「テレビを観ながらネットする」はどこまで浸透しているのだろうか(2015年)

2015/05/29 08:00

最近では双方向性のテレビ受信機による番組も提供される機会が増えてきたが、今でもテレビ(放送)はそのほとんどが一方向性、視聴者は放送される番組を観るだけの「提供される」タイプのメディアであることに変わりはない。直接のリアクションを求められないことから、いわゆる「ながら」行為が容易なメディアでもある。その特性を活かし、食事をしたり雑誌や新聞を読みながらテレビを観るスタイルも数多く見受けられたが、昨今では携帯電話(従来型とスマートフォンの双方を含む)などを用いた「テレビ観ながらネットする」様式が増えており、それを前提としたビジネスや構成の番組もいくつか見受けられるようになった。それでは実際に、テレビのリアルタイムでの視聴とインターネットを併用した利用はどれほどまでに行われているのだろうか。情報通信政策研究所が2015年5月19日に発表した「平成26年 情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の詳細版から確認をしていくことにする(【発表リリース:「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表】)。

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テレビ観ながらネットする人はどれ位、どの時間帯に居るのか


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。また今件において「テレビ(リアルタイム)」とはテレビ(テレビ受信機に限らず、パソコンのチューナー接続によるものや、モバイル端末でのワンセグ視聴も含む。要はテレビ番組の視聴である)で番組を放送中に観賞すること、「インターネット利用」とは機種・用途を問わずインターネットを使ったサービスを活用することを意味する。

先行する記事の通り、テレビの行為者(連続して10分以上の利用)率は朝食時、昼食時、夕食時とその後の3つの時間帯でピークが生じる。

↑ テレビ(生)の時間帯別行為者率推移(2014年、平日、世代別)(再録)
↑ テレビ(生)の時間帯別行為者率推移(2014年、平日、世代別)(再録)

それでは冒頭で触れたように、テレビ番組と相性が良いと言われているインターネットの利用を「併用」している、つまり「テレビ視聴とインターネット利用の並行行為」者率、言い換えれば「テレビ番組を観ながらネットを使っている」人の割合はどのような推移を示しているのだろうか。それぞれの時間帯の全体比を、世代別で見たのが次のグラフ。当然、まずはテレビを観ていなければ回答には該当しえないので、テレビ行為者率そのものの変移と大きな関係が生じる。

↑ テレビのリアルタイム視聴とインターネット利用の並行行為者率(平日、世代別、2014年)
↑ テレビのリアルタイム視聴とインターネット利用の並行行為者率(平日、世代別、2013年)

↑ テレビのリアルタイム視聴とインターネット利用の並行行為者率(休日、世代別、2013年)
↑ テレビのリアルタイム視聴とインターネット利用の並行行為者率(休日、世代別、2013年)

まずは平日。全体的な流れとして3つのピーク時間帯に変わりはない。一方でテレビ視聴そのものは若年層よりもむしろシニア層の方が高い行為者率を示しているが、インターネットを利用する割合が低いことから、シニア層の並行行為者率は低め。むしろ若年層の方が高い値を示している。特に20代から30代がずば抜けて高値を示しており、若年層におけるテレビとインターネットの相性の良さがうかがえる。

また良く中身を見ると、10代はお昼時は学校に居ることが多いために低めにとどまるが、朝と夜は高め、そして朝は30代が、夜は加えて20代と40代が高めに出るのも興味深い話ではある。

休日となると、就学・就業のしばりが無くなり、テレビ視聴そのものの自由度も高まることから、「ながら利用」の値も大きく変化する。午前中では朝食時のピークが1時間ほどずれ、さらにその後もお昼過ぎまでさほど下がらない。午前中はゆっくりとテレビを観ながらネットをすると言った形で、のんびりと時を過ごすスタイルの人が一定率いるのだろう。

午後に入るとテレビ視聴そのものが減ることもあり、並行行為者率も減る。ただし20代は引き続き高い値を維持しており、外にも出ずにテレビを見ながらネットをしている人が一定数居ることがうかがえる。そして夜半は夕食時とそれ以降に高い値を示すものの、10代は就寝が早いために早めにピークと減少を迎える動きは、テレビ行為者率の動きと変わらない。

テレビを観ている人のうちどれ位の人がネットをしているのか


それでは全体に占める「テレビ観ながらネット」率では無く、「テレビを観ている人のうち、ネットも同時にしている人の比率」はどれ位なのだろうか。いわばテレビの「ネットながら率」ともいえるこの値だが、そもそも論としてインターネットを利用していなければ「ながら利用」は出来ないため、若年層の方が高い値を示している。またテレビ・インターネットそれぞれの行為者率が低い時間帯では誤差が大きくなることから、2014年分は双方の値が高めに出る19時台から22時台限定での値が算出されている。

↑ テレビのリアルタイム視聴にインターネット並行利用が占める割合(平日、世代別、2014年)
↑ テレビのリアルタイム視聴にインターネット並行利用が占める割合(平日、世代別、2014年)

↑ テレビのリアルタイム視聴にインターネット並行利用が占める割合(休日、世代別、2014年)
↑ テレビのリアルタイム視聴にインターネット並行利用が占める割合(休日、世代別、2014年)

概して「若年層ほど高率」「高齢層ほど低率」との傾向がある。10代がやや低めなのは、インターネット利用端末を有していない場合がある(今件調査の10代における下限年齢は13歳)のと、早めに寝てしまう可能性があるため。直上の通りインターネットの利用機会の多い少ないも一因だが、テレビとインターネットの相性は各世代の全体人数に占める割合だけでなく、テレビの視聴者に限った割合においても、若年層の方が相性は良いようだ。

中でも20代の高さには注目したい。平日ではテレビを観ている人の3割強から5割、休日でも3割から5割近くが、インターネットを併用している。ニュースやドラマが放映される機会が多い21時台・22時台に限れば、10代や30代も近い値を示す。いわゆるテレビ視聴の「実況」が若年層に流行るのも道理が通る。



テレビとインターネットの相性の良さを認識してか、最近では生放送などで連動企画の類をよく見かけるようになった。現在はまだ試行錯誤の部分が多いが、賢明な企画によって視聴者の関心を引く構成を創り上げることが出来れば、双方のメディアの特性を活かし、大いに盛り上がりを見せることになるだろう。

特にテレビ離れが進んでいると言われている若年層への効果が期待できることから、今後の企画担当者の腕の見せ所でもあることは言うまでもない。


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