フジとNHKが大いに下がる、日テレとTBSは堅調…主要テレビ局の直近視聴率をグラフ化してみる(2016年3月期上半期)

2015/11/08 14:00

従来型4マスメディア、具体的にはテレビ・新聞・雑誌・ラジオの中で、最大の広告市場規模と媒体力を有すると共に、昨今の広告市場動向では、唯一復調の兆しを示しているのがテレビ。そのテレビ全体、あるいは各局、さらには各番組のすう勢を推し量るのに、もっともシンプル、かつ明確な指標が「(世帯)視聴率」。要は世帯単位でどれだけその番組・テレビ局、さらにはテレビ放送そのものが視聴されているかを指し示したもので、雑誌や新聞ならば購読者数、販売部数に相当する。今サイトではテレビ局の中でもキー局、そして上場を(直接、あるいは間接的に)果たしている企業の(半期)決算短信資料などを基に、ほぼ半年毎にキー局の視聴率動向を確認している。今回は2015年10月から11月付で発表された各社の半期決算短信資料を基に、2016年3月期(2015年4月から2016年3月)における上半期の視聴率動向を確認していくことにする。

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全日もプライムも日テレトップ


日本国内のテレビ局における視聴率は以前【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】で解説した通り、現在ではビデオリサーチ社のみが計測を実施している。上場テレビ局・企業では各社が程度の差はあるものの投資家への経営の状況判断材料として、各種短信資料で視聴率の公開を行っている。視聴率動向が広告売上をはじめとしたテレビ局の主事業である放送業務の勢いを推し量るのに、最適な指標だからである。一方、各社の資料ともビデオリサーチ社提供の値を基にしているため、基本的に同じものとなる。

まずは現時点で直近にあたる2016年3月期上半期の、キー局の視聴率をグラフ化する。データは【TBSホールディングス・決算説明会資料集ページ】内にある「2016年3月期第2四半期決算資料」から取得した(第2四半期とは上半期のことである)。なお「キー局」と表現した場合、一般的にはNHKは含まれないが、良い機会でもあるので合わせてグラフに収めておく。

↑ 2016年3月期・上期視聴率(2015/3/30-2015/9/27、週ベース、ビデオリサーチ)
↑ 2016年3月期・上期視聴率(2015/3/30-2015/9/27、週ベース、ビデオリサーチ)

テレビ東京は区分の上では在京キー局の5局に収められているが、他の4局と比べれば放送内容の特異性(比較的経済関連の内容が多い)の都合上、視聴率で他局と比べて低めの値が出るのは、ある意味やむを得ない。その特異性を考慮し順位精査の際に除外すると、TBSとフジテレビが低めの状態にある。前年同期までは主要キー局ではTBSが一番低迷していたが、今半期では全日こそTBSが最低値ではあるものの、ゴールデンタイムとプライムタイムではフジテレビが下回るようになった。

視聴率が低迷しやすい昼間や深夜を除いていることから、全日と比べて高い視聴率が期待できるのがゴールデンタイム(19時から22時)とプライムタイム(19時から23時)。その双方で、10%を切っているのは(テレビ東京以外では)TBSとフジテレビ、そしてプライムタイムのみだがNHKと、合わせて3局。上位陣では日本テレビが群を抜き、テレビ朝日が追いかける形を取っている。NHKはややそれに遅れて続く形だが、プライムタイムが弱い。

22時から23時の平日の番組表今件で選択したテレビ局の中ではやや特異な動きを示しているのがNHK。他局と比べてゴールデンタイムとプライムタイムの差異が結構大きい。これは以前からの傾向で、ゴールデンタイムよりもプライムタイムの方が低いことから、その違いとなる時間帯、22時から23時における視聴率がとりわけ低く、平均値を下げてしまっていることになる。もっともこれは各テレビ局の番組構成上、民放ではこの時間帯に番組のクライマックスや人気の高い番組が入ることが多いのに対し、NHKではそうとは限らないこともあり、仕方のない面もある。

ゴールデンタイムで視聴率動向を見ると、トップは日本テレビ、次いでテレビ朝日、NHKの順となる。しかしプライムタイムで比較すると、やはりトップは日本テレビ、次いでテレビ朝日が付くが、その次にTBSが収まることになる。NHKのプライムタイムでの低迷ぶりは直上にその理由を記した通りだが、プライムタイムではテレビ朝日がキー局で唯一、ゴールデンタイム以上の値を示しているのは意外かもしれない。22時から23時の時間帯で放送される各局の人気番組のすう勢が、そのままこの差に表れるともいえる。テレビ朝日の場合は「報道ステーション」がメイン、後は各種映画や特番、ワイド劇場となるのだろう。

前年同期からの変化で各局の勢いを推し量る


視聴率の変移を前年同期(2015年3月期上半期)との比較で表すと次のようになる。

↑ 2016年3月期上半期・視聴率前年同期比(週ベース、ビデオリサーチ)
↑ 2016年3月期上半期・視聴率前年同期比(週ベース、ビデオリサーチ)

元々テレビの局単位での視聴率は、多分に特番や特定の番組、さらにはイベント的な放送に多分に影響されるところがある。例えば社会現象を引き起こすほどの人気を博したNHKの「あまちゃん」、TBSの「半沢直樹」が好例。

今回の上半期では記事タイトルにある通り、日本テレビやTBSの堅調ぶり、フジテレビやNHKの軟調さが目に留まる。まず日本テレビだが補足資料には「好調な視聴率を背景に、スポット収入大幅増収」とあるのみで、詳細への言及は無い。一方決算短信では「2014 FIFA ワールドカップ ブラジル」の反動があったもののレギュラー番組枠が堅調だったことが挙げられており、特定の番組の好調さでは無く、定番の番組が底上げしたことがうかがえる。TBSでは補足資料・決算短信共に視聴率をけん引した具体的番組名は挙げられておらず、むしろ前年の各種スポーツイベントからの反動と、広告の減少傾向が言及されているほど。視聴率のアップが売上とは連動するとは限らない事例となっている。

フジテレビの短信資料から他方、前年同期比ではもっとも下げ幅の大きなフジテレビだが、放送部門では経費削減などを図ったものの放送収入が大きく減り、こちらは視聴率に連動する形での動きが確認できる。第1四半期の時点ですでに軟調さの気配があったことから、新番組や新企画の投入、具体的にはお昼時のバラエティや夕方のニュース情報番組への定着の促進、ゴールデンタイムなどのレギュラーバラエティ番組の開発推進といった活入れと思われる文言があるが、少なくとも上半期の終了時点では効果は出なかったようである。

NHKに関しては民放同様に決算関連資料の公開はあるものの、公開株式会社及びその関連会社では無いことから、内容も目標として掲げているものや実績のみが語られており、視聴率の現状に関するネガティブな分析はほとんど見られない。ただ、中央番組審議会の意見として「総合テレビのジャンル別世帯視聴率で、ドラマが前年度同期と比較して下がっているので課題があるのではないか」との意見が見受けられる。

一方で昨今問題視される事案が発生した、そして放送時間帯から鑑みるに、今半期における視聴率の低下の大きな要因として考えられる「クローズアップ現代」(月曜から木曜の19時半から放送)に関しては、研修などの取り組みを進める一方で、「良い番組でもあり、これから評価がさらに改善することを期待」とあり、どこまで実情を認識しているのか、首を傾げざるを得ない点があるのは否めない。

詳しくは経年のテレビ視聴率の記事で解説するが、この数年は各局ともターニングポイントを迎えている気配を示している。ある局はVの字回復を見せ、ある局は低迷を続け、ある局は下落傾向が継続している。まるで雑誌の印刷証明部数の話を思い起こさせるのだが、単発のヒーロー的番組やイベントのおかげで一時的な盛り返しを見せることはあっても、根本的な体質、視聴者への姿勢の部分がしっかりとしていないと、次第に低迷さが顕著になる。

中にはそのドーピング的効果に味を占め、魅惑に取りつかれ、繰り返しその効果を望んでいるような行動を示す局も見受けられるが、「待ちぼうけ」の歌にある通り、常に切り株にうさぎがやってくるとは限らない。それを期待するどころか、切り株を増やすべく樹の伐採を繰り返し、かえって地道な努力の成果である果実の収穫量を減らすような動きすら見受けられるのは残念な話。

4大従来メディアの中では最大の影響力を持つ一方、その力に翻弄される面も見せている。そのような状況下で、各局がいかなる姿勢を見せ、その姿勢が視聴率の動向にいかなる成果として結びついていくのか。今後も注意深く見守りたいところだ。


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