

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インターネットを用いなくとも各種情報の取得は可能だが、利用できればけた違いに便宜性は向上する。複数の端末を使いこなせれば臨機応変な対応も可能となる一方で、取得する情報量も増えるため、オーバーフロー的な感覚にさいなまれる可能性もある。ではネットで情報を処理する端末の利用数と、情報処理に対する自覚との間には、どのような関係があるのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査機関であるPewResearchCenterが2016年12月7日付で発表した報告書【Information Overload】から、同国の実情を見ていくことにする。


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今調査の調査要綱は先行する【米国成人の2割は情報過多を認識している】を参照のこと。

まず調査対象母集団における、インターネットを利用して情報を取得処理するためのツールの利用状況。代表的な端末種類としてスマートフォン、タブレット型端末、自宅におけるブロードバンド環境によるパソコン(PC)アクセスを設定し、それらを使っているか否かを尋ねている。無論、どれも使っていなくとも、外部の情報から一切遮断されているわけでは無い。

↑ インターネット経由で情報を処理する時に、スマホ、タブレット型端末、自宅でのブロードバンド環境によるパソコン操作のいずれを使っているか(2016年春、アメリカ合衆国)
↑ インターネット経由で情報を処理する時に、スマホ、タブレット型端末、自宅でのブロードバンド環境によるパソコン操作のいずれを使っているか(2016年春、アメリカ合衆国)

スマホ利用率は72%、タブレット型端末は48%、自宅でのブロードバンド環境によるパソコン利用率は70%。すべてを用いている人は4割近くで、どれも使っていない人は1割強。

それではこれらインターネットの情報処理をする端末の利用数と、大量情報化社会とも評せる現状における、情報に関わる認識に違いはあるのだろうか。別記事で解説した「情報の過剰感への認識」「大量の情報に対する生活への影響」の2項目について、ポジティブ・ネガティブの意見いずれかに該当するかを、利用数別に仕切り分けして確認した結果が次のグラフ。

↑ インターネット経由で情報を処理する時に使っているツール数と「情報の過剰感」への印象(2016年春、アメリカ合衆国)(スマホ、タブレット型端末、自宅でのブロードバンド環境によるPC)
↑ インターネット経由で情報を処理する時に使っているツール数と「情報の過剰感」への印象(2016年春、アメリカ合衆国)(スマホ、タブレット型端末、自宅でのブロードバンド環境によるPC)

↑ インターネット経由で情報を処理する時に使っているツール数と「情報の多量化と生活への影響」への印象(2016年春、アメリカ合衆国)(スマホ、タブレット型端末、自宅でのブロードバンド環境によるPC)
↑ インターネット経由で情報を処理する時に使っているツール数と「情報の多量化と生活への影響」への印象(2016年春、アメリカ合衆国)(スマホ、タブレット型端末、自宅でのブロードバンド環境によるPC)

非常にきれいな形で、多くのツール利用者ほど、現在の大量情報化社会に適応できるとの自信を持ち、快適さを実感し、生活の向上に貢献していると認識している。「無回答・その他」の回答率も概してツール利用数が多いほど少なくなっており、迷うことなく肯定している、大量情報化社会をありがたく思っていることがうかがえる。むしろインターネットからある程度距離を置いているであろう、日常生活においてさほど利用していない人ほど、現在の大量情報化社会への戸惑いが大きく、振り回されているとの思いが強い。

この実情は情報が大量なものとなった現在社会への想いや、日常生活における所感からもつかみ取ることができる。

↑ 大量情報化社会への認識とインターネット経由で情報を処理する時に使っているツール数との関係(2016年春、アメリカ合衆国)(スマホ、タブレット型端末、自宅でのブロードバンド環境によるPC)
↑ 大量情報化社会への認識とインターネット経由で情報を処理する時に使っているツール数との関係(2016年春、アメリカ合衆国)(スマホ、タブレット型端末、自宅でのブロードバンド環境によるPC)

利用ツール数が多いほど、情報探索に難儀する機会は少なく、情報の多さにストレスを覚えず、大量情報化社会にも適応できる自信があるとしている。情報処理能力に長けているから多数のツールを使いこなしているのか、多数のツールを使いこなしているから情報処理能力に長けるようになったのか、相関関係はあっても因果関係には至らない。とはいえ、現在多数のネット利用ツールを持っている人ほど、その情報を使いこなしている自信がある、少なくとも自認している状態にあるのは、興味深い傾向には違いない。


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