台風や秋雨前線の影響強く、搬送者数は300人を割り込む…熱中症による搬送者数は1週間で266人(2016年9月19日-9月25日)

2016/09/27 10:00

総務省消防庁は2016年9月27日、同年9月19日から9月25日の一週間における熱中症搬送人数が266人(速報値)であることを発表した。これで消防庁が掌握している今年の累計搬送人数は4万9991人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は幸いにもゼロだったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は1人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)

今夏の電力事情に関する政府による決定を元にした精査記事【震災後初の節電要請そのものの見送り……2016年夏の電力需給対策内容正式発表】などで解説の通り、今年の夏は東日本大地震・震災後初めて、法的拘束力のある電力使用制限令、数字目標のある節電要請、さらに去年夏のような数字目標無しの節電要請ですら行われないこととなった。十分な節電意識を持ち続けると共に、その実行は欠かせないが、特別な体制で臨む必要はないとの判断である。しかし震災から5年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また春前に気象庁が発表していた夏季予報では、北陸・東海・関東甲信地域でやや高め、近畿・中国・四国・九州では高めの気温となる可能性が高いとの観測が成されていた(【季節予報(夏 6-8月)(2016年2月24日発表、気象庁)】)。降水量が全国的に多めになるとの予報も同時に出ていたのは幸いだったが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないのも事実。さらにここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

そこで消防庁では【今年も消防庁の熱中症の情報は5月から提供開始】にある通り、昨年同様今年も熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

今回発表された各種値は今年の分としては第22週目のものとなる。公開直近分の値は速報値であり、今後逐次修正暫定値、そして確定値に切り替えられることになる(暫定値、確定値は速報値よりも多少の増加がなされることが多い)。

今回計測週も前週同様に台風や秋雨前線の影響を受け、各地で風雨に明け暮れる機会が多く、気温も低迷しがちとなった。週頭には発達した台風16号が九州地方に上陸し西日本から関東を中心に記録的な大雨、そして強風を観測させた。台風が過ぎ去った後も前線の影響を受け、秋分の日も各地で雨模様となっている。関東地方では9月の日照時間が異様に少なく、北海道同様に作物の出来が心配されるほど。週末にはようやく晴れ間も見え、暑さが戻る地域もあったが、週明け(今回計測週の次の週)以降は再び前線が活発化し、ぐずつく天候になるとの予報もある。他方8月中は繰り返し雨が降り続いた北海道では雨は降らず寒さもあり、今年初の霜注意報も発令されている。

昨年気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.288(2016年8月)】によれば、現状ではエルニーニョ現象ではなく、ラニーニャ現象が発生しているとみられるとの言及がなされている。ラニーニャ現象発生時には秋においては統計的に有意な傾向は見られず、特段の注意は必要とされない(夏は沖縄・奄美で降水量が多い傾向がある)。

なお前回計測週では少年に該当する年齢階層(満7歳以上満18歳未満)の比率が異様な高さを示した。これは9月14日に岐阜県の瑞浪市と大垣市の小学校2校で運動会の練習をしていた児童が相次ぎ熱中症と思われる症状を訴え、病院に搬送された事案が反映されたもの。報道では2校あわせて53人が搬送されたとしている。【夏休み明けの熱中症搬送者比率、学生が高くなる不思議】でも指摘している通り、夏休み明けに運動会に備えた児童への訓練指導は、熱中症への備えを万全にしてほしいものだ。

地域別では鹿児島県の21人が最大で、次いで愛知県が17人、大阪府が14人と続いている。もっともこのレベルの数となると統計上では誤差の領域とも解釈できるため、地域別の多い少ないはあまり意味を持たないと判断した方が妥当ではある。

↑ 東京都の最高気温と天候(2016年9月19日-9月25日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2016年9月19日-9月25日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年9月19日-9月25日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年9月19日-9月25日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年9月19日-9月25日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年9月19日-9月25日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月25日から開始している(昨年は5月13日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。なお、今サイトは2016年においては10月14日まで運用される予定である。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

電力需給の観点では新電力への離脱による恩恵を除けば、昨年の状況から進歩があまり見られないのが残念な話。電気代の生活費への負担が増すと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる。また【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話などもあり、人口構成比・絶対人数で増加を続ける高齢者による冷房忌避の傾向を考慮すると、今後熱中症による社会全体のリスクはさらに増加するものと考えられる。

気温だけでなく湿度の高さも合わせ体調不良を引き起こす要因は多々あり、それと共に熱中症のリスクも高まりを見せていく。ちょっとした油断で水分不足や体調不良などが生じ、それをきっかけとして、熱中症の症状が生じる可能性は多々ある。

現時点ではすでに9月も最終週となり、台風もバーゲンセールのごとく相次ぎ到来し、虫の鳴き声も心地よいものとなり、すっかり秋の気配を覚える状況ではあるものの、油断は禁物。また台風などで雨が降り日が差していないような状況でも、そしてたとえ室内でも、熱中症の症状は生じ得る(気温だけでなく湿度も熱中症リスクの要因となることに注意)。前回計測週で生じたような、個人のちょっとした不調を訴えにくい運動会などの集団行動における事案もリスク要因となる。

今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も合わせ、健康管理に留意してほしいものである。


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