2016年7月度外食産業売上プラス5.9%…8か月連続で前年比プラスを計上

2016/08/25 15:00

日本フードサービス協会は2016年8月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2016年7月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス5.9%を計上した。前年同月と比べると土曜日・日曜日がそれぞれ1日ずつ多く客入りの点でプラス要因となり、またファストフードの外食の前年同月からの反動もあり、売上は概して底上げされる形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が196、店舗数は3万2825店舗。今月は前月と比較すると事業社数は増加しているが、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2016年7月度売り上げ状況は、前年同月比で105.9%となり、5.9%の増加を記録した。これは先月から継続する形で8か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土日共に日数は1日ずつ多く、客数の点ではプラスの影響を与えている。また東京と大阪に限定すると雨天数はそれぞれ2日・6日少なく、これが外出、店舗への来客気運を底上げしている。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で8か月連続のプラス(プラス9.8%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかけとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続している。直近でその最たる問題として大きな話題となった異物混入騒動による売上の大幅減は2015年1月に生じており同年7月もまだその影響はわずかだが生じており、今回月はその値との比較となるため、客単価・客数共に上昇。売上高はプラス14.9%を計上した。

ただし前年同月における売上の前年同月比はマイナス3.7%を示したため、リバウンドを超えた上昇ぶり。洋風の2年前同月比を試算するとプラス10.6%となる。年換算ではプラス5.1%と、やはりそれなりに良い成績。特に客単価の上昇ぶりが貢献している。

マクドナルド単体の2016年7月における営業成績はプラス22.2%(売上、既存店、前年同月比)とそれなりに大きな上げ幅を示しており(上げた理由も洋風全体と同じでリバウンドによるものが多少は含まれているが、多分に客単価の上昇による)、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる。「ポケモンGO」との連動は、集客よりは客単価の上昇に影響を与えたようにも見える。なお同業他社のモスバーガーではプラス5.2%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス6.0%、客単価はプラス1.3%と成し、売上はプラス7.4%とプラスを計上。「季節メニューや定食メニューが引き続き堅調」との言及があるが、松屋の新作定食群やすき家の夏定番の「ニンニクの芽牛丼」などによるものと思われる。持ち帰り米飯・回転寿司は店舗数の減少はあったものの客数はほぼトントン、客単価がわずかに上げて、かろうじてプラスに(プラス0.6%)。

ファミリーレストラン部門は全部の業種でプラス。客単価がわずかに落ちる業種もあったが、客数が堅調なことから、売上を底上げした。特に好調な焼き肉は、客単価こそマイナス1.2%だったものの客数はプラス9.4%と成し、売上はプラス8.1%となった。客数の増加率は「その他」を除けば焼き肉が一番大きく、土日の多さに一番プラスの影響を受けたものと考えられる。またリリースでは「夏休み需要を取り込み」との説明もある。

パブ/居酒屋部門では客単価が今一つだが客足が好調で売上もプラス。居酒屋は店舗数の減少に歯止めがかからず、客単価も落ち、マイナス6.0%と大きな売り上げ減を計上している。これは前月に続き、業種別最大の下げ幅。今回月の詳細業種別では唯一のマイナス売上となっている。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客単価の伸びが鈍いが客数は堅調で、売上はプラス。時折リリースに見られるになった景況感に係わるマイナスの言及は無く、「店舗数の増加に加え、土日の日数増が郊外型店舗の客数を押し上げ」とあるのみ。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年7月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年7月分)

天候要因では
雨天少なく客数は増加。
土日の多さも大きく貢献。
リバウンドも一部合わせ
ファストフードの洋風で
客単価が大きく上がり
けん引役を果たす。
ファミレスも日数要因で
好調さを示す。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。業績そのものも回復、少なくとも下落の勢いは薄れつつある。ここ数か月全体として売り上げが前年同月比でプラスを示しているのは、好ましい話に違いない。ただし売上の上昇の要因が客数ではなく客単価にある点を見ると、根本的な状況の改善にはまだ時間を要しそうである。あるいはこのまま高単価戦略へのかじ取りを成す可能性もある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。今回月は客数・客単価共に上昇しており、売上は大きな増加を示している。年に一度のあの高単価商品の影響も多少はあったのかもしれない。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。さらに店舗数の減少に引きずられないはずの客単価まで落ちており、迷走感が否めない。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。店舗数の急速な減少は、状況の悪化を受け、淘汰が進んでいるように見える。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告もなされ、その市場の実情が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2016年7月は既存店で客数プラス0.9%・客単価プラス0.9%、売上高プラス1.9%を計上している。店舗数は4.9%の増加)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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