駅売店などの出版物販売動向をグラフ化してみる(2015年)

2015/10/30 05:00

電車内での時間潰しの主役が雑誌や書籍などの出版物から、携帯音楽端末やスマートフォンなどの携帯電話に代わりつつあるものの、現在でもなお駅売店で週刊誌をはじめとした雑誌、そして新たに発売した文庫を購入する機会は少なくない。そこで今回は、駅売店とスタンドの出版物の販売状況について、日販の『出版物販売額の実態』最新版(2015年版)を元に状況を確認すると共に、その変化を精査していくことにした。

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まずは駅売店とスタンドのみを抽出した、販売ルート別推定出版物販売額をグラフ化する。全体版は以前の記事【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】で記した通り。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(駅売店・スタンドのみ、億円)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(駅売店・スタンドのみ、億円)

元々スタンド売りの方が額面が小さいのも一因だが、駅売店の下落ぶりが大きい様子が一層目立ってしまうグラフとなっている。これは先行記事で解説の通り、駅売店における鉄道利用客による購入機会の減退、そして売店そのものの閉鎖に加え、路線単位で駅売店がコンビニ企業に業務委託(してコンビニ化)するケースが増えているため。とはいえ、スタンド売りも規模を縮小していることに違いはない。

さて続いて、これを積上げグラフの形にしたのが次の図。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(駅売店・スタンド)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(駅売店・スタンド)

減少額・減少率共に駅売店売りの方が大きいため、両者を合わせた額におけるスタンドの存在感が年々増している。とはいえ、両者共額面を減らしており、早急な手を打つべき事態であることに違いは無い。

駅売店の場合は店員のなり手が少なく(レジが無いため在庫管理が不十分との指摘からレジを導入すると共に、ベテランの正社員店員をパートに切り替えたところ、パート店員の質が安定せずに客をさばききれず売上が減退、そのためセルフレジの導入を促進しているとの話もある。【参考:キヨスク180店休業中 ベテラン店員去り人手不足】参照のこと)、一方で鉄道利用客数に大きな変化は無い。それどころか今世紀に入ってからは一時下落に転じたものの大よそ増加の動き、ここ数年では堅調な伸びを示している。

↑ 鉄・軌道旅客数量(のべ、億人。国土交通省・鉄道輸送統計調査から作成)
↑ 鉄・軌道旅客数量(のべ、億人。国土交通省・鉄道輸送統計調査から作成)

結果として売店の開店時間の調整をしなければならない状態が続いている。これでは駅売店で出版物の売り上げを伸ばすのも無理なお話。

この事態を打開するため、鉄道会社とコンビニ各社が提携を結び、駅構内に独自のコンビニを展開する事例も続々見受けられるようになった。【近鉄の駅ナカ売店など、ファミリーマートに転換へ】で紹介した「TOMONY」が良い例。また昨今では提携の上で独自ブランドでは無く、コンビニブランドのままで駅構内への売店として展開が行われるケースも珍しくなくなった。

店舗数の増大によるスケールメリット戦略を積極化するコンビニ側の需要、そして鉄道会社側も売店運営のわずらわしさから解放されると共に、相応の利益を確保しながら鉄道利用客へのサービスも維持できることから、双方共にメリットが生じる形でのスタイルとして、積極的な動きが各鉄道会社で見受けられる。上記で挙げた「駅売店の販売額減退に対して早急な手を打つべき事態」への回答が、まさにコンビニへのシフトなのだろう。そして出版物販売額における駅売店での値が急速に下落しているのも、個々の売店における出版物の売れ行きの減退だけでなく、売店そのものの減少(=コンビニ化)が要因と考えれば、十分に納得のいく説明となる。



全体額の減退はともかく、個々の駅売店での販売額減少の最大の原因は、冒頭でも触れた通り電車内での時間の過ごし方が大きく変化したのが主要因。かつては電車内での時間を有意義に、少なくとも暇なまま過ごすことの無いよう、駅売店で雑誌などを購入したものだが、最近では自前の携帯電話でソーシャルメディアへアクセス、ゲームを楽しむ、ニュースを確認するなど、多種多様の有意義な時間消費ができるため、駅売店での出版物購入の必要性が低下している。

↑ 一人で電車に乗っている時、何をしているか(複数回答)
↑ 一人で電車に乗っている時、何をしているか(複数回答)。【男性読書、女性は? …男女で異なる「電車乗車時にしていること」】から再録

上記で挙げた運営戦略上のミスも小さからぬ要因だが、仮にその判断ミスが無くとも、電車利用者の行動性向の変化は生じており、遅かれ早かれ需要と供給のバランスは崩れたに違いない。そして駅売店数は減り、販売機会が減ることでさらに販売額は減少していく。時代の流れとはいえ、少々もの悲しいところがあるのも否めない。


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※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 店舗サービスグループ「出版物販売額の実態2015」

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