ネットで普及する動画サービスはどこまで利用されているのか、その国際比較をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/09/25 05:30

インターネットの普及浸透と技術の発展、回線速度の高速化によって大きく進展したサービスの一つに挙げられるのが、動画配信。再生側の端末の性能は高度化、そして小型化し、一時期持ち運び型のエンタメツールとして流行りを見せた携帯型テレビをあっという間に駆逐してしまった。また、テレビにそん色の無い高画質な動画を利用者の都合の良い時に、好きな作品を選んで視聴できるスタイルの提供は、まさに未来のテレビ的存在として利用者の心をわしづかみにしている。今回は総務省が2016年8月17日に公式ウェブ上で公開した、2016年版の【情報通信白書】に関して、各種グラフなどの詳細値が確認できるHTML版を元に、動画共有サービスと、テレビ番組的な動画サービスの2つに仕切り分けをした上で、その実情を確認していく。

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過半数が利用中…YouTubeなどの動画共有サービスの利用状況


今項目に係わる調査要項は先行記事【世界各国の完全自動走行車に対する認識と利用意向をグラフ化してみる(2016年)(最新)】を参照のこと。今件該当部分はインターネットに深い関係を有することから、インターネットへのアクセス機会率が低い高齢者、そして一部国家においては、その対象全体との間にぶれが生じている、具体的にはインターネットに有利に数字が動いている可能性がある。その点を留意した上で見ていく必要がある。

次に示すのはポータルサイトやYouTube、ニコニコ動画のような、動画共有サービスの利用状況。大よそ6割から7割が利用経験を有し、今後も利用したいと考えている。利用経験があるが、今後は差し控えたいとする意見はごく少数。

↑ YouTubeなどの動画共有サービス利用状況(2016年3月)
↑ YouTubeなどの動画共有サービス利用状況(2016年3月)

もっとも利用度合いが高いのは日本で、利用の否定派もごくわずか。知らない人で使いたくない人も1割程度。ドイツや韓国も利用率は高いが、「知っているけどまだ未利用。使ってみたい」人も結構多い。イギリスはアメリカ合衆国と並び「知っているがまだ使っていないし使いたくもない」とする意見が多いのが意外ではある。

中国は国内でのYouTubeの利用は遮断されているはずなのだが、多様な手段で利用している人が多いようで、4割強の人が利用中。また、「知っているけどまだ未利用。使ってみたい」とする人が2割近く、「知らなかった。使ってみたい」とする人も2割強ほど確認できる。同国では独自の動画配信サービスが多数展開されているので、そちらを代替として使う手もあるのだが、やはり外に開いたサービスを利用したいとする需要は大きい。

日本国内に限り、年齢階層別に状況を見たのが次のグラフ。

↑ YouTubeなどの動画共有サービス利用状況(2016年3月)(日本)
↑ YouTubeなどの動画共有サービス利用状況(2016年3月)(日本)

きれいな形で若年層ほど利用者が多く、歳を経るに連れて「知らなかった。使いたくはない」とする人が増えてくる。60代では実に3割近くが該当する。見方を変えると60代でも6割近くが動画共有サービスを利用し、今後も利用し続けたいと考えていることになる(インターネット利用者限定なので、60代全体で考えるともう少し割合は落ちるが)。

動画配信サービスの利用状況は国によってまちまち


動画共有サービスと基本的な技術部分は同じであるものの、原則有料サービスとして展開され、配信する動画も運営側から提供される、いわばビデオレンタルショップのようなサービスが「動画配信サービス」。白書では「Netflix、AmazonPrimeのように一定額の料金を払うことで動画が見放題となるサービス」と説明されている。

その「動画配信サービス」の利用状況は次の通り。

↑ NetFlix、AmazonPrimeなどの動画配信サービス利用状況(2016年3月)
↑ NetFlix、AmazonPrimeなどの動画配信サービス利用状況(2016年3月)

一番普及浸透が進んでいるのはアメリカ合衆国。5割強が利用した経験があり、継続利用を望む人も5割に近い。周知度も高く、「知っているけどまだ未利用。使ってみたい」とする人は2割近くに達する。この動向について白書側では「従来普及していたケーブルテレビの代替として、より安価な動画配信サービスを契約する動きがあり、その影響で比較的利用率が高いと考えられる」と説明しているが、道理の通る理由ではある。

現在利用している人の比率は違えど、イギリスやドイツも「知っているけどまだ未利用。使ってみたい」は大よそ同じで2割程度。その分イギリス、そしてドイツの方が「知らなかった。使いたくはない」とする人は多くなる。

動画共有サイトには高い関心を示した韓国や中国も、動画配信サービスの利用度は低い。韓国はともかく中国はネットアクセス事情から仕方がないのかもしれないが。ただ、知っていた・知らなかったを問わず、今後は利用してみたいとする積極意向を持つ人は極めて多く、両国とも5割を超えている。

他国と大きな違いを見せるのは日本。利用者は2割足らず。知っている人も2割程度で、そのうち今後使ってみたいとする人は1割ぐらいしか居ない。そして「知らなかった。使いたくはない」とする人が5割を超え、6割近くに達している。なぜ使いたくないのかその理由は今調査では問われていないが、別項目で日本では動画配信に対し無料化を望む声が強いため、原則有料の動画配信サービスへの抵抗感が強いのかもしれない(ただし同様の傾向を持つ韓国では、動画配信サービスへは積極姿勢を示していることから、一概にはそれだけが理由とは考えにくい)。

この日本の状況に関して、年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ NetFlix、AmazonPrimeなどの動画配信サービス利用状況(2016年3月)(日本)
↑ NetFlix、AmazonPrimeなどの動画配信サービス利用状況(2016年3月)(日本)

20代から30代はまだ利用者が2割ほどいるが、現在利用していない人で今後利用したい人はさほど多くない。20代の方が今後の利用には消極的なのは意外なところ。動画共有サイトの動画で十分との認識が強いのだろうか。

そして30代以降になると利用者は確実に減り、今まで知らなかった・今後も利用するつもりはないとする意見が増えてくる。60代では実に3/4近くに達している。理由はこの調査からのみではつかみ取ることができず、白書でもその理由に関する解説は無い。利用までのステップのハードルが高い、費用対効果を見出しにくい(好みのコンテンツが無い)、そして既存のテレビで十分との認識(≒インターネット経由でビデオやテレビのようなスタイルで番組を観ることへのなじみが無い)なのかもしれない。


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