2016年6月度外食産業売上プラス2.0%…7か月連続で前年比プラスを計上

2016/07/26 05:00

日本フードサービス協会は2016年7月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2016年6月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス2.0%を計上した。前年同月と比べると全国的に気温が高かったことなどが外出気運をけん引し、またファストフードの売上が順調なことを受け、プラスとなった。昨今では軟調さを見せ始めたファミリーレストラン部門は価格訴求力のある商品展開が功を奏し、わずかだが前年同月比で売上プラスを示している(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が188、店舗数は3万2994店舗。今月は前月と比較すると事業社数・店舗数共に減少している。

全業態すべてを合わせた2016年6月度売り上げ状況は、前年同月比で102.0%となり、2.0%の増加を記録した。これは先月から継続の形で7か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土日共に日数は変わらず、影響は与えていない。また東京と大阪に限定すると雨天数は1日から2日多くなっているが、全国的には気温は高く、関東でも降水量が少なく(関東の水がめに雨がなかなか降らず、水不足が生じていることはご承知の通り)、これが外出、店舗への来客気運を底上げしている。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で7か月連続のプラス(プラス4.8%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかけとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続している。直近でその最たる問題として大きな話題となった異物混入騒動による売上の大幅減は2015年1月に生じており同年6月もまだその影響は少なからず、今回月はその値との比較となるため、客単価・客数共に上昇。売上高はプラス5.9%を計上した。ただし前年同月における売上の前年同月比はマイナス12.8%を示したため、リバウンド以上のものでは無い。洋風の2年前同月比を試算するとマイナス7.7%となる。年換算ではマイナス3.9%ほど。

マクドナルド単体の2016年6月における営業成績はプラス18.5%(売上、既存店、前年同月比)とそれなりに大きな上げ幅を示しており(上げた理由も洋風全体と同じでリバウンドによるもの)、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる。なお同業他社のモスバーガーではプラス4.3%(同)を示している。こちらはリバウンドによるものでは無い。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス8.2%、客単価はマイナス0.4%と成し、売上はプラス7.8%とプラスを計上。「クーポンやキャンペーンが客数増に貢献し」との言及があるが、恐らくは松屋の創業50周年に伴う500円キャンペーンによるものと思われる。持ち帰り米飯・回転寿司は店舗数の減少に伴う客数減退が足を引っ張っり(マイナス3.0%)、客単価の上昇(プラス1.7%)でもサポートしきれず、売上はマイナス2.1%に。

ファミリーレストラン部門は和風と焼肉以外はいくぶんの軟調さを見せ、ぎりぎりのプラス(プラス0.4%)。焼肉はプラス5.1%、和風はプラス1.1%。和風の堅調さはランチ時間帯などの売上が功を奏し、焼き肉は大学生など限定の学割キャンペーンが成果を挙げたと説明されている。パブ/居酒屋部門では客単価が今一つで売上もややマイナス。居酒屋は店舗数の減少に歯止めがかからず、客単価も落ち、マイナス11.6%と大きな売り上げ減を計上している。これは前月に続き、区分別最大の下げ幅。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客単価がやや落ちたが客数は堅調で、売上はプラス。ただしリリースに「店舗数の増加により」とあるように、実質的には店舗数の増加によって底上げされたに過ぎない。また「価格が低めのメニューが好まれる傾向が出始め客単価を下げているが」とあるのが気になるところ。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年6月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年6月分)

天候要因では
好天で客足の後押し、
客数は増加。
リバウンドも合わせ
ファストフードが全体の
けん引役を果たし
ファミレスも
ギリギリプラスとなり
全体でもプラスを計上。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。業績そのものも回復、少なくとも下落の勢いにブレーキがかかりつつある。ここ数か月全体として売り上げが前年同月比でプラスを示しているのは、好ましい話に違いない。ただし上記でも触れているが、今回の全体値のプラス計上に大きな貢献を成したファストフードにおける大きなプラス値は、多分に前年同月における大きな落ち込みの反動によるところが大きい。実質的にはマイナス基調にあるとの解釈もできる。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしていた。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れていた。今回月も前回月同様、客単価がわずかに落ち、その分客数が増加して売上に貢献しているが、これは上記の通り松屋の50周年記念に伴うキャンペーンの影響が多々あり、一過性の動きに過ぎない。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。店舗数の急速な減少は、状況の悪化を受け、淘汰が進んでいるように見える。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告もなされ、その市場の実情が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2016年6月は既存店で客数マイナス0.2%・客単価プラス1.4%、売上高プラス1.2%を計上している。店舗数は5.4%の増加)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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