読売のみプラス、最大部数減少は朝日の8.8万部減…新聞の販売部数などをグラフ化してみる(2015年後半期・半期分版)

2016/02/06 15:00

当サイトでは主に年単位で日本新聞協会発表の公式データを基にした、そして読売新聞社の広告ガイドページで半年単位で更新・公開されている日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」を基に、日本の新聞業界の動向を精査している。その後者について2016年2月5日付で、最新版となる2015年後半期の分のデータ掲載を確認することができた。そこで今回はその最新値を基に、日本の主要新聞社の新聞における発行部数の現状を確認していくことにする。

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前半期比では読売のみプラス、最大下げ率は毎日


まずは主要全国紙、具体的には読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞(日経新聞)・産経新聞の計5紙における「販売部数」。これは【読売新聞広告ガイド】からリンクをたどり、【販売部数の公開ページ】に掲載されている、「日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2015年7月-12月平均」で取得することができる。該当半年間におけるで平均値であること、朝刊「販売」部数のみで夕刊は含まれないことに留意する必要がある。また電子版は含まれておらず、紙媒体としての新聞販売部数に限定されている。

↑ 2015年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)
↑ 2015年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)

読売新聞は数年前まで「販売部数1000万部超」をセールスコピーとして用いていた。他誌と比べて「ケタが違う」部数はそれだけで大きなセールスポイントとして呈することができた(「いっせんまん」の言葉の響きは大きなパワーがある)。しかし2011年前半期でその大台を割り込み、以後販売部数の減少が続いている。今半期では部数漸減の動きに歯止めをかけ、主要全国紙の中では唯一前半年期比でプラスの値を計上した。もちろんトップの部数は維持している。

読売新聞に続く部数を計上しているのは朝日新聞、そこから部数を半分以下に減らして毎日新聞、日経新聞、そして産経新聞が続いている。各新聞社の順位はこの数年、少なくとも当サイトで各紙の部数動向の精査を始めて以来変化は皆無。各新聞の部数の差異から考察する限りでは、毎日新聞と日経新聞との間で順位変動が起きる可能性が一番高いが、各紙とも下げ基調の中にあるため、順位そのものの差し替わりの機会はなかなか無さそうだ。

読売新聞が部数の上で他紙と比べて優位な位置を維持しているのは、【「東洋経済の2010年 2/20号 特集:再生か破滅か……新聞・テレビ 断末魔」】によると「ホテルなどへの営業が功を奏している」のが大きな要因とのこと。ただしここ数年は下げ幅が大きくなっていることから、それらの場面での需要も減退している可能性はある。

朝日と毎日が1%超えの下げ幅


続いて公開値を基に独自算出した値を用い、複数の比較グラフを生成し、状況のより詳しい精査を行うことにする。まずは前半期、今回ならば2015年前半年期との差異を比率化したもの。単純計算で、半年の間の変動部数を確認できる。

↑ 2015年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2015年前期との比較)
↑ 2015年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2015年前期との比較)

昨今新聞界隈はデジタルツールの普及、その普及に伴う情報のハードルの低下によって新聞の業界内部体質が明らかとなり、また軽減税率に絡んだ新聞業界の主張における世間一般の思惑とのかい離ぶり、そして朝日新聞の「二つの吉田問題」など、新聞そのものの意義や信頼性が大きく問われる情報が次々と明らかにされている。各種調査でも全国紙に対する存在意義が改めて問われるような結果が出ているが、それが色濃く残る結果が数字となって表れている。

毎日新聞と朝日新聞が1%を超える下げ幅、それに産経新聞が続き、日経新聞が小幅な下げ幅。そして読売新聞はわずかではあるがプラス。朝日新聞の軟調ぶりは前半年期からの継続。読売新聞はこの数半期は少しずつ下げ幅を縮小しており、今回ついにプラスへと転じた。前半年期比で1%位までは誤差的変動とも解釈できるが、それを超える下げ幅はさすがに「低迷」と判断せざるを得ない。今半年期ならば朝日新聞と毎日新聞がその「低迷」に該当することとなる。

詳細な部数算出、グラフ生成は省略するが、部数の増減においては、朝日新聞のマイナス8.76万部がもっとも減少部数が大きく、毎日新聞のマイナス5.05万部が続いている。それぞれ単純計算で、毎月1.46万部・0.84万部の減少が生じていることになる。

世帯普及率は読売と日経以外で低下


最後に世帯普及率の算出。これは全世帯に対して各新聞が届いている世帯の比率を表したもの。例えば読売新聞は15.85%とあるので、大体6世帯に1世帯は読売新聞を取っていることになる。

↑ 2015年後期における主要全国紙の世帯普及率(2015年前期との比較)
↑ 2015年後期における主要全国紙の世帯普及率(2015年前期との比較)

朝刊は世帯単位で定期購読される場合が多く、また世帯構成員全体が目を通す可能性が高い。今件は単純な朝刊の販売部数よりも新聞市場・業界のすう勢を推し量る指標として有意義な値である。これを見ても読売新聞の絶対的なポジションをはじめとした、各主要紙の現状がつかみ取れる。

今半期では、読売以外は部数を減らしており、当然のことながら世帯普及率も減少している。ただし日経新聞は部数減少が最小限に留まっているため、少なくとも少数第二位までの表記では、前半年期と同率に留まっている。やはり部数の下げ率が大きかった朝日新聞と毎日新聞において、明らかに前半年期から棒グラフの長さが凹んでいるのが分かる。

注意事項を挙げるとすれば、世帯普及率の動向は、漸増する世帯数にも影響を受ける点。人口は漸減しているものの、一人暮らし世帯が(若年層と高齢層で)増えるため、世帯数は増える。そして一人暮らしの世帯では新聞の購読率は落ちるため(読み手が一人しかおらずコストパフォーマンスが低くなる、世帯収入が二人以上世帯より低いので可処分所得が下がり、新聞購入の余裕が無くなる)、世帯普及率はマイナスのプレッシャーを受ける形となる。



日経新聞電子版の有料会員数各紙の販売部数の減退の一つの要因に、購読者の一部が紙媒体版から電子版に切り替えたため、紙媒体の新聞販売部数としてはカウントされなくなったのでは、との説が挙げられる。各紙とも何らかの形で電子版を展開しているが、定期的に展開状況が把握できる値を公開しているのは日経新聞のみ。現時点で容易に取得できるデータとしては【日本経済新聞 媒体資料 2015(PDF)】が確認できるが、それらによると

・朝刊購読数…316万9211

・朝刊(紙媒体)販売数…273万9027部

・電子版有料会員数…43万0184
 うち朝刊と電子版の併読…19万7178
 うち電子版単体購読…23万3006

となる。販売数ではなく購読数の表現が用いられているのは、日経Wプラン(紙と電子版の双方を読むプラン)で重複カウントをしているため。「読者数」「販売数」の概念としては、仮に有料電子版も読者として想定するのなら、273万9027(紙媒体購読者数)+23万3006(電子媒体のみ購読者数)=297万2033との概算値が出る。また現状では紙媒体の新聞部数の8.5%の値が、電子版のみの購読者と成り得るとの指標が算出できる。例えば100万部の発行部数を誇る新聞ならば、8.5万人が電子版のみの購読者として期待できる。

もっともこれは2015年7月時点における、日経新聞の事例。他社新聞社は恐らくこれより下回る部数・比率であることは容易に想像ができる。また無料登録会は各紙ともそれなりに人数がいるはずだが、今件における紙媒体の新聞(当然有料)と合わせて考えることは、かなり難があるので考察には加えない。

過去のデータを確認する限り、日経新聞に限れば有料電子版単体の購読者、つまり紙媒体の新聞の代替的存在の数は漸増をしている。例えば前半年期(2015年1月時点)との比較では、電子版有料会員数は約3万9000人、そのうち朝刊と電子版の併読は約1万3000人、電子版単独の購読は2万6000人、それぞれ増加している計算になる。今回計上された前半年期との紙媒体としての新聞の部数推移はマイナス約4000部なので、電子版単独の購読者の増加でほぼ補完され、さらに上乗せした形となる。つまり半年期単位では電子版はビジネスの上で成功を収めていると見なすことができる。

もっとも今回のような順調な伸び方が、今後も期待できるかは未知数。そして他の4紙も電子版に関しては、ビジネス的な成功を期待することは、現時点では難しい。公開できるだけの実績を挙げていれば、電子版の有料会員数、つまり紙媒体の購読者の代替的な存在数について、定期的に公知ができるはずであり、それが成されていない現状からは色々と察せざるを得ない。

インターネットの普及、スマートフォンやタブレット型端末の浸透に伴い、情報の取得スタイルは大幅に変化し、メディアの価値観は変動を続けている。その荒波を乗り越え、しかも新聞としての大義を忘れることなく品質を維持し、新時代の担い手として支持を得続けることができるか否か。努力と検証、そして決断が求められている。その選択の正しさは、部数にも反映されるに違いない。


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