「テレビで録画やソフトの再生」と「ネット動画の再生」は競合関係にあるのか…それぞれの動向を探る(2015年)

2015/06/04 11:00

BDレコーダーやHDDレコーダーの廉価化に伴い、テレビ番組を録画して後程まとめて視聴するテレビの視聴スタイルはごく当たり前のものとなった。さらにDVD・BDソフトの再生環境もほぼ同時に整備されるため、レンタルソフトの利用機会を有する人も増えている。一方で、インターネット回線の高速化や端末上での再生技術の向上、サービスの多様化により、映像を視聴するとの観点では、動画共有サイトなどのインターネット動画が、テレビ番組の録画やレンタル・セルソフトの競合相手となるとも言われている。そこで今回は総務省が2015年5月19日に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値などを基に、テレビ受信機で録画した番組やレンタルなどのソフトを再生しての視聴、パソコンや携帯電話を使った動画共有サイトの利用性向の経年変化を確認し、影響を与えているのかを推測していくことにする(【発表リリース:「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表】)。

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テレビの番組録画の再生やビデオソフトの再生視聴は…


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。また行為者率とは該当期日(今件調査は平日2日分と休日1日分で実施している)のうち、連続して10分以上使用した人の割合を示している。

今件ではテレビとはテレビ受信機による視聴を意味する。中には借りてきたDVDなどをパソコンで再生して楽しむ人もいるが(回答項目には存在する)、今回はテレビ受信機における視聴に限定して動向を確認していく。また「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」は都合3年間、2012年分から2014年分まで行われているが、平日と休日双方で実施されたのは2013年分以降であることから、平日の動向のみを用いる。

まずは録画したテレビ番組を観る人の割合と、その視聴者における平均視聴時間。

↑ 平日・テレビ・「録画したテレビ番組を観る」行為者行為平均時間(分)
↑ 平日・テレビ・「録画したテレビ番組を観る」行為者行為平均時間(分)

↑ 平日・テレビ・「録画したテレビ番組を観る」行為者率
↑ 平日・テレビ・「録画したテレビ番組を観る」行為者率

一部イレギュラーな動きもあるが、全体としてはテレビを録画して観る行為、行為者の平均的な視聴時間に経年変化は無いように見える。中堅層での減少がやや気になるが、次年以降も同じような動きを示すのなら、より強い注視と考察、例えば「中堅層にとって録画してまで観たい番組が減っているのではないか」などが必要となるだろう。

続いて購入したりレンタルして取得したソフトの、テレビによる視聴動向。

↑ 平日・テレビ・「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者率
↑ 平日・テレビ・「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者率

↑ 平日・テレビ・「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者行為平均時間(分)
↑ 平日・テレビ・「DVD・BD・ビデオ(レンタル含む)を観る」行為者行為平均時間(分)

3年間の経年変化では断言は難しいが、そして10代などでイレギュラーが生じているが、大よそ行為者率が減退しているように見える。一方で行為者内における視聴時間は伸びており、「利用者は減り、利用者における利用時間が増えている」状態にあるのが分かる。

パソコンや携帯電話での動画視聴は…!?


続いてパソコンや携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方を含む)における、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトの視聴動向。2014年以降はこれらインターネット利用端末による動画視聴スタイルとして、別項目に「GyaO!、Hulu、NHKオンデマンド等のオンデマンド型の動画配信サービスを見る」が追加されているが、今回は考察の観点からはややずれるところがあるので検証には含めない。

まずは携帯電話経由。

↑ 平日・携帯電話・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率行為者率
↑ 平日・携帯電話・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率行為者率

↑ 平日・携帯電話・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(分)
↑ 平日・携帯電話・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(分)

行為者の視聴時間は法則性を見出しにくいが、行為者率は明らかに増加を示している。特に10代の増加が著しい。これは動画共有サイトを視聴しやすい環境、具体的にはスマートフォンを所有・利用する人が急激に増えているのが大きな要因といえる。もちろんそれに伴い、サービスの充実やコンテンツの拡充など、各種環境が整備されていることもプラス要因。

また、携帯電話で動画共有サイトを視聴しているのは主に10代から20代、よくて30代までで、40代以降は誤差の範囲程度でしかないことも確認できる。インターネットへ気軽にアクセスできる端末がパソコンでは無く携帯電話、特にスマートフォンである世代ならではの動きともいえる。

最後はパソコン経由による動画共有サイトの利用状況。

↑ 平日・パソコン・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率
↑ 平日・パソコン・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者率

↑ 平日・パソコン・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(分)
↑ 平日・パソコン・「動画サイトを観る」(2014年以降は「動画投稿・共有サイトを観る」)行為者行為平均時間(分)

携帯電話とは逆に、全体では行為者率が漸減している。これも携帯電話同様に、利用者率の変化に伴うところが大きい。特に10代の急激な減退に、その影響が出ている。もっとも男性に限れば漸増しており、興味深い動きではある(50代から60代にかけて伸びていることと合わせて考えると、シニア層のパソコン経由での動画視聴が伸びている可能性は高い)。

一方行為者による視聴時間は減退。男性が減り、女性が増える動きを示しているが、世代別の動向がばらばらで、法則性は見出しにくい。



現状としては大よそこのような形となったが、ざっとまとめると「テレビ番組の録画視聴は変化なし」「ソフト再生は減退」「携帯電話による動画共有サイトの利用は増加」「パソコンになよる動画共有サイトの利用は減退」との形となる。因果関係を見出すことは不可能だが、映像ソフトの利用者が、携帯電話の動画共有サイトの視聴に流れている……のかも? といった推測は出来る。

日本映像ソフト協会が過去に公開した調査結果によると、ビデオソフトのレンタルやセルの利用機会が減る理由としては、時間的ゆとりが無くなったことや、テレビでの放送録画を観る機会が増えたからとの意見が多数を占めている(【ビデオソフトのレンタル動向をグラフ化してみる】)。

↑ ビデオソフトのレンタル枚数が減った理由(複数回答、2012-2013年のレンタル経験者で、2013年は2012年と比べて減ったか借りなかった人限定)(再録)
↑ ビデオソフトのレンタル枚数が減った理由(複数回答、2012-2013年のレンタル経験者で、2013年は2012年と比べて減ったか借りなかった人限定)(再録)

また当時の調査では「無料動画で十分」との選択肢はないが、類似調査として「有料動画配信サービスを使わない人」におけるその理由として、無料で十分との意見が多数を占める結果が出ている(【無料で満足な人多数…有料動画配信サービスの内情を探る(2015年)(最新)】)。

特定の映像が観たい限りでなければ、無料で使いやすいメディアで楽しめるコンテンツがあれば、そちらに流れる。時間が無ければあきらめる。当然の動きかもしれない。


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【YouTube、ニコ動、FC2動画…オンライン動画御三家の利用者世代構成比を探る】

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