コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2015年)

2015/10/30 05:00

店舗数は増加の一途を続け、取扱商品・サービスの領域も日々拡大し、ますます日常生活に深く浸透しつつあるコンビニ(コンビニエンスストア)。一方、かつてはそのコンビニで客引きの重要商品であった雑誌をはじめとする出版物も、その立ち位置を少しずつ変えつつある。今回はコンビニ大手各社それぞれにおける出版物の販売動向を、【出版物の種類別売上の変化をグラフ化してみる(前年比)】でも用いた、日販による『出版物販売額の実態』最新版(2015年版)のデータをベースとして精査を行うことにした。

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コンビニ四天王の圧倒的な売上


今資料には34位までのコンビニ各社の直近データが一堂に会され、記述されている。これを元にまずは年間売上1000億円以上のコンビニ「8社」のグラフを生成しよう。

↑ コンビニ売上高(2014年、1000億円以上)
↑ コンビニ売上高(2014年、売上1000億円以上)

コンビニの売上額上位4社を評した表現「四天王」(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス)に偽りはないことがあらためて確認できる。もっともさらに良く見るとセブンイレブンが群を抜いており、ローソンとファミリーマートが競り合い、サークルKサンクスがそれらの後を追う形。この図式も数年来お馴染みのもの。

一方、前年まで精査対象外だった、JR東日本関連のコンビニ「NEWDAYS」が今回年では1000億円のラインを突破し、グラフ表記の上で該当することとなった。他方スリーエフは前年に続き、わずかに手が届かない状態。

また【ファミリーマートとユニーグループの経営統合、ようやく詳細確定・決着】でも伝えている通り、ファミリーマートとサークルKサンクス(の母体のユニーグループ)は2016年9月をめどに経営統合することが正式に発表されている。コンビニブランドも現時点では確定ではないものの「ブランドを一本化することを軸として、今後検討してまいります」との公式見解が出ており、恐らくは2016年10月以降において両コンビニは一体化するものと考えられる。よって今件グラフも早ければ2016年分以降はセブンイレブンの次にファミリーマートが位置するようになるのかもしれない。

それでは各コンビニにおける出版物売上高(全店舗総額)を計算の上、グラフ化する。店舗数も多く全体売上も段違いなセブンイレブンがトップであることに変わりは無い。今年も去年分データを(グラフ上のみ)併記し、変移も確認できるようにした。なお直上のグラフと比較しやすいよう、あえてコンビニの名前順は同じにしてある。とはいえ、結局のところ売上高の順位と変わらないのだが。ただし今回は特別に、次点のスリーエフも含めたグラフとしている。

↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上+α、2013年-2014年、億円)
↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上+α、2013年-2014年、億円)

「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」「サークルKサンクス」の「四天王」がそれより下位のコンビニと比べると、売上高で大きく競り勝っていることに違いは無い。順位も同じ。これは後述するように、セイコーマートをのぞけば1店舗あたりの売上に大きな違いは無く、店舗数の差異がそのまま大きく反映されているからに他ならない。

ただしミニストップ以下の動向にはいくつか留意する点がある。まずNEWDAYSが総売り上げ順位と比べ、出版物売上では順位を違えるほどに大きな値を示していること。セイコーマートを抜く売り上げを計上している。これはエキナカ・駅周辺に店を構える同コンビニの特性によるもので、鉄道利用者における時間潰しのツールとして、雑誌の売れ行きが普通のコンビニと比較すれば堅調であるからに他ならない。

また絶対値は低めではあるが、店舗数が増えたわけでは無い(むしろ減っている)にも関わらず、スリーエフが前年と比べて大きな伸びを計上しているのも確認できる。今件に関してはグラフに特例として加えた理由でもあるのだが、詳しくは次の項目で解説していく。

1店舗当たりの売上を見ると


店舗あたりの売上について、単純に「出版物販売額」を「店舗数」で割り、1店舗あたりの年間出版物売上額を算出し、グラフにしたのが次の図。並びは2014年時点での店舗単位の売上高順に入れ替えてある。上記で触れた通り、鉄道利用者の雑誌購入機会を大きく取り込んでいるNEWDAYSが抜きん出た値を示している。

↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上+α、2013年-2014年、万円)
↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上+α、2013年-2014年、万円)

しかしながらそのNEWDAYSですら前年比ではマイナス。大手ではわずかにローソンが増やしているのが目に留まる程度。冒頭でも触れているが、昨今ではコンビニにおける出版物の立ち位置も変わり、ウエイトが随分と軽いものとなっている。随分と陳腐な表現だが「コンビニの出版物離れ」、あるいは「コンビニ客の出版物離れ」は確実に進んでいる。

そしてこれらの動きの中で唯一イレギュラー的な上昇ぶりを示しているのが、今回特例として精査に含めたスリーエフ。前年比で大よそ2倍強もの売上アップを計上している。ここまでの増加は何らかの施策が打たれた結果に他ならない。そしてその施策は同社の各種IR資料によると、具体的かつ明確な方針として「BOOK強化店舗の創生・拡大」が挙げられる。

スリーエフの株主通信から・本の販売店舗拡大の言及具体的な店舗に関するレポートは【コンビニなのに、本の品ぞろえ充実しすぎ!? スリーエフに「書店化」の動き】などで見ることが出来るが、スリーエフでは個人営業の小型書店並の品揃えを示す本のコーナーを呈する店舗を作り、その数を増やしている。雑誌だけでなく新刊、文庫本、コミックなど、大よその種類はカバーしている。そしてIR上の報告書や株主向けのレポートでも「売上向上効果が検証された青果強化店舗やBOOK強化店舗の拡大」「品揃えを拡充した本の販売店舗を拡大」とあり、本への注力強化によって本自身だけでなく、来客数や客単価、売上にもプラスの影響が認められ、今後もこの施策を継続・強化していくと伝えている。

今回のスリーエフにおける出版物売上高の倍増は、間違いなくこの施策による結果。そして先日【ローソンで「書籍」販売拡大へ…千店舗に専用商品棚を導入】でも伝えたように、ローソンが類似の施策に乗り出した(ただし現状ではスリーエフのような雑誌面での強化は確認できない)のも、この勢いを確認したからだと考えれば道理は通る。

さて前年比を試算したのが次のグラフ。説明の通り、スリーエフがイレギュラーともいえる伸び率を示し、他社の上下動向を小さなものと誤解してしまうようなグラフを生成させてしまっている。しかし数字を見る限りでは、ローソンがプラス以外は4社が前年比で1割以上の下げ幅を示しており、出版物の売り上げ状況が厳しい状態にあることを改めて実感させる。

↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上+α、2013年-2014年、前年比)
↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上+α、2013年-2014年、前年比)

特にセブンイレブンは【「セブン-イレブンは街の本屋」コンビニが本屋さんを名乗る時代】などにもある通り、積極的な印刷物の取扱をアピールしている。にも関わらず店舗当たりの売上高は1割以上の減少。ドーナツなどの間食向けカウンター商品を食する場所として、イートインコーナーを続々と新設しているが、その場所の確保のために雑誌・書籍コーナーを縮小する事例が相次いでおり、これが影響した可能性は否定できない。



純粋なコンビニで、との意味でトップに立つセブンイレブンの出版物売上高は年間425万円。つまり1日あたり1万1600円強になる。同じくセブンイレブンの売上総額から1店舗当たりの金額を計算すると約2億2900万円。一日約62.8万円。出版物が占める比率は約1.85%。少ないか多いかは微妙なところだが、これについては後編で精査していくことにしよう。


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※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 店舗サービスグループ「出版物販売額の実態2015」

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