ネットショッピング動向をグラフ化してみる(2016年)

2016/08/08 14:00

スマートフォンやパソコンをはじめとした多種多様な道具を使い、気軽に、そして瞬時に、距離を感じさせずに情報のやりとりを可能とする技術とインフラ、インターネット。その普及は多様な方面に革新的な変化をもたらしている。その一つが通信販売(通販)部門。インターネットを用いて実商品やサービスの注文をしたり、さらにはデジタルデータ・権利を購入する仕組みは、通販のハードルを大いに下げ、それこそ近所のコンビニで買い物をするかのような手軽さを提供するようになった。今回はインターネットが利用できる端末の普及率向上、サービスの充実や取扱業者の増加でますます生活に密着したものとなりつつあるインターネットショッピング(ネットショッピング)に関し、総務省の定点観測的調査の一つ、家計消費状況調査の結果をもとに、その動向を確認していくことにする(【家計消費状況調査】)。

スポンサードリンク


確実に増加する利用率、利用額


家計消費状況調査は2002年1月分から調査結果が公開されているが、月単位では二人以上世帯のみの公開となる。そこで二人以上世帯の動向を確認していくことにする。まずはインターネットを利用した支出額の推移。ここにおける「利用」とはインターネット上で商品やサービスの注文、予約をした場合を意味し、店頭で直接注文や予約をした場合は含めない。各種物理的商品(ピザの注文など、さらにはネットで注文して外食した場合も含む)、サービス、デジタルコンテンツの購入も含まれる。インターネットで購入手続きを行い、コンビニで支払いをした場合は含むが、不動産の購入や投資活動、財産の移動、寄付などは該当しない。

次に示すのは二人以上世帯における、インターネットを利用した支出額の推移。非利用者も含めた平均額であることから、利用世帯率と利用世帯における利用額の動向双方を合わせた、一般的な利用状況を示すことになる。

↑ インターネットを利用した支出額(二人以上世帯、月次、平均、円(非利用者含む))
↑ インターネットを利用した支出額(二人以上世帯、月次、平均、円(非利用者含む))

↑ インターネットを利用した支出額(2011年1月-)(二人以上世帯、月次、平均、円(非利用者含む))
↑ インターネットを利用した支出額(2011年1月-)(二人以上世帯、月次、平均、円(非利用者含む))

インターネットそのものの普及やインターネット上で買い物が可能なサービスの増加もあり、まさに右肩上がりの状態を示している。またここ数年間に限れば、広告費動向の記事で言及している「年末と年度末はインターネット広告費が有意に上昇する。これはインターネット通販の需要が急増するのに合わせて」云々との話を裏付ける動きが確認できる。

非利用者も含めた世帯単位でのインターネットを利用した支出額は、直近の2016年6月においては8260円(速報値)。2002年1月の時点では1000円にも満たなかった(889円)のと比べて、格段に増加していることになる。

なおグラフを見返せば分かる通り、2015年1月以降はそれ以前と比べ、有意な形での(イレギュラーにも見える)増加が見受けられる。これはインターネットによる支出が何らかの形で活性化したのではなく、調査方法が変更・細分化されたのが原因。家計消費状況調査の但し書きにも

「家計消費状況調査では、2014年(平成26年)12月までは「インターネットを利用して購入した財(商品)・サービスの支出総額」を調査していましたが、ネットショッピングによる消費をより詳しく把握するために、2015年(平成27年)1月から、内訳となる22区分の財(商品)・サービスについても調査を開始したところです。総額のみの回答から項目別の内訳を具体的に回答することにより、今までは回答者の意識に入りにくかったものも含めインターネットによる購入について広く把握されると考えられることから、2014年(平成26年)以前の結果と時系列で比較する際は注意が必要です」

と明記されている。要は購入性向が変化したのではなく、回答者の仕切り分けにおける認識が変わったことが原因。

非利用者も含めた世帯単位の平均額が上昇しているのは、利用世帯率の増加と、利用している世帯の利用額の上昇、双方を理由としている。実際、利用世帯率もまた右肩上がりで、直近の2016年6月では28.2%に達している。

↑ インターネット経由で注文をした世帯割合(二人以上世帯、月次)
↑ インターネット経由で注文をした世帯割合(二人以上世帯、月次)

今では3割近くの世帯がネットショッピングをしている計算になる。

利用者における利用額は微増……?!


インターネットショッピングに関して世帯全体の利用額は右肩上がり、利用率も右肩上がり。ならば利用世帯に限定した平均額はどのような推移を示しているのだろうか。

↑ インターネットを利用した支出額(二人以上世帯、月次、平均、円(利用者限定))
↑ インターネットを利用した支出額(二人以上世帯、月次、平均、円(利用者限定))

↑ インターネットを利用した支出額(2011年1月-)(二人以上世帯、月次、平均、円(利用者限定))
↑ インターネットを利用した支出額(2011年1月-)(二人以上世帯、月次、平均、円(利用者限定))

利用者限定で見ても、利用額は増えている。ただし世帯全体の上昇度合いと比べると穏やかなものに留まっている(2015年1月分が有意、かつ特異な上昇を示している理由は上記の説明の通り)。これは本来の「ネット通販利用者における利用金額の漸増ぶり」が示されたまでの話。前項目で解説した「非利用者含む」の支出額が勢いよく伸びているのは、「利用者における利用金額が伸びている」と「利用者比率が上昇している」の双方が同時に起きているからに他ならない。ただし2015年以降は伸びが止まり、横ばいに移行したようにも見える。もう少し状況を眺め見る必要があろう。

年末・年度末に利用額が上昇するのは利用者に限定しても明らかな形で数字となって表れている。しかしながら世帯全体の動向と比べると盛り上がり方はいくぶん穏やか。これは年末・年度末のみにネットショッピングをする世帯が少なからずいるのが原因。

また直近の2016年6月では2万9304円(速報値)を示している。



「インターネット経由で無くとも、年末や年度末は買い物が多くなる。ネットショッピングの額面が増えるのも当然では」との話もある。実際、支出総額の動向を見ても、年末・年度末はそれ以外の月と比べ、支出が増加する傾向にある。

↑ 支出総額(二人以上世帯、月次、平均、円)
↑ 支出総額(二人以上世帯、月次、平均、円)

↑ 支出総額(2011年1月-)(二人以上世帯、月次、平均、円)
↑ 支出総額(2011年1月-)(二人以上世帯、月次、平均、円)

しかしながらその他の月の額と比べた、年末・年度末の増加状況は、ネットショッピングの支出額動向の盛り上がり方よりははるかに穏やか。それに支出総額にはネットショッピングの支出額も含まれるので、起伏がある程度生じるのは当然の話となる。

ネットショッピングの利用率、利用額の増加が続いていること、そして年末と年度末には利用額・利用率双方において一層活況な動きを示し、それは普通の消費性向全体以上の増加ぶりを示していることが、あらためて確認できよう。

他方、本文でも言及しているが、2015年以降に限ると、二人以上世帯全体の支出総額はもとより、インターネットを利用した支出額も横ばいに推移している感はある。もう少し状況を見極める必要があるが、利用率・支出額が頭打ちとも読める動きを示している。二人以上世帯における(インターネット通販が苦手な)高齢層の割合が増加していることが、上昇度合いにブレーキをかけている一因かもしれない。


■関連記事:
【電通・博報堂売上推移】
【経産省広告売上推移】
【ネットショッピングを嫌う理由は世界共通「実物が見たい」】
【ネットショッピングをする理由、トップは「外出をしなくても買い物できる」】
【6%という実態…米小売店に影響を及ぼす「ショールーミング」の存在】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー