日本人であるか否かを定義づけるのに何が必要か、日本人自身に聞いてみた

2017/01/13 10:45

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各国の国民、例えば日本ならば日本人であるか否かの定義は多種多様な解釈がある。法的な解釈以外にも、真の自国民ならこのような条件は満たしておくべきだといった見解は誰もが一つや二つは持っているはず。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社PewResearchCenterが2016年10月31日付で、定点観測による国際調査から日本に関わる項目を抽出分析した報告書【Japanese Back Global Engagement Despite Concern About Domestic Economy】から、その内情を確認していくことにする。


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今調査の調査要綱は先行記事【日本の取るべき対外姿勢は「他国を手助け」が6割、「国内優先で個々の国の努力に任せる」は1/3】を参考のこと。

次に示すのは単純な国籍の話では無く、真の日本人として認識をするためには、どのような要素を満たしているか否かについて、提示した要件が重要であるか否かを尋ねた結果。今項目は日本人に対して行われていることに注意。日本人のアイデンティティーのウェイトを認識できる、興味深い設問には違いない。

↑ 次の事柄は本当の日本人であるか否かを判断するのに重要な要素か(日本で質問、2016年春)
↑ 次の事柄は本当の日本人であるか否かを判断するのに重要な要素か(日本で質問、2016年春)

日本で生まれたことが重要だとする人は77%、中でも大いに重要だとの意見は半数に届いている。重要性は無いとする意見は22%。日本語が話せるか否か(どの程度の精通度かは今件では問われていない)は重要派が92%となり、今件設問ではもっとも多くの人が重要視している。日本の慣習と伝統を共有しているとの意見は90%だが、とても重要とする意見は43%に留まり、日本生まれとする回答と比べると少ないのが印象的。

項目は今件3つのみだが、その中では日本語が話せるか否かが、日本人としての必要要件としてもっとも重要視されていることが確認できる。生まれや伝統・慣習の共有は言語ほどではないが、重要な要素との認識は強い。ただし生まれに関しては重要でないとの意見も2割強居るのは覚えおくべき動きではある。

今件は実のところ、ここ数年で多数の移民(難民)が中東から押し寄せたヨーロッパ事情に合わせて設定されたようで、同調査のEU関連のレポートが同じ時期に発表されており、同一項目の結果も取得ができる。次に示すのはEUの調査対象国となるフランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、オランダ、スウェーデン、イギリス、イタリア、ポーランド、スペインの中央値を算出したもの。個々の国の回答値は、それぞれの国の国民であるか否かへの問いであることに注意。EU所属民として、ではない。

↑ 次の事柄は本当の自国民であるか否かを判断するのに重要な要素か(EU各国で質問、2016年春、EU全体の中央値)
↑ 次の事柄は本当の自国民であるか否かを判断するのに重要な要素か(EU各国で質問、2016年春、EU全体の中央値)

生まれに関しては重要性を認識しない人の意見がやや多いものの、それ以外は大よそ日本とさほど変わらない回答結果が出ていることが確認できる。真の自国民であるか否かの判断要素は、日本の判断基準は日本特有のものでは無いということだ。

なおアメリカ合衆国の同様の設問の回答は、大いに重要の回答値のみが取得できる。それによると、生まれについては32%、言語は70%、習慣や伝統は45%が、大いに重要だと考えている。これもまた、生まれ以外は日本やEUと大きな違いは無いと見ても良いだろう。


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