アメリカの新聞発行部数などをグラフ化してみる(2011年分まで対応版)

2012/09/25 07:00

新聞のグラフ以前【アメリカの新聞発行部数などをグラフ化してみる(2009年分)】でアメリカの新聞発行部数動向などをまとめてグラフ化したが、その後取得元のアメリカの新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」におけるデータ更新が止まり、記事の展開も滞る状態が続いていた。アメリカの調査機関【Pew Research Center】の報告書で内容的な部分の一部は補完できたものの(【アメリカの新聞動向をグラフ化してみる】)、継続的な動向確認のためには、やはり定期的に情報公開をしている場からのデータ取得が望ましい。そこで逐次チェックを続けていたところ、ようやく昨月8月から今月9月にかけて、各種データの展開が確認された。そこで今回は更新版として、2011年分まで対応させた形で発行部数などを抽出してグラフ化し、アメリカでの新聞業界の動向を眺めることにする。

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データ取得元はアメリカの新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」のサイト内にある、【Trends & Numbers】のコーナー。ここから「Circulation」、そして「Total Paid Circulation」を選べば発行部数や発行紙数などが確認できる。ただしデータ取得が出来なかった2011年の際に掲載される予定だった2010年分は、一次データの公開元で何らかの問題があったらしく未公開のままとなっている。

まずはNAAによる新聞購読者の年齢階層。以前の記事と比べて年齢区分が随分と大雑把になっているが(2008年以降はこの区分で算出されている)、大まかな動向は確認できる。さらに男女比のデータも公開されていたので、こちらも合わせてグラフ化をする。

↑ アメリカの新聞読者層(世代構成、2012年)
↑ アメリカの新聞読者層(世代構成、2012年)

↑ アメリカの新聞読者層(性別、2012年)
↑ アメリカの新聞読者層(性別、2012年)

今件データでは電子媒体・紙媒体双方合わせた値が収録されている。公開データを見る限り、電子媒体版のみの購読者はさほど多くないため、それほど気にしなくても良いだろう。ともあれ、新聞購読者全体に占める若年層の割合は小さく、高齢層が多数を占めていることに違いは無い。また日曜版がやや平日版(通常版)と比べて若年層・女性にウケが良いのは、エンタメ性が強いのとクーポンのおかげ。

それではまず、21世紀に入ってからの発行紙数と発行部数をグラフ化する。「紙数」とは発行されている新聞の種類の数。例えば読売・朝日・毎日・産経・日経しか無いとすれば、「紙数」は5紙となる。

↑ アメリカの新聞紙数(-2011年)
↑ アメリカの新聞紙数(-2011年)

↑ アメリカの新聞発行部数(千部)(-2011年)
↑ アメリカの新聞発行部数(千部)(-2011年)

「紙数」全体は漸減という程度だが、夕刊紙が勢いよく減り、その分朝刊紙がその穴埋めをしている状況が分かる。採算ベース・読者ニーズという点でより危うい夕刊紙がバタバタと倒れているようすがうかがえる。

一方、「紙数」以上に「発行部数」の減少は著しく、【1年間で98万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2011年分・新聞業界全体版)】で触れた日本の新聞業界以上に火の車状態なことが分かる。同じ領域で「前年同期比」を算出すると、それがより一層把握しやすくなる。

↑ アメリカの新聞発行部数(前年比)
↑ アメリカの新聞発行部数(前年比)

夕刊は元々「潜水艦の潜望鏡深度状態」だったのが、2003年以降は「深々度潜航」へと移行。朝刊もほぼ同じタイミングで下落し始め、2007年あたりからはフリーフォール状態。インターネットによるニュースの配信が活性化し、紙媒体のシェアを本格的に奪い始めたのが2007年頃なので(傾向は2004年-2005年あたりから見え始めていた)、「夕刊は元々衰退傾向にあったのがインターネットによって加速化した」「朝刊はインターネットによるニュース取得のスタイルが普及するのと連動して減少傾向を強めつつある」と見てよい。さらに2007年以降は不景気によるところも大きい。

2011年分については前述の通り2010年分データが無いため、2009年の値と比較し、それを2分する形で値を収録した。やや不規則な形になったが、朝刊の発行部数が一時的に持ち直していることは確かである。

これを長期データで見ると、新聞のすう勢が単にインターネットの普及によるものだけではないことが分かる。

↑ アメリカの新聞紙数(長期データ)
↑ アメリカの新聞紙数(長期データ)

↑ アメリカの新聞発行部数(長期データ)
↑ アメリカの新聞発行部数(長期データ)

↑ アメリカの新聞発行部数(前年比)(長期データ)
↑ アメリカの新聞発行部数(前年比)(長期データ)

夕刊紙の紙数減少は昨今に始まった話ではなく、1970年代後半からの継続でしかないこと、朝刊紙は漸増しているが夕刊紙の減少ぶりを補うことはできず(それだけ紙数的に市場動向にあわせて適性化したともいえる)、全体としては減少を続けている。

また新聞の発行部数は夕刊紙の減少・朝刊紙の増加に合わせてそれぞれ減少・増加をしているが、1990年代後半には朝刊紙の部数増加も止まり、以降は減少の一方。インターネットそのものの普及やインターネット経由でのニュース取得の浸透「以前」から、新聞周囲の環境が厳しさを増していたのは、日本と同じである(【アメリカの人種別出生率の詳細をグラフ化してみる】にもあるように、アメリカの合計特殊出生率は人口置換水準前後を行き来しており、人口の減少が新聞部数の減少につながるとする推論は成立しない)。



新聞とグラフ数字を見る限りでは日本同様にアメリカの新聞業界においても、元々規模の縮小や構造変化の動きがあり、インターネットの普及によるニュース取得スタイルの社会的な環境変化が、業界周りの動向を加速させただけに過ぎないことが分かる。そして21世紀に入ってから、特に2005年-2007年以降の動きはこれまでに無かったレベルのものであるのも確認できる。

今後、例えばインターネットが使用できなくなるなど環境の劇的な変化がない限り、この流れを押しとどめることは不可能と考えて間違いない。紙媒体における新聞(の需要)が無くなることは無いが、さらなる再編を求められることは誰の目にも明らか。

なおNAAは今回データ公開に際し、データ内部の一部リニューアルを敢行。発行部数などの項目で直近数年間分に関しては「紙媒体版」と「電子版」は同等の販売実績として扱い、各種値を再計算の上、収録している。機会があればこれらの値にも目を向けてみることにしよう。

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