強い、強いぞタブレット…電子書籍購入者状況をグラフ化してみる(2015年)

2015/07/26 10:00

アマゾンによる電子書籍リーダーも兼ねたタブレット型端末「キンドル」の日本国内販売の開始と普及、回線の高速化とインターネットへのアクセス環境を提供する端末の高性能化、スマートフォンやタブレット型端末のような機動力の高い端末の普及、そして漫画や書籍のビデネスモデルの多様化など、多種多様な要因、環境の変化に伴い、電子書籍は急速に普及しつつある。今回はその実情を探るため、総務省が2015年7月17日に発表した「通信利用動向調査」の公開値を基に、有料で購入された電子書籍の購入者率を確認していくことにする(【発表ページ:通信利用動向調査】)。

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タブレット型端末と電子書籍の相性は最強


今調査の調査要項は先行する解説記事【自宅パソコンのネット接続回線の種類をグラフ化してみる】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

「通信利用動向調査」では電子書籍に関して、対価を支払って購入した人の割合・人数を確認できる。残念ながら無料で閲覧できるタイプの電子書籍利用者は推し量れないが、購入タイプの電子書籍利用者動向はこの値を基に知ることができる。

次に示すのは、純粋なインターネット利用者に対する電子書籍の購入者の割合。無回答者による調整はしていない。例えばタブレット型端末の場合、8.1%と出ているので、タブレット型端末を使ってインターネットを利用している人の8%強は、過去1年間において電子書籍を購入した経験があることになる。なお今調査そのものは6歳以上を対象にしているが、自分の判断で物品を購入できる年齢制限を15歳以上としているため、対象年齢も15歳以上となっている。

↑ 電子書籍の購入者比率(2014年末、過去1年間、インターネット利用者限定、無回答調整なし)
↑ 電子書籍の購入者比率(2014年末、過去1年間、インターネット利用者限定、無回答調整なし)

Pew Research社によるアメリカの電子書籍やタブレット型端末の調査で複数の具体的事例が出ているが、電子書籍とタブレット型端末の相性は極めて良い。雑誌や新聞を読む感覚で、タブレット経由で電子書籍を読めるからだろう。今件調査結果でも、他の機種などを抜きんでる形で高い値を示しており、タブレット型端末における電子書籍の有効性、購入性向の高さが改めて認識できる。

意外にも自宅でのパソコンは低め。スマートフォンにすら及ばない。電子書籍が多分に機動力を求められていることが想像できる。逆に自宅外パソコンで高めの値が出ているのは興味深い。年齢階層別では中堅層で高い値が出ているので、就業先の端末で資料などに使うため購入している可能性は多分にある。

世代別では男性が40代だが20代から50代までは高い購入性向、女性は20代が最大で20代から40代に留まっている。男女別では男性の方が購入意欲が旺盛なようだ。

実数は……どうだろうか?


タブレット型端末が電子書籍と相性が良い、アクセス端末の機動力は電子書籍に大きな影響を与えるなどの特性は大よそ把握できる。一方で「実数としてはどれほどの人が購入しているのだろう。タブレット型端末と電子書籍との相性は良くわかるけど、タブレットの普及台数はさほど多くないよね??」との疑問もわいてくる。

そこで全体、つまりあらゆる属性をまたいだ、全電子書籍購入者の数を1.0とし、それぞれの属性の実購入者数を比率で概算算出することにした。その結果が次のグラフ。例えば全体で電子書籍を購入した人が100人だとしたら、パソコンで買った経験を持つ人は85人となる。重複カウントがされていることに注意。また具体的な金額や冊数はカウントされていないので、1人が100冊購入していることもありえる(つまり電子書籍の購入冊数動向とは正比例関係には無い。ある程度の連動性はありえるが)。

↑ 電子書籍の購入者比率(2014年末、過去1年間、インターネット利用者限定、無回答調整なし、全体購入者数を1.00とした場合の相対比率)
↑ 電子書籍の購入者比率(2014年末、過去1年間、インターネット利用者限定、無回答調整なし、全体購入者数を1.00とした場合の相対比率)

絶対数では自宅のパソコン経由による購入者が一番多く、次いでスマートフォン、自宅外パソコン、タブレット型端末と続く。パソコンによるインターネット利用者が多いため、利用者に対する比率は低くても、購入者絶対数は多くなる次第。ただしインターネット利用者に関しては、タブレット型端末はパソコンの1/4程度でしかないにも関わらず、電子書籍購入者「数」は半分程度にまで肉薄しているのも、驚くべき結果といえる。



今件「通信利用動向調査」では無料閲覧による電子書籍の利用状況は一切反映されていないため、全貌と表現するには程遠い値ではあるが、それでも電子書籍の現状の一部を確実に認識できるものとして、意義のあるものといえる。今後タブレット型端末の普及が広まるに連れて、電子書籍の利用性向がどのような変化をとげていくのか、電子書籍の市場の拡大動向と合わせ、大いに注目・期待したいところだ。

余談だが、インターネット利用者に占める割合では無く、全体に占める割合を算出したのが次のグラフ。

↑ 電子書籍の購入者比率(2014年末、過去1年間、全体比、無回答調整なし)
↑ 電子書籍の購入者比率(2014年末、過去1年間、全体比、無回答調整なし)

例えば全体では2.6%とあるので、15歳以上全体では38人に1人ほどが、過去1年間で1冊以上電子書籍を有料で購入した計算になる。本文におけるインターネット利用者限定のグラフと比べて、家庭用ゲーム機やインターネットテレビにおける値が低めに出ているのは、それらの端末でインターネットを利用している人の割合が少ないため。世代別傾向では大きな違いが無いが、いくぶん世代間格差が開いている感はいなめない。インターネット利用の是非が影響しているのだろう。


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