世界各国の石炭埋蔵・採掘・輸出入量などをグラフ化してみる(EIA版)(2014年)

2014/11/29 14:00

当サイトでは【アメリカのエネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)】の公開データベースを基に、世界各国の主要エネルギーの生産・消費・輸出入動向をまとめている。昨今の同局は自国内の値を優先して更新する傾向が強まり、世界全体の値の更新は遅延を続けている。先日、ようやく石炭関連の値について2012年分のものまで反映されたのが確認できたので、その値を基に各種グラフを作成すると共に、状況の精査を行うことにする。

スポンサードリンク


主要国における石炭の埋蔵・採掘・消費量


石炭といえば、かつて日本国内では主要エネルギーの一つであり、国内でも大量に採掘されていた。1961年には年間5541万トンもの採掘が行なわれピークを記録したが、それ以降は石油に主要エネルギーの座を譲り渡したことや、外国産の石炭の方が割安との状況下で国内産の採掘量は激減。現在では年間消費量約1億8300万トン(2012年度)のほとんどが輸入品という状況にある。主な輸入元はオーストラリア・インドネシア・ロシア(【世界中からお世話になってます…日本の石油・石炭・LNGの輸入元をグラフ化してみる】)。

その石炭についてだが、地質学的な埋蔵量は3.4兆トンほどとされているものの、技術的・経済的に採掘が可能な埋蔵量は約8900億トン(2011年時点)に留まっている。その埋蔵量の上位国を列挙したのが次のグラフ。今件データはEIAでは2011年のものが最新値として収録されており、それをそのまま用いている。

↑ 石炭埋蔵量トップ15(億トン)(2011年、採掘可能量)
↑ 石炭埋蔵量トップ15(億トン)(2011年、採掘可能量)

トップはアメリカ合衆国、次いでロシア、中国の順。なお今回記事の「石炭」とは、瀝青炭・無煙炭・亜瀝青炭・褐炭のすべてを含めた値である。石炭の採掘、輸出でよく名前が登るオーストラリアも上位に名を連ねている。上位国のうちドイツの名前は意外に思う人もいるかもしれない。

次いで年間の採掘量上位国、そして採掘量の上位国におけるその国の消費量をかぶせたグラフを併記する。エネルギーの需要は効率性や環境などの観点から原子力や太陽電池、石油、ガスなどに主軸を移している国が多い。必ずしも石炭の消費量の大きさが、エネルギー関連の技術の先端性を意味するものでは無いことに注意する必要がある。

↑ 石炭採掘量トップ15(億トン、2012年)
↑ 石炭採掘量トップ15(億トン、2012年)

↑ 石炭採掘量トップ15とその国の消費量(億トン、2012年)
↑ 石炭採掘量トップ15とその国の消費量(億トン、2012年)

埋蔵量の順位とはかなり入れ違いがあり、トップは他国を大きく抜きんでる形で中国、ついで大きく差をつけられる形でアメリカ合衆国がついている。これは石炭の工業使用が技術的に容易であること、さらには安価で経済的に優れていることに起因する。ただし石炭は「適切」で比較的「高い技術力」による処理をしないと、二酸化炭素の排出量など環境面での負担も大きい。

また、消費量との重ね合わせグラフを見ると、大量の採掘量を有している中国が、(少なくとも数字の上では)自国内消費分でほぼ消費してしまっているのが分かる。同様の状況はインドなどでも生じているが(インドでは自国内採掘量だけでは足りないほど)、中国が(言葉通り)桁違いで採掘と消費を行っていることが理解できよう。

上記グラフは「採掘量順の」消費量。そこで次に純粋な消費量のみでの上位陣をグラフ化しておく。

↑ 石炭消費量トップ15(億トン、2012年)
↑ 石炭消費量トップ15(億トン、2012年)

中国の消費量の多さが改めて実感できる。2位以降の14か国分全部を合わせても、中国の消費量の方がまだ多い(14か国の合計は32.57億トン)。また日本や台湾のように、石炭を輸入に頼る国の名前が入っている(採掘量上位をもとにしたグラフでは出てこなかった)のも確認できる。

余れば輸出、足りなければ輸入…石炭輸出入量


さて、石炭を消費するにあたり国内で採掘できなければ、他国から調達しなければならない。逆に国内消費量以上の採掘がおこなえる国では、無理に採掘しなくてもよいし、余った分を貯蔵したり輸出する事も可能となる(無論、自国内で採掘できる石炭の品質、種類により、全体量としては充足していても、不足している種類の石炭を輸入しなければならない場合もある)。そこで輸出・輸入量についてまとめたのが次のグラフ。

↑ 石炭輸出量トップ15(億トン、2012年)
↑ 石炭輸出量トップ15(億トン、2012年)

↑ 石炭輸入量トップ15(億トン、2012年)
↑ 石炭輸入量トップ15(億トン、2012年)

輸出量は日本における大量の輸入元であるインドネシアがトップ。次いで同じく日本がお世話になっているオーストラリア、そしてロシアの順。採掘量の上位の国でも、自国消費量の方が多い国はほとんど輸出まで回せないことが分かる。

一方輸入量では中国がトップ。2011年時点では日本と僅差だった中国の輸入量は、わずか1年で大きく差を広げている。採掘量・消費量・輸入量と合わせて見返すと、アンバランスさが気になるところではある。



石炭は製鉄の原料として使われるだけでなく、発電用エネルギー源としてもいまだに重要な役割を担っている。2007年の乱高下相場をきっかけにした資源の価格上昇以降、採掘技術や環境対策の進歩を受けて石炭が見直されつつある話はすでにお伝えした通りだ。昨今においても同様の状況が見られる。また日本に限れば、LNG同様に火力発電所の燃料としても注目を集めている。

EIAのデータでは入力が遅延している模様で、今回は全データが揃っている2012年分を最新のものとして各種グラフ生成と分析を行った。今後逐次アップデートがされ次第、新しい値で再精査を行うことにしよう。


■関連記事:
【原油高騰がもたらしたもの・北海道産の石炭が再注目を集める】
【日本の石炭事情をグラフ化してみる】
【各国エネルギー政策が見えてくる・世界主要国のエネルギー源をグラフ化してみる(2014年)(最新)】
【日本の原油輸入元をグラフ化してみる(石油統計版)(2014年)(最新)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー