【更新】世界各国の原油生産・輸入・輸出量をグラフ化してみる(2015年)

2015/06/08 12:00

多様なエネルギー資源が開発されている現在でもなお、化石燃料の代表格で産業、経済、さらには人々の社会生活そのものを支える柱となっているのが石油(原油)。その石油の各国における生産量や輸出量・輸入量の動向は複数の調査機関や公的機関が精査し、公開している。今回は【アメリカのエネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)】が公開している【石油関連部分のデータ一覧 International Energy Statistics】の提供データを元に、現在確認できる範囲の状況をチェックしていくことにする。

スポンサードリンク


生産量と消費量、そしてそれらを並べると


状況精査の掲載の前に、いくつか用語説明を。「1バレル」は良く耳にするであろう、石油・原油の量を測る単位。樽(たる)が語源で42ガロン・158.987294928リットル(約160リットルと覚えれば、日常生活では問題ない)。「確認埋蔵量」とは、現在の技術で経済的に採掘できる量。科学技術が進歩して、より深いところまで採取できるようになれば、これまで以上に「確認埋蔵量」が増える可能性もある。当然、計測ミスや再検証の結果、減る可能性もある。

また「石油」はいわゆる採掘直後の「油」を指す場合もあるし、採掘した油からガスや水分、その他異物を大まかに取り除いた、精製前のものを指す場合もある(こちらはむしろ「原油(Crude oil)」と呼ぶ場合が多い)。さらには原油を精製したあとの重油や軽油、ガソリンを合わせて呼ぶこともある。今回対象となるのは「原油」と表記しているものはそのまま「原油(Crude oil)」、石油消費量として掲載している「石油」は原油から精製された精製物を指すこととする(資料では「Refined Petroleum Products」の表記がされている)。

それではまず原油生産量トップ10。今項目は現時点で2014年の値が取得可能なため、2014年の値で上位を抽出し、その順位で5年分の動向も併記した。

↑ 原油生産量トップ10(2010-2014年、万バレル/日)
↑ 原油生産量トップ10(2010-2014年、万バレル/日)

意外に見えるが、EIAの公開データの上では、現在原油生産量のトップを行くのはサウジアラビアでもロシアでも無く、アメリカ合衆国。しかもこの数年で大きな伸びを示している。これは言うまでもなく、同国によるシェールガス・シェールオイルの商業ベースでの量産技術開発とその普及に伴い、生産量が飛躍的に増加した結果。カナダもその恩恵を受けており、アメリカ合衆国ほどではないものの、確実な伸びを示している。

増加傾向にあるのは他にもイラクやUAE。イランは逆に漸減、サウジアラビアは頭打ち的な状態。それらの国も合わせ、石油消費国としてのイメージの強い国も複数上位についている。

続いてこの生産量トップ10の国それぞれにおける、自国内の石油消費量を併記する。単純な足し引きで概念レベルの考察となるが、生産量よりも消費量が多い場合には、どこかから輸入しなければならない。逆なら備蓄や輸出が可能になる。

現実にはもっと複雑で、単純に原油と原油からの精製品の量を比較するのはやや無理があり、また国内に精製施設のあるなしも考慮しなければならない。さらに精製品を直接輸出入する場合もある。もちろん原油ベースでの品質の違いもあり、「生産量>>消費量」でも輸入する場合も少なくない。あくまでも概念的、目安的なものと見てほしい。なお消費量は現時点で2013年の値が最新値なので、それを適用する。

↑ 1日あたりの原油生産量と石油消費量(生産量は2014年、消費量は2013年、万バレル/日)
↑ 1日あたりの原油生産量と石油消費量(生産量は2014年、消費量は2013年、万バレル/日)

アメリカ合衆国はあれだけ大量の原油を産出しておきながら、それでもなお石油消費量の方が多い。他方、石油輸出国として知られているサウジアラビアやロシアでは大幅に生産量が超過しており、その実情を改めて認識できる。UAEやイラン、イラクも同様。他方中国は絶対量こそアメリカ合衆国に及ばないものの、大幅に消費量が生産量を超えており、不足感が強い状態となっている。

輸出量と輸入量はどうだろうか


EIAには「原油の」輸出・輸入のデータも収録されている。そこでそれらも確認しておくことにしよう。こちらは現時点で2012年の値が最新値なので、2012年の値で順位を確認して上位10位国の、5年間の動向を併記する。

↑ 原油輸出量トップ15(2010-2012年、万バレル/日)
↑ 原油輸出量トップ15(2010-2012年、万バレル/日)

↑ 原油輸入量トップ15(2010-2012年、万バレル/日)
↑ 原油輸入量トップ15(2010-2012年、万バレル/日)

原油の輸出量トップはサウジアラビア、次いでロシア、続いてカナダ。石油産出・輸出国として知られている国々が並ぶ中で、カナダが上位に入っているのを意外に思う人もいるかもしれないが、北米でのシェール革命に伴い、シェールオイルを多分に輸出できるようなったのが増加の主要因。上位陣には入っていないが、アメリカ合衆国も原油の輸出量は増えている。

他方輸入量では、アメリカ合衆国が最上位。上記の生産・消費量のグラフの通り、大量の原油を生産してもなお、国内消費をまかなうには不足しており、多くの原油を輸入している。もっとも最近ではシェールガス・オイルの恩恵を受けて国内生産で充足できる量が増えたため、輸入量も減少のさなかにある。

他方、中国や韓国は増加の一途をたどっている(中国は2012年に大きく落ちているが)。国内の経済成長に伴い、国内生産だけでは充足しきれなくなったため、輸入を増やしている次第である。



今件はあくまでも(消費量をのぞけば)原油の動向を見たもので、ガソリンや重油などの原油精製品の動向までは追いかけていない。例えば原油精製品に限れば輸出量トップはアメリカ合衆国で次いでオランダ、輸入量トップはシンガポールで次いでオランダとなる(いずれも2012年ベース)。原油の生産量では世界でトップ、原油精製品などの輸出量でもトップのアメリカ合衆国が、それでもなお大量の原油を輸入し、消費しているのを見るに、いかに同国が巨大な経済力を有しているかが改めて認識できよう。

アメリカ合衆国の石油事情の変化は、本文中でも何度か触れているシェールガス・オイルの採掘に係わる技術革新と、その普及によるところが大きい。元々存在は確認されていたが、それが採算ベースで採掘できるようになったことで、同国のエネルギー戦略にも大きな影響・変化が生じている。

また輸出・輸入量に関しては2012年の値が現時点では最新値となるが、景況感の回復や各産油国の思惑なども合わせ、2013年以降はさらに大きな変化が予想できる。今後も逐次アップデートが行われ次第、その状況を確認していくことにしよう。


■関連記事:
【1990年以降の世界の二酸化炭素排出量比率をグラフ化してみる(2014年)(最新)】
【アメリカと中国の2000年以降のエネルギー消費量推移をグラフ化してみる】
【日本の原油輸入元をグラフ化してみる(石油統計版)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー