日米中の原油事情をグラフ化してみる(2015年)

2015/06/08 12:00

先行記事【世界各国の原油生産・輸入・輸出量をグラフ化してみる】において、【アメリカのエネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)】が公開している【石油関連部分のデータ一覧 International Energy Statistics】を元に、主要国の原油・石油事情をを複数面で確認した。今回はその中から特に注目したい日本、アメリカ合衆国、そして中国の動向に関して、もう少しチェック期間を伸ばし、複数の視点で眺めてみることにする。

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用語解説などは先行記事「世界各国の原油生産・輸入・輸出量をグラフ化してみる」を確認のこと。なお「原油」と「石油」の違いがデータ上も明記されているので注意を要する。油田などから採掘直後の「油」からガスや水分、その他異物を大まかに取り除いた、精製前のものを「原油(Crude oil)」、その原油や原油から精製されて作られた重油、軽油、ガソリンなどまで含めたものを石油と呼んでいる。

まずは今世紀に入ってからの日米中3か国の原油生産量の推移。

↑ 日米中原油生産量(2001年-、万バレル/日)
↑ 日米中原油生産量(2001年-、万バレル/日)

日本の原油産出量がごくわずかでしかないのは【国産原油供給量をグラフ化してみる】でも解説の通り。米中と比べると、ほぼゼロに等しい。他方中国は漸増の動きを示しているが、これは油田の開発などによるもの。急激な経済の伸張に伴い、必要なエネルギーもうなぎのぼりとなり、生産の増大が求められた結果による。

他方アメリカでは2009年以降急激な増加を示している。これは先行記事でも触れている通り、北米におけるシェール革命によるもの。元々存在は確認されていたが、採算性の問題からほとんど手付かずだったシェールガス・オイルに関して、画期的な採掘法(水圧破砕法)が開発され、一気に商業ベースに乗ったのが原因。カナダも同様の急激な生産量の拡大を示しており、北米ではゴールドラッシュならぬオイルラッシュ状態にあるともいえる。

続いて各国の原油生産量に、石油精製物の消費量、そしてその差異を算出したものをグラフ化する。原油と石油精製物の量をそのまま足し引きするのは少々強引ではあるが、指標的なものとしては十分に役に立つ。要は国内で石油周りのエネルギーに関して検証を行う際に、どれだけ自前でまかなえるかの指標である(実際には当然、精製の際の施設なども必要になるため、精製力も勘案しなければならないが、今件では除外視する)。

↑ アメリカ合衆国の原油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(2001年-、万バレル/日)
↑ アメリカ合衆国の原油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(2001年-、万バレル/日)

↑ 中国の原油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(2001年-、万バレル/日)
↑ 中国の原油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(2001年-、万バレル/日)

↑ 日本の原油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(2001年-、万バレル/日)
↑ 日本の原油生産量、石油消費量、生産量と消費量の差異(2001年-、万バレル/日)

まずはアメリカだが、消費量が漸減する一方、生産量は2008年以降増加、当然の結果として不足量は年々減少をしている。単純な量比較でもまだ不足していることに違いは無いが、石油産出国への傾注は随分と減ったに違いない。

中国では消費量がぐいぐいと伸びる一方で、生産量の増加が追い付かない状態。当然、不足分はますます大きくなる。アメリカと逆の状況にある。消費量を減らすような施策は国内から反発を受けてしまう。足りなければ他国から輸入するか、奪うしかない。同国がエネルギー周りで強引な政策を繰り広げる事案が増えてきたのも、このグラフからは透けて見えてくる。

日本は国内生産が絶望的である以上、消費量はほぼそのまま不足分となる(厳密には原油以外に原油精製物でも輸入しており、イコールとはならない)。輸入ルートの確保、石油産出国との良好な関係の維持が日本にとって欠かせない重要事項であることは、昔も今も変わらない。



足りない原油は原則輸入するしかなく、直接重油やガソリンなどの原油精製物を輸入する以外は、ほぼ不足分の動きと輸入量が連動している。また日米中すべての国で原油の輸出量は微量(日本にいたってはゼロ)であることから、それらのグラフ生成は省略する。

日本が原油などを輸入に頼っていることは周知の通りだが、上記の通り米中では大きな変化を見せ始めている。国単位のエネルギーに係わるそろばん勘定は、その国の外交政略にも大きな影響を及ぼす。その観点でも、今後の動向を注意深く見守りたいところだ。


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