政府への要望、社会保障に景気対策(2015年)

2015/08/30 11:00

内閣府は2015年8月24日、定点観測的に調査を行っている「国民生活に関する世論調査」の最新版となる2015年版の結果を発表した。それによると、日本国民が今後政府に力を入れてほしい政策の最上位には「医療・年金などの社会保障の整備」がついた。2/3強の人が同意を示している。前回2014年6月時点における調査から順位は変わらず、高齢化社会への対応の重視を要望する声が全体として大きい状況が把握できる。それに続く高回答率項目は「景気対策」だったが、こちらは6割近くに留まっている(【発表リリース:国民生活に関する世論調査】)。

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今調査は2015年6月18日から7月5日にかけて、全国20歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段階無作為抽出法で1万人を選んだ上で、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は5839人。男女比は2714対3125、世代構成比は20代453人・30代746人・40代1057人・50代1016人・60代1281人・70歳以上1286人。

調査時点において、今後日本国政府はどのようなことに力を入れるべきか、複数回答形式で尋ねたところ、最上位の回答率を示したのは「医療・年金などの社会保障の整備」だった。全体では67.2%の人が望んでいる。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)

最上位の「医療・年金などの社会保障の整備」は前回調査と比べると1.4%ポイントの減少。前回同様第2位の「景気対策」は値を58.7%から56.9%と1.8%ポイント減少したこともあり、さらに差を広げる形での順位となった。前回調査の調査対象母集団と比較すると、回答者全体に占める70歳以上の比率は0.2%ポイント増加しているが、60代は0.9%ポイント減少しており、「高齢者の回答者率が増えたので、社会保障整備の回答率が相対的に底上げされた」との解釈は通りにくい。社会全体において医療や年金をはじめとした社会保障に対する注目はそれなりに高いままで、景気対策への注力は社会保障と比べて減ったとの認識で間違いなかろう。

他の動きとしては、震災関連の要望が減少を見せ、2014年からは順位も後退。上位陣では「少子化対策」「財政改革」が値を上乗せしている。また「物価対策」「防衛・安全保障」は減少値を最小限に留めており、昨今の世相を反映した動きを示している。震災関連以外では「高齢社会対策」が大きく値を減らしたのは意外と言えば意外だが、前年がイレギュラー的な跳ね上がりを示したことの反動の可能性はある。

これを男女別に見たのが次のグラフ。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)(男女別、2015年6月)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)(男女別、2015年6月)

少なくとも上位陣では女性の方が要望率が高い項目が多い。「防衛・安全保障」「外交・国際協力」「税制改革」は男性の方が高い値だが、確かに男性の方が興味関心を引きそうな内容ではある。一方で「少子化対策」は男性の方が上の値が出ており、やや意外感を覚えさせる。

女性が男性比で大きく伸びているのは「医療・年金等の社会保障の整備」「高齢社会対策」「雇用・労働問題への対応」「物価対策」であり、男女ともに値が高い「景気対策」を除き、上位陣のすべてで強い要望(見方を変えれば現状への不満)を抱いているのが分かる。

これを世代別に見ると、各項目の世代別関心事項が透けて見える。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)(世代別、2015年6月)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)(世代別、2015年6月)

「景気対策」「雇用・労働問題への対応」は50代までに高い関心が寄せられているが、60代を超えると急速に低下する。一方で「医療・年金等の社会保障の整備」「高齢社会対策」は60代まで一方的な上昇をみせている。以前【失業対策が第一、少子化対策が次点…現在不十分で今後力を入れるべき社会福祉とは】でも触れたが、回答者自身にとって何が一番望まれるのかを第一に考えてしまい、それがそのまま値に反映されているのが分かる(「我が身恋しや」である)。要望への関心が低い高齢層でも、「高齢社会対策」以外に「物価対策」においても他世代とさほど変わらない高い値を見せているのが好例といえる。

また、「少子化対策」「税制改革」など、一見若年層が無関心な姿勢を見せているように伝えられている問題も、概して若い世代ほど要望への回答率が高い。実情は印象とは異なることを把握できる次第である。無論「雇用・労働問題への対応」は若年層ほど高い値を示し、30代までは「高齢社会対策」よりも上位についている。切実な問題であることをうかがわせる。

なお今件はそれぞれ独立した項目で「要望のある・無し」を尋ねているが、本来政策は多数項目が連動して行われる(べき)もの。どれか一つの政策のみに焦点を絞って注力しても、他の項目が足を引っ張られることになり(リソースは有限)、結局マイナスの影響を受けた項目が注力した部分にも悪影響を及ぼし、全体的な環境も悪化してしまう。それぞれの項目の連鎖性・波及効果を思慮深く考慮した上で、政策方針が決定され、具体的施策が打たれるべきであることは言うまでもない。


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