熱中症による死亡者の発生場所の動向をグラフ化してみる(人口動態調査版)(2015年)

2015/09/09 08:00

先行記事【熱中症による死亡者の動向をグラフ化してみる(人口動態調査版)】では厚生労働省が2015年9月3日付で2014年分の確定報を発表した、人口動態調査における人口動態統計の公開値を元に、同統計による熱中症の死亡者数の推移を確認した。今回は関連公開値をたどり、その死亡者がどのような場所で死亡したのか、つまり熱中症の発生場所の動向を確認していくことにする(【発表ページ:平成26年(2014)人口動態統計(確定数)の概況)】)。

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熱中症の発症リスクは、若年層から就業者層までは屋外が多く、高齢層になると屋内が多くなることは、国立環境研究所の定点観測調査を元に分析した【熱中症による救急搬送者の内情をグラフ化してみる】でも言及している通り。今回は人口動態統計における「熱中症による死亡者」の定義に従った死亡者が、どのような場所でその死因が発生したのかを確認する。

まずは直近分となる2014年分……だが、先の記事の通り、単年分では値が少なめで、各年の気候状況によるぶれが生じやすいため、該当年も含めた過去3年分の値を元にした平均値を用いる。また対象となる場所は「家(庭)」「居住施設」「学校、施設及び公共の地域」「スポーツ施設及び競技施設」「街路及びハイウェイ」「商業及びサービス施設」「工業用地域及び建築現場」「農場」「その他の明示された場所」「詳細不明の場所」で区分されている。「家(庭)」なら自宅内や庭先の草刈りの過程などが良い例。部活動ならば「学校、施設及び公共の地域」や「スポーツ施設及び競技施設」、就業中ならば「街路及びハイウェイ」「商業及びサービス施設」「工業用地域及び建築現場」、あるいは農家ならば「農場」が主な状況下となる。

↑ 年齢階層別・熱中症死亡者の発生場所(人口動態調査、人、2014年と過去2年を合わせた平均値)
↑ 年齢階層別・熱中症死亡者の発生場所(人口動態調査、人、2014年と過去2年を合わせた平均値)

熱中症による死亡者の8割近くが65歳以上で占められていることは、すでに先行記事で言及した通り。その中でも多くが自宅内、あるいは詳細不明の場所であることが分かる。この「詳細不明の場所」について詳しい説明は無い(具体例の記載がない)が、熱中症で死亡したこと自体はカウントされていることから、見方を変えれば発見時に詳しい状況が確認できない状態にある、あるいは死亡診断書を記載した医師が状況を把握し切れず・判断が難しいとして、「詳細不明の場所」に割り振った可能性は高い。さらにいえば「詳細不明の場所」の増加傾向が、「家(庭)」とほぼ同じ傾向にあることから、多分に「詳細不明の場所」は「家(庭)」と近しい状況による発生と見ても、的外れなものではないだろう。

報道では高齢者の農作業時における熱中症発症の事例が良く伝えられる。実際、「農場」の値も歳を経るに連れて増えているのが確認できる。「詳細不明の場所」のうち多少は実質的に「農場」のものもあるだろう。しかし一方で、高齢者における「家(庭)」での熱中症の死亡リスクの体現がいかに多いかが改めて分かる次第である。

これを男女別に見たのが次のグラフ。男女で縦軸の仕切りが異なることに注意。高齢層は人口そのものにおいて女性の方が多いため、リスク体現者も女性が多くなる傾向がある。

↑ 年齢階層別・熱中症死亡者の発生場所(男性)(人口動態調査、人、2014年と過去2年を合わせた平均値)
↑ 年齢階層別・熱中症死亡者の発生場所(男性)(人口動態調査、人、2014年と過去2年を合わせた平均値)

↑ 年齢階層別・熱中症死亡者の発生場所(女性)(人口動態調査、人、2014年と過去2年を合わせた平均値)
↑ 年齢階層別・熱中症死亡者の発生場所(女性)(人口動態調査、人、2014年と過去2年を合わせた平均値)

やはり高齢そうにおける「家(庭)」でのリスクの体現化が目立つ形となっている。男性の方がやや「詳細不明の場所」の値が多く、その他の場所でも数がそれなりに見受けられるのは、行動性向の違いによるところだろう。特に65歳以上の「農場」で、男性は高めの値が出ており、農作業時の熱中症による死亡は男性が多い実態がつかみ取れる。



やや余談となるが、先の熱中症による死亡者数動向でも言及した、昔と比べて現在はリスク体現者数そのものが増えている件に関して、今回の仕切り分けと同じように、年齢階層と発生場所別に試算をした結果が次のグラフ。

↑ 年齢階層別・熱中症死亡者の発生場所(人口動態調査、人、2014年と過去2年を合わせた平均値と、2001年と過去2年を合わせた平均値の比較、倍率)
↑ 年齢階層別・熱中症死亡者の発生場所(人口動態調査、人、2014年と過去2年を合わせた平均値と、2001年と過去2年を合わせた平均値の比較、倍率)

熱中症による死亡者が、(人口そのものの増加率以上に)高齢者で増えていることは先の記事で解説した通りだが、その増加が主に「家(庭)」や「商業及びサービス施設」で生じていることが分かる。ちなみに「商業及びサービス施設」とは具体的には「小売店、デパート、商店街、ガソリンスタンド、銀行、ホテル、旅館など」を指している。もっともこれは純粋に倍率のみで、数そのものは一人二人であることから、さほど気にするものでもない。むしろ「農場」や「家(庭)」、そして「詳細不明の場所」の増加に注意を払うべきかもしれない。


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