大きく落ちる新聞への信頼感、その理由は(2015年)

2015/10/28 10:00

情報を伝える媒体としてのメディアに対する信頼度は、日本においても漸減する傾向にあることは既に多数の調査結果から明らかにされている。先に【じわりと下がるメディアへの信頼度、震災以降加速化か(2015年)(最新)】で伝えた通り、財団法人新聞通信調査会が発表したメディアに関する全国世論調査の2015年度版でも、その実態は明らかにされる形となった。それではこの1年間で各メディアへの信頼感は、どのような変化を見せているのだろうか。その内情、特に新聞に関する動向を見ていくことにするる(【発表リリース:2015年メディアに関する世論調査結果】)。

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全メディアで「信頼下落」>>「信頼上昇」


今調査は2015年8月21日から9月8日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3183人。

先行記事「じわりと下がるメディアへの信頼度、震災以降加速化か(2015年)(最新)」の通り、主要情報配信メディアに対する信頼度は漸減する傾向にある。新聞に関しては直近年度は前年度と比べて0.2ポイント上昇しているものの、中長期的に見れば減退傾向にあることは否定できない。

↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年別)(再録)
↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年別)(再録)

そこで直近の2015年度において、この1年間で各メディアに対して信頼感は変化したのか否かを聞いた結果が次のグラフ。前々年2013年度、そして前年2014年度に同様の問いをした結果も併記してある。

↑ 各メディアへの信頼感は変化したか(前年度と比べて)
↑ 各メディアへの信頼感は変化したか(前年度と比べて)

信頼感の上下度合は回答者それぞれで一概には言えないが、大よそ「上昇」が「下落」より多ければ信頼度は増加し、逆なら減少と見ることが出来る。その観点で結果をチェックすると、全メディアで信頼度は減少していることになる。

メディア毎の動向を見ると、特に新聞、民放テレビ、雑誌において、「下落」が「上昇」を大きく上回る結果が出ている。信頼感が損なわれた、失望した人が多かった次第である。特に雑誌は「上昇」が0.8%しかいないのに対し、「下落」が14.7%との結果が出ており、権威が大きく失われていることが確認できる。

前年度との差を見ると、NHKテレビの「下落」の大幅増加が目に留まる。リリースでは特に解説は無いが、例えば今年4月末における報道番組「クローズアップ現代」に関するやらせ問題で、総務省からの行政指導文書の受け取りを一時的ながらもNHK側が拒否したことをはじめ、国内外の事案に係わる誤報や不祥事的な報道や、その事案に対する姿勢への問題がいくつか想起される。

また新聞の下落は前年度ほどではないが、高い値が維持されている。これは前年2014年度の大幅下落の原因となった、朝日新聞における誤報・捏造・誤報に対する再精査への意図的な無作為による放置の数々が取りざたされたこと、そしてその姿勢が今なお継続しているように見える現状が、小さからぬ影響を及ぼしているものと思われる。一度明確な形で失われた信頼は、すぐには回復しない実情が表れているのかもしれない。

新聞ってどうよ? そしてその理由は??


直近では新聞の信頼感が増した人は4.1%、下落した人は7.9%との結果が出ている。それぞれの回答者に、なぜそのような選択をした・思ったのかを聞いた結果が次のグラフ。

↑ 新聞の信頼感が高くなった理由(該当回答者)
↑ 新聞の信頼感が高くなった理由(該当回答者)

↑ 新聞の信頼感が低くなった理由(該当回答者)
↑ 新聞の信頼感が低くなった理由(該当回答者)

新聞をより信頼するようになった人の理由だが、情報の正確性や公正・中立さへの評価、根拠に基づく情報を報道したことが主なものとなっている。ドラマや映画で新聞社に勤める主人公が語りそうな「政府や財界に迎合しない」との意見は5.4%でしかない。

前年度との比較では、公正・中立の立場での報道や、モラル、政府などへの迎合に関する評価が増え、情報の正確さ、根拠に基づく情報の報道の観点で減少している。イメージ的な観点での信頼感の積み上げが成されたようだが、一方で報道の存在そのものの根底となる情報の正確さ・根拠ある情報の観点による評価が落ちているのは、ゆゆしき問題と認識すべきだろう。

また「何となく」が減少傾向にあるのも印象的。これは雰囲気的なもので新聞を評価する人が減っていることを意味し、中身を見極めて高評価に値すると判断する人が増えているとも考えられる。

他方信頼が損なわれたと感じる人のトップ意見は「誤報があった」で29.9%。ダイナミックなまでに増加した前年度からさらに増加している。前年度の増加は前述の通り朝日新聞の複数事案が大きく影響したものと考えられるが、その事案で傷ついた新聞全体の権威はまだ回復しておらず、むしろさらに状況は悪化していることになる(もちろん朝日新聞だけに留まる話では無く、またこれまで見過ごされてきたレベルの誤報に気が付くようになったケースも多分にあるのだろう)。

特定の勢力に偏った報道をしているからとの意見も多く、1/4に届いている。今件は択一回答のため、誤報選択肢に大きく数字を吸い取られた形となったが、モラル低下や政府・財界の主張通りのみとの意見も少なくない。



新聞は主要メディアの中ではNHKテレビに次いで高い信頼度を有しているが、それは多分にこれまでの先人諸氏の努力によって構築された「信頼」という名前の資産を食いつぶして、ようやく維持していると表現できる。その現状を認識し、行動を律する事が出来なければ、「信頼感は下落した」との回答者率は、来年度以降も高い値を維持したままとなるに違いない。


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