独身者が想う「結婚の利点」って何だろう(2010年分反映版)

2011/11/01 06:00

先に【独身者の結婚意思の変化をグラフ化してみる(2010年分反映版)】を皮切りに、【厚生労働省の出生動向基本調査】における独身者(未婚者)を対象とした各種調査項目を基に、結婚に関する考え方や、さらにはそれに連なる少子化との関連性についてグラフ化を行い、世情動向の確認をしている。今回は調査レポート中から、「未婚者が”結婚することの利点”と考えている事柄」についてチェックを入れることにした(元資料:【第14回出生動向基本調査:結婚と出産に関する全国調査 独身者調査の結果概要】)。

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今調査は2010年6月1日時点で18歳以上50歳未満の独身者を対象に、層化無作為抽出した5510か所から840地区を選定。その上で配票自計・密封回収方式で行ったもので、有効回答数は2010年調査では1万4248票。そのうち有効回答数は1万0581票。男女比は5040対4276。

年齢によって多少の差異はあれど、最新データでは8-9割の人が(タイミング・意思の強さの度合いを別にすれば)結婚をしたいと考えている。

↑ 未婚男性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2010年)
↑ 未婚男性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2010年)(再録)

↑ 未婚女性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2010年)
↑ 未婚女性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2010年)(再録)

それでは結婚することのメリットとして、独身諸氏はどのような事柄を見出しているだろうか。想定しうる選択肢を挙げ、最大で2つまで結婚の利点として合致するものを選択してもらった結果が次のグラフ。

↑ 調査別にみた、結婚することの利点(未婚者、上位二つまで選択)(男性)
↑ 調査別にみた、結婚することの利点(未婚者、上位二つまで選択)(男性)

↑ 調査別にみた、結婚することの利点(未婚者、上位二つまで選択)(女性)
↑ 調査別にみた、結婚することの利点(未婚者、上位二つまで選択)(女性)

まず男女ともに「精神的安らぎ」「子供や家族」「愛情を感じている相手と暮らせる」など、内面的事柄が上位を占めているのが分かる。外面的な話よりもまずは自分自身の気持ち・安らぎの面で、大きなメリットとなると感じていることになる。逆に外面的要素は本人自身に対する項目よりも低めで、特に女性は「親や周囲の期待」以外は誤差の範囲内でしかないのが確認できる。そして「外面的要素」は「親や周囲の期待」以外、近年ますます低下する動きにある。

一方、内面的要素のうち「子供や家族を持てる」は元々増加傾向にあったが、直近の2010年では2005年に続き男女とも大きな伸びを見せている。「家族を持つこと」への大切さ・喜びを価値の高いものとして認識し、それを得るための結婚もまた魅力あるものとして考える人が増えているのだろう。

他に気になる動向をいくつか、箇条書きで記しておくる

・配偶者との同居を利点とする意見が減りつつある。
・女性は「経済的余裕」を結婚の利点としてとらえる動きが出ている。
・「親や周囲の期待」は前世紀まで減少していたが、今世紀に入ってから再び増加傾向に。

前回2005年分の記事でも挙げたが、男性は変化が無いのにも関わらず女性は「経済的余裕が持てる」の項目が確実に増加しており、ソロバン勘定が上手になりつつあるとの判断もできる。「配偶者との同居」を長所として挙げる人の減少スピートは女性の方が高いことから、女性の結婚観がドライに傾いている、という見向きもできよう。



男女とも自分自身のメリットに重点を置き、周囲の人の意見にはあまり耳を貸さない部分は、【男性66%・女性74%が「個人の自由だから結婚なんてしてもしなくても良い」】にもある「個人の自由だから結婚なんてしてもしなくても良い」の裏返しともいえる。つまり「結婚のする・しないは自分の自由意思で決める。周囲のことは(あまり)気にしない」ということだ。ただし最近では周囲の目(主に期待の目)も多少ながらも気にし始めているようである。

また、男性は元々「(自分の)精神的安らぎが得られる」事を一義的に考えていたのに、昨今では「(自分自身以外の人間である)子供や家族を持てる」を結婚の長所と考える人が増加し、ほぼ同列に並んでいる(前回2005年グラフと比較しやすいよう、横軸の並びは同じにしてあるが、2010年の直近データでは「精神的安らぎ」より「子供や家族を持てる」の方が上)。この動きは男性の結婚観が「自分中心」から、「自分と、自分を含むもっとも身近な人たち中心」に変わりつつあると読むことができよう

一方女性は「子供や家族を持てる」という家族形成に強い憧れを抱くと同時に、「経済的余裕」への魅力も増すなど、人間関係・金銭関係双方を求める動きが強くなりつつある。全体的な回答率は女性の方が上なことも合わせて考えると、「独身者の結婚への憧れは女性の方が強く、そして心理的・経済的双方の充足をも考えた、現実的な結婚観を抱いていており、昨今ではその傾向が強まりを見せている」ということになるのだろう。

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