2016年9月度外食産業売上プラス1.5%…2か月ぶりに前年比プラスを計上

2016/10/26 09:00

日本フードサービス協会は2016年10月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2016年9月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス1.5%を計上した。前年同月と比べると休日が1日少なく、また天候も悪く外部環境の上ではマイナス要因が多かったものの、ファストフードの販促が効果を見せて数字を底上げし、外食産業全体をもけん引する形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が194、店舗数は3万3224店舗。今月は前月と比較すると事業社数は変わらず、店舗数は増加している。

全業態すべてを合わせた2016年9月度売り上げ状況は、前年同月比で101.5%となり、1.5%の増加を記録した。これは先月から転じる形で2か月ぶりの増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土曜日こそ変わらないものの休日は1日少なく、客数の点ではマイナスの影響を与えている。また度重なる悪天候もあり大阪では前年同月比で4日も雨天日数が多く、客足を引っ張るなど、外部要因的にはネガティブさが目立っている。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で10か月連続のプラス(プラス4.5%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかけとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続していた。昨今ではようやく単なる反動を超えた回復基調の気配も見せており、今回月では客数はプラス2.2%、客単価はプラス4.6%を計上し、売り上げもプラス6.9%と大幅なプラスを成している。

マクドナルド単体の2016年9月における営業成績はプラス11.5%(売上、既存店、前年同月比)とそれなりに大きな上げ幅を示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる。なお同業他社のモスバーガーではプラス3.5%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス0.4%、客単価はプラス2.2%と成し、売上はプラス2.6%とプラスを計上。「販促回数の増加が客数増につながり」との言及がある。麺類でも「テレビCMによる販促強化」との言及が見られ、積極的な広報展開が売り上げにもプラスの影響を与えているようだ。

ファミリーレストラン部門は洋風と和風がマイナスのため、全体でもマイナス。日取りと天候の影響がファストフード以上に大きく出たようだ。ただ一方で中華や焼き肉がプラスを維持している点を見ると、それだけに限らない感はある。

パブ/居酒屋部門では特に居酒屋の減退ぶりが著しい。客数がマイナス7.1%と、全詳細区分で最大の下げ幅。報告書に「引き続き店舗削減」とあるが、店舗数はマイナス8.4%であることから、確かに店舗数の減退が売り上げ低迷の主要因であるのがうかがえる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は4.4%のプラスと大きく健闘、客単価がいくぶん落ちたが売り上げはプラス2.7%を示した。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年9月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年9月分)

日取りの上で
不利な上、
続く悪天候が足を引っ張るも
販促効果が大きくけん引し
ファストフードが貢献。
ファミレスは軟調だが
全体ではプラスに。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。ようやく業績そのものも回復しつつある。昨今ではようやく客単価・客数共にプラスに転じる月が出てきており、今後どこまで復調を示すかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。店舗数の急速な減少は、状況の悪化を受け、淘汰が進んでいるように見える。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告もなされ、その市場の実情が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2016年9月は既存店で客数マイナス3.0%・客単価プラス1.3%、売上高マイナス1.8%を計上している。やはり日取りや天候悪化が足を引っ張ったようだ)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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