台風などによる天候悪化で大幅減少、されど1000人超…熱中症による搬送者数は1週間で1346人(2016年8月29日-9月4日)

2016/09/06 11:00

総務省消防庁は2016年9月6日、同年8月29日から9月4日の一週間における熱中症搬送人数が1346人(速報値)であることを発表した。これで消防庁が掌握している今年の累計搬送人数は4万7527人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は幸いにもゼロだったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は20人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2016年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2016年)

今夏の電力事情に関する政府による決定を元にした精査記事【震災後初の節電要請そのものの見送り……2016年夏の電力需給対策内容正式発表】などで解説の通り、今年の夏は東日本大地震・震災後初めて、法的拘束力のある電力使用制限令、数字目標のある節電要請、さらに去年夏のような数字目標無しの節電要請ですら行われないこととなった。十分な節電意識を持ち続けると共に、その実行は欠かせないが、特別な体制で臨む必要はないとの判断である。しかし震災から5年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また春前に気象庁が発表していた夏季予報では、北陸・東海・関東甲信地域でやや高め、近畿・中国・四国・九州では高めの気温となる可能性が高いとの観測が成されていた(【季節予報(夏 6-8月)(2016年2月24日発表、気象庁)】)。降水量が全国的に多めになるとの予報も同時に出ていたのは幸いだったが、熱中症リスクに関して警戒をしなければならないのも事実。さらにここ数年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認されている。

そこで消防庁では【今年も消防庁の熱中症の情報は5月から提供開始】にある通り、昨年同様今年も熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する案内

なお現時点では最新の長期予報として【季節予報(夏 9-11月)(2016年8月24日発表、気象庁)】)が開示されているが、それによれば全国的に気温は高く、降水量は北日本と沖縄・奄美地方でやや多めとの見込みが出ている。今夏は総じて同じような気象状況にあり、その傾向が今後もしばらく続くものと予想されている次第。

↑ 「向こう3か月の天候の見通し」による全国の平均気温と降水量の予想
↑ 「向こう3か月の天候の見通し」による全国の平均気温と降水量の予想

今回発表された各種値は今年の分としては第19週目のものとなる。公開直近分の値は速報値であり、今後逐次修正暫定値、そして確定値に切り替えられることになる(暫定値、確定値は速報値よりも多少の増加がなされることが多い)。

今回計測週ではダイナミックな進路変更を繰り返した台風10号が、関東から東北に寄りそう形で接近した後に東北地方に上陸。西日本から北日本に渡る広い範囲で暴風雨をもたらすこととなった。特に北海道では大量の雨が降り注ぎ、各地に交通網の寸断や農作物を押し流すなど甚大な被害をもたらしている。その後、台風一過的な晴れ間がのぞいたが、早くも台風12号が9月1日には発生、九州を中心とした地域に暴風雨をもたらしているが、一方で東日本から北日本では残暑の暑さが到来している。多分に台風に振り回される、そして東西日本でめまぐるしく天候の変化した一週間だったといえよう。


↑ 台風10号は北海道にも大きな被害をもたらしている。【直接リンクはこちら:北海道豪雨 台風10号深い爪痕 (2016/08/31)北海道新聞】

昨年気象に係わるニュースで度々登場したエルニーニョ現象(発生すると気温が低く、雨量が一部地域で多くなる)だが、直近の気象庁の監視速報【エルニーニョ監視速報No.287(2016年7月)】によれば、現状ではエルニーニョ現象もラニーニャ現象(発生しても平均気温や降水量に変化はない)も発生していない平常の状態が継続しており、ラニーニャ現象が秋の終わりまでに発生する可能性が高いとの言及が成されている。

地域別では東京都の99人が最大、次いで愛知県の94人、埼玉県の86人、千葉県の75人が続いている。人口密集地帯以外では比較的東日本に多い感はある。定点観測をしている東京都と大阪府の気温・天候を比較すると、大阪の方が気温が高い日が多いのだが。

↑ 東京都の最高気温と天候(2016年8月29日-9月4日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2016年8月29日-9月4日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年8月29日-9月4日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2016年8月29日-9月4日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年8月29日-9月4日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2016年8月29日-9月4日)(搬送人数上位都道府県、人)


消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、4月25日から開始している(昨年は5月13日から)。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用、従来型携帯電話用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】【環境省熱中症予防情報サイト(従来型携帯電話用)】)。なお、今サイトは2016年においては10月14日まで運用される予定である。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)
↑ 環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)

電力需給の観点では新電力への離脱による恩恵を除けば、昨年の状況から進歩があまり見られないのが残念な話。電気代の生活費への負担が増すと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる。また【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話などもあり、人口構成比・絶対人数で増加を続ける高齢者による冷房忌避の傾向を考慮すると、今後熱中症による社会全体のリスクはさらに増加するものと考えられる。

気温だけでなく湿度の高さも合わせ体調不良を引き起こす要因は多々あり、それと共に熱中症のリスクも高まりを見せていく。ちょっとした油断で水分不足や体調不良などが生じ、それをきっかけとして、熱中症の症状が生じる可能性は多々ある。

現時点ではすでに9月に入り、台風も相次ぎ到来し、今年の夏の暑さのピークも過ぎ、むしろ残暑感はあるものの、油断は禁物。また台風などで雨が降り日が差していないような状況でも、そしてたとえ室内でも、熱中症の症状は生じ得る。室内における熱中症の発症によるものと思われる死者も確認されている。

今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も合わせ、健康管理に留意してほしいものである。


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