ようやく底打ち感を見せた市場観指標、6か月ぶりに上昇…野村證券、2016年7月分の個人投資家動向発表

2016/07/17 11:00

野村ホールディングス(8604)のグループ会社野村證券の一部門である「グローバル・リサーチ本部」は2016年7月14日、個人投資家の投資動向アンケート調査における結果報告書「ノムラ個人投資家サーベイ」の最新版(2016年7月分)を公開・発表した(【野村證券リリース一覧ページ】)。その内容によれば今後3か月後の株価見通しを調査対象母集団に尋ねた結果で算出される「ノムラ個人市場観指数」は、先月から転じる形で上昇し、35.6を示すこととなった。株価の先行きに関しては小幅な下落見込みが大幅に減り、大幅上昇への見込みが同程度増加、回答当時における今後の株価予想が前月よりは強気感の中にある状況を示している。

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今調査は1000件を対象に(有効回答数が1000件に達した時点で締切)2016年7月4日から7月5日に行われたもので、男女比は83.7対16.3。年齢層は60代以上がもっとも多く35.7%、次いで50代が29.8%、40代が26.0%など。金融資産額は1000万円-3000万円が一番層が厚く26.5%、500-1000万円未満が19.1%、5000万円以上が15.9%と続いている。回答者の投資経験年数は20年以上が最高比率で32.8%、次いで10年-20年未満が31.6%。比較的長期間投資に携わってきた人が多い。

投資に対して重要視する点は、おおむね長期投資が最大値で46.1%と4割強でもっとも多い。ついで配当や株主優待が29.1%と3割近く。短中期間の売買に伴う売却益より、配当収入や優待確保などの中長期的な安定感を求める投資方針が多勢(7割強)を占めている。

詳細はレポートで確認してほしいが、概要的には次の通り。

・3か月後の株価見通しを示す投資指数は35.6ポイント。前回の26.4から9.2ポイントの上昇で先月から転じる流れ。この時期、日経平均株価は前月比で800円強の下落を示していたが、その時点において今後は上昇を予想する人が増えた形となる。市場の急速な下落を受け、反発を期待する人が多かったものと考えられる。

・3か月後の日経平均株価の上昇を見込む比率は合計で67.8%。前月分の63.2%からは4.6%ポイント上昇。こちらも投資指数同様の動きを示している。「1000円程度上昇」「1000円程度下落」「2000円以上下落」の回答率が前月から減り、「2000円以上上昇」「2000円程度上昇」「2000円程度下落」が増加。特に「2000円以上上昇」が大きく上昇し、市場観が強気な様子がうかがえる。

・市場に影響を与え得る要因としては「国際情勢」が最大要因で回答率は大幅に増加。「為替動向」「国内政治情勢」が続くがいずれも前月からは大きく減少している。

・魅力的な業種は「医薬品」「資本財・その他」「通信」「消費」「運輸・公共」の順で、ここまでがDIではプラス。そして「素材」「電気機器・精密機器」「自動車」「金融」はマイナス圏。「金融」は大規模なマイナス圏内のポジションを維持。金利政策の影響が「金融」カテゴリ銘柄に関する限りでは、投資家心理にはマイナスとなったのが良くわかる状態ではある。また今回月では「自動車」が大きく下落しているが、これはイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票の結果を受け、大幅に円高が進んだことに伴う、輸出業の業績悪化を懸念してのものと考えられる。

・ドル円相場に対する見通しは強度を問わず円安を予想する声が増加。いくぶんの円高の予想が大きく減少している。イギリス問題で大きく円高に振れた為替相場は天井で、今後戻すとの予想が多い。

・通貨への投資魅力は「日本円」が大きくDI値を底上げしてトップは変わらず、次いで「アメリカドル」が続いている。「オーストラリアドル」「カナダドル」がそれらの後に続き、そこまでがプラス。イギリス問題を受けて「イギリスポンド」はダイナミックなまでの下落を示し(前回比でマイナス22.1ポイントの下落)、中国元を追い越し最下位に付く形となった。

・もっとも注目を集めた金融商品は「国内株式」。次いで「預貯金」「金」。ここ数か月下落が続いていた「国内投資信託」は多少値を戻したが、まだ「金」には及ばない。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」、つまり調査対象母集団における個人投資家が購入したいと考えている銘柄は、鉄板銘柄ともいえるトヨタ自動車(7203)がトップに。この鉄板ぶりは過度の円高の時期に同社株式が低迷した一時期をのぞけば、まさにダイヤモンドのごとし。ただし今回月では上記の通りイギリス問題で大きく円高が進み、輸出に係わる収益への懸念が大きなものとなったようで、回答数も67と、いつもの半数強程度しかない。

1位……トヨタ自動車(7203)
2位……武田薬品工業(4502)
3位……イオン(8267)
4位……みずほフィナンシャルグループ(8411)
5位……ソフトバンクグループ(9984)

トヨタ自動車以外も大よそ鉄板の銘柄ばかりで、変わった動きは特にない。なお、先日上場したばかりのLINE(3938)は今回月では回答数は9票、第15位となっている。

【郵政三社銘柄が異様に強かった理由が何となくわかった気がする調査結果】で言及した、投資家から注目を集めた銘柄の上位陣についた郵政三社だが、今回月ではその姿は確認できない(7票以下の得票しかない)。安定感の強さが株価にも連動しうる要因ではあるが、少なくとも今回の調査では魅力の点で上位陣には今一つ及ばなかったようだ。



今年に入ってから中国市場の急落、原油市場の低迷、さらに為替市場の急激な円高化と欧州における金融危機の再燃リスクの露呈、そして今回月ではイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票の結果を受けた大規模な円高化など、株式市場を大荒れさせる事象が相次ぎ、東京株式市場も軟調状況が続いている。昨今では先日のトルコにおけるクーデター未遂事案も加わり、リスク回避の流れに伴う為替、株式市場への厳しい試練が生じている。

次回の調査時期までに市場動向が持ち直しの機運を持つにいたるのか、それともなお低迷が続くのか。無論前者であることが望ましいのだが。


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