2か月ぶりに下落する市場観指標…野村證券、2016年8月分の個人投資家動向発表

2016/08/15 05:00

野村ホールディングス(8604)のグループ会社野村證券の一部門である「グローバル・リサーチ本部」は2016年8月12日、個人投資家の投資動向アンケート調査における結果報告書「ノムラ個人投資家サーベイ」の最新版(2016年8月分)を公開・発表した(【野村證券リリース一覧ページ】)。その内容によれば今後3か月後の株価見通しを調査対象母集団に尋ねた結果で算出される「ノムラ個人市場観指数」は、先月から転じる形で下落し、31.6を示すこととなった。株価の先行きに関しては大幅な上昇見込みが大きく減り、小幅上昇と小幅下落が大きく増加している。

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今調査は1000件を対象に(有効回答数が1000件に達した時点で締切)2016年8月1日から8月2日に行われたもので、男女比は83.0対17.0。年齢層は60代以上がもっとも多く32.5%、次いで50代が31.1%、40代が27.1%など。金融資産額は1000万円-3000万円が一番層が厚く27.6%、500-1000万円未満が18.8%、300-500万円未満が13.6%と続いている。回答者の投資経験年数は10-20年未満が32.5%ともっとも多く、次いで20年以上が31.3%。比較的長期間投資に携わってきた人が多い。

投資に対して重要視する点は、おおむね長期投資が最大値で43.7%と4割強でもっとも多い。ついで配当や株主優待が27.2%と3割近く。短中期間の売買に伴う売却益より、配当収入や優待確保などの中長期的な安定感を求める投資方針が多勢(7割強)を占めている。

詳細はレポートで確認してほしいが、概要的には次の通り。

・3か月後の株価見通しを示す投資指数は31.6ポイント。前回の35.6から4.0ポイントの下落で先月から転じる流れ。この時期、日経平均株価は前月比で860円強の上昇を示していたが、その時点において今後は下落を予想する人が増えた形となる。市場の急速な上昇を受け、反落を想起する人が多かったものと考えられる。

・3か月後の日経平均株価の上昇を見込む比率は合計で65.8%。前月分の67.8%からは2.0%ポイント下落。こちらも投資指数同様の動きを示している。「2000円以上上昇」「2000円程度上昇」「2000円程度下落」「2000円以上下落」の回答率が前月から減り、「1000円程度上昇」「1000円程度下落」が増加。特に「1000円程度下落」が大きく増加し、市場観がやや弱気な様子がうかがえる。

・市場に影響を与え得る要因としては「為替動向」が最大要因で回答率は前月から大きく増加。「国際情勢」がほぼ同率で続くが前月からは大規模な下落を示している。

・魅力的な業種は「医薬品」「通信」「資本財・その他」「消費」の順で、ここまでがDIではプラス。そして「運輸・公共」「電気機器・精密機器」「自動車」「素材」「金融」はマイナス圏。「金融」は大規模なマイナス圏内のポジションを維持。金利政策の影響が「金融」カテゴリ銘柄に関する限りでは、投資家心理にはマイナスなのが良くわかる状態ではある。

・ドル円相場に対する見通しは全体的には円安ドル高を見込む回答率が増加。小規模な円安を見込む声が大きく増加している。現状がやや過剰な円高感であるとの認識だろう。

・通貨への投資魅力は「日本円」がトップなのは変わらず、次いで「アメリカドル」が続いている。「オーストラリアドル」「カナダドル」がそれらの後に続き、そこまでがプラス。国内情勢の悪化を受け、「ブラジルレアル」が大きくDIを落としているが、「中国元」の低迷ぶりにはまだ届かない。

・もっとも注目を集めた金融商品は「国内株式」。次いで「預貯金」「国内投資信託」。「海外株式」が大きく値を上げてそれに続いている。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」、つまり調査対象母集団における個人投資家が購入したいと考えている銘柄は、鉄板銘柄ともいえるトヨタ自動車(7203)がトップに。この鉄板ぶりは過度の円高の時期に同社株式が低迷した一時期をのぞけば、まさにダイヤモンドのごとし。ただし今回月では円高が続いていることから、輸出に係わる収益への懸念が大きいようで、回答数も72と、いつもの半数強程度しかない。

1位……トヨタ自動車(7203)
2位……ソフトバンクグループ(9984)
3位……任天堂(7974)
4位……イオン(8267)(8411)
5位……ソニー(6758)

トヨタ自動車以外も大よそ鉄板の銘柄ばかりで、変わった動きは特にない。任天堂(7974)は手堅い銘柄で知られているが、今回上位層に食い込んだのは、「ポケモンGO」絡みで世間一般にも大いに注目を集めたからだと考えられる。株価も乱高下を示しており、その期待ぶりが実感できる。

【郵政三社銘柄が異様に強かった理由が何となくわかった気がする調査結果】で言及した、投資家から注目を集めた銘柄の上位陣についた郵政三社だが、今回月ではその姿は確認できない(7票以下の得票しかない)。安定感の強さが株価にも連動しうる要因ではあるが、少なくとも今回の調査では魅力の点で上位陣には今一つ及ばなかったようだ。



今年に入ってから中国市場の急落、原油市場の低迷、さらに為替市場の急激な円高化と欧州における金融危機の再燃リスクの露呈、そしてイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票の結果を受けた大規模な円高化など、トルコにおけるクーデター未遂事案など、株式市場を大荒れさせる事象が相次ぎ、東京株式市場も軟調状況が続いている。今年の夏は猛暑が予想され、実際その通りの気象状況ではあるが、市場はどちらかというと冷えている感は否めない。

次回の調査時期までに市場動向が持ち直しの機運を持つにいたるのか、それともなお低迷が続くのか。無論前者であることが望ましいのだが。


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