雨模様で客足遠のくも客単価が好調で売上は底上げ…2016年6月度のコンビニ売上高は既存店が0.8%のプラス、2か月ぶり

2016/07/21 10:00

日本フランチャイズチェーン協会は2016年7月20日に、コンビニエンスストアの同年6月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でプラス0.8%となり、2か月ぶりのプラスを示すこととなった。梅雨前線の活性化で西日本や北日本で降水量が多く客足は遠のいたが、カウンター商材や中食が順調に推移し、気温の高さから冷え物もよく売れ、客単価は大きく上昇し、売上高はプラスを計上する形となった(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は2か月ぶりのプラス、全店は40か月連続のプラス
全店ベース……+3.5%
既存店ベース…+0.8%

●店舗数(前年同月比)
+2.4%

●来店客数:既存店は4か月連続のマイナス、全店は63か月連続のプラス
全店ベース……+2.1%
既存店ベース…−0.7%

●平均客単価:既存店は15か月連続のプラス、全店も15か月連続のプラス
全店ベース……+1.4%(606.0円)
既存店ベース…+1.4%(597.8円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……+0.7%
加工食品……+1.0%
非食品………±0.0%
サービス……+3.7%
合計…………+0.8%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

6月は梅雨前線の影響を受け、東日本以外の地域で降水量が多く、来客数の上ではマイナスに作用することとなった。他方、気温が高めに推移したことから冷麺やアイスクリームなどの冷え物がよく動き、単価は上昇。結果として売上の観点ではポジティブな値が計上された。

他方、コーヒーをはじめとしたカウンター商材、惣菜などの各種中食関連品などは良く売れており、これもまた客単価の底上げに貢献している。チェーンストアの月次業績報告でも中食系食材の堅調さが継続していることが伝えられており、中食需要の高まりを販売サイドからもうかがい知ることができる。

たばこや雑誌に絡んだ特記事項は見受けられない。前年同月と比べてとりわけ大きく売り上げが落ちた、あるいは伸びた動きは無いようだ。

商品構成別の売上高(既存店ベース)の動向を確認すると、淹れたてコーヒーや惣菜の堅調ぶりで全体をけん引する日配食品はプラス0.7%、加工食品はプラス1.0%、非食品はプラスマイナス0.0%となった。客数が既存店ベースでマイナス0.7%であることから、計算を単純化するためにシンプルにその分を足し引きして考慮すると、日配食品や加工食品は実質面では売り上げを伸ばしている、非食品もいくぶんながら順調であると推定できる。またサービスはプラス3.7%とプラスが生じているが、前年同月ではプラス17.0%の値を示しており、ここからさらにプラスをはじき出したのは大健闘と評価できる。

2014年夏まではガソリン代の高騰が来店機運の足を引っ張り、集客の観点でマイナスに働いているのではとの懸念があった。昨今では原油価格の安値安定化に伴いガソリン代も安値で落ち着いており、その観点における心配は薄れている。一方でここ数年来懸念されていたたばこや雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止の状況にあるようで、報告書の言及にたばこや雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は見られなくなった。ただし雑誌はともかくたばこの減退ぶりは、非食品項目の動きの鈍さから容易に想像はできる。

セブンカフェ&ドーナツ数年前まではコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。

たばこは機会あるたびに税負担の上乗せが論議されている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化はない。今年4月からは一部銘柄で、税引き上げとは無関係な値上げが実施されたため、販売数の減少はさらに加速することは容易に想像できる。一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうにないが、コンビニにおける同じ印刷物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2015年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも1000店舗をめどに書籍中心の専用棚設置が計画されており、今後非食品項目に影響を及ぼす可能性が出てきた。地域書店の閉店が相次ぐ中、うまく出版物の需要をコンビニがすくい取ることができるのか、注目したい動きではある。また一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻しの気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツも良い例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。上記でも言及しているが、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。

イレギュラー的要素によって生じた軟調な環境の中でも、コンビニは堅調な売り上げを維持できる軸の模索を多方面で進めている。関連他業界を巻き込む形で、さらには生活様式の変化まで起こしながら、今後も多様な動きが見られそうだ。


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