幼稚園児数の推移などをグラフ化してみる(2015年)

2015/08/18 12:00

経済だけでなく社会文化をはじめ各方面に影響を与える社会現象として、昨今においては特に注目されている少子化問題。さらに既婚女性の兼業問題も合わせ、乳幼児の幼稚園・保育所(園)への通園率・数の変移が大いに気になるところ。今回はその疑問を解消すべく、文部科学省のデータを基に、幼稚園児の動向を確認しておくことにした。

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データ取得元は文部科学省が毎年発表している【学校基本調査】。ただしその専用ページで掲載されている単年の調査結果は数年分しか収録されていないので、総務省統計局の【e-Stat】から「学校基本調査」をたどり、年次統計を選択。そこから各種必要なデータを選別し、逐次取得していく。

なお乳幼児の通園場所としては、今回取り上げる幼稚園以外に保育所(園)が存在する。両者の違いは裏付けとなる法令、対象年齢、就園時間など多様に渡る。詳細は【幼稚園と保育園(保育所)の違い(東京大学)】【幼稚園と保育園の違い(キッズ・インフォメーション・サービス)】【幼稚園と保育所の推移をグラフ化してみる】を参照のこと。ちなみに今件「学校基本調査」で幼稚園や幼保連携型認定こども園が記載されていて、保育園(所)のデータが掲載されていないのは、前者が教育施設であるのに対し、後者は児童福祉施設であるからに他ならない。

まずは幼稚園児数の推移とその前年比。

↑ 幼稚園生数推移(国公私立合計)
↑ 幼稚園生数推移(国公私立合計)

↑ 幼稚園生数推移(国公私立合計)(2001年度以降)
↑ 幼稚園生数推移(国公私立合計)(2001年度以降)

↑ 幼稚園生数推移(国公私立合計、前年度比)
↑ 幼稚園生数推移(国公私立合計、前年度比)

第二次ベビーブームが影響している1980年度前後が頂点になるが、それ以前は一様に上昇を見せている。第一次ベビーブームの影響が見えてこないが、これは後ほど述べるように就園率が上昇を続けているため。そして1978年度にピークを迎えたあとは10年ほど急激な減少を見せ、それ以降は漸減状態なのが確認できる。直近では約140万人で、ピーク時と比べると約110万人の減少。

なお直近年となる2015年度では、幼稚園児数が(速報値だが)前年比で約1割もの減退を示しており、グラフ上でもイレギュラーな変動が起きていることが分かる。これについて学校基本調査側では特に説明は無いが、冒頭でも説明の通り同世代の子供が入る保育所の利用は増加を続けていること、前年度までは一部が統計上同一カウントされていたものと考えられる「幼保連携型認定こども園」(【認定こども園概要(文部科学省・厚生労働省 幼保連携推進室)】)が別項目として統計値に登場したこと(園児数は2015年度で28万1090人)などが要因と考えられる。なお認定こども園の数はこの1年間でほぼ倍増する伸びを示している(【認定こども園の数について(平成27年4月1日現在)-認定こども園数、およそ倍増の2,836件-】)。

それでは第一次ベビーブームの影響をグラフから打ち消すほどの影響を見せた就園率の変移とは、いかほどのものだろうか。こちらは同じく「学校基本調査」の「幼稚園就園率」のデータから確認できる。この値は小学校第1学年児童数に対する幼稚園修了者数の比率を示している。小学校は義務教育で、原則全員就学と見なせるため、幼稚園就園率=幼稚園児の修了時における、その年齢全員の子供に対する比率になる次第である。

↑ 幼稚園就園率推移
↑ 幼稚園就園率推移

↑ 幼稚園就園率推移(2001年度以降)
↑ 幼稚園就園率推移(2001年度以降)

データ計測開始の1948年度以降急上昇を続け(=幼稚園に通う子供の割合が増え)、幼稚園児数のピークとほぼ同じ1979-1981年度にピークの64.4%を迎える。以後は漸減し、直近の2015年度では53.5%。小学一年生を迎える子供の半数強は、幼稚園に通っていたことになる。

気になるのは1990年度以降なだらかな減少傾向を見せていること。これは上記における2015年度の減退に関する解説、「幼稚園と保育所の推移をグラフ化してみる」や【幼児を持つ母親の兼業率4割、10年で保育園預かり率は増加へ】などで解説しているように、母親の兼業化の増加に加え、就労時間の長期化に伴い、「母親のパート・アルバイトが終わる時間まで預けてくれる保育園を選択する世帯が増えている」のが原因である(昨今では一部幼稚園で延長保育を行うところもあるが、まだ多数では無く、それですら時間が足りない母親も多い)。

ともあれ、幼稚園児数は1978年度前後をピークとして漸減状態にある。そして現在では140万強近くが通園している。今後母親の就労状況と少子化に大きな変化が無い限り、幼稚園児数はこれまで同様に、少しずつ減っていくに違いない。

なお幼保連携型認定こども園に関しては今回園児数のみを表記したが、2016年度分以降、各値について今件記事で通常の幼稚園と並列させる形で精査する予定である。


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