正社員より非正規社員の方が恋愛や結婚をするのは厳しい現実(2015年)

2015/08/03 11:00

内閣府が2015年7月3日に発表した、2015年版の「少子化社会対策白書(旧「子ども・子育て白書」「少子化社会白書」)」では、結婚関係や子供周りの観点から各種統計資料を収録、さらに対応する政策などをまとめている。昨今の子育て問題などを網羅し、検証できる指標が数多く盛り込まれ、注目に値する。そこで今回はその中の記述を基に、正規社員と非正規社員における、結婚観や異性との関係の現状を各種数値から確認していくことにする(【発表リリース:平成27年版少子化社会対策白書を公表しました】)。

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大きく異なる正規・非正規間の結婚の実態


「少子化社会対策白書」では就業状態において正規・非正規間の、異性との付き合い方の現状や結婚観について説明をしている。その一次資料は厚生労働省の【21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)】。これは2012年10月末時点で20代だった男女及びその配偶者に対し、同年から毎年同一人物を継続的に調査していく連続調査である。その第1回調査では、結婚観など多数の調査項目が確認できることから、その公開値を元にいくつかの状況を精査していく。

まずは20代男女の結婚状況を、就業状態別に。「総数」には正規・非正規以外の無職などの人も含めた全体。

↑ 雇用形態・性別・年齢階層別、配偶者の有無(2012年10月末時点で20代の男女、2012年11月時点)
↑ 雇用形態・性別・年齢階層別、配偶者の有無(2012年10月末時点で20代の男女、2012年11月時点)

男女とも歳が上になると結婚率が上がることに変わりはないが、男性では正規社員が20代後半で1/4強なのに対し、非正規では1割足らずに留まっている。女性では逆に非正規の立ち位置の人の方が結婚率は上になるが、これは多分に結婚後に共働きの必要性が生じるからに他ならない。

正規でも非正規でも多数はまだ未婚な状態だが、それでは結婚に対する願望はどのような状況なのか。配偶者が居ない人に限定した結果が次のグラフだが、多数の人は結婚を望んでいる。

↑ 雇用形態別結婚願望(2012年10月末時点で20代の男女のうち配偶者が居ない者、2012年11月時点)
↑ 雇用形態別結婚願望(2012年10月末時点で20代の男女のうち配偶者が居ない者、2012年11月時点)

ただし非正規社員の方が結婚願望は薄い。元々結婚への意欲が無いので非正規での就業状態を望んでいるのか、非正規だからこそ金銭的な不安感を案じて結婚が無理だと判断し、したくないと答えているのかまでは確認できないが、非正規社員の方が結婚願望が薄いことに違いは無い。

また、結婚願望同様、希望子供数も非正規社員の方が少なめに出ている。

↑ 雇用形態別結婚後の希望総子供数(2012年10月末時点で20代の男女のうち配偶者が居ない者、2012年11月時点)
↑ 雇用形態別結婚後の希望総子供数(2012年10月末時点で20代の男女のうち配偶者が居ない者、2012年11月時点)

こちらも結婚願望と同じく相関関係はともかく因果関係までをも説明できるものでは無いが、少なくとも非正規社員の方が正規社員よりも、結婚を望む人は比率的に少なく、結婚を望んでいたとしても子供の数は多く望んでいないことが分かる。多分に就労そのもの、そして金銭的な不安定さが家族構築への足かせとなっていることが想起される。

彼女・彼氏が居る率でも……


具体的な結婚観、子供の希望人数とまではいかなくとも、交際している異性が居るか居ないかにおいても、正規・非正規間に差は生じている。

↑ 雇用形態・性別・年齢階層別、交際異性の有無(2012年10月末時点で20代の男女のうち配偶者が居ない者、2012年11月時点)
↑ 雇用形態・性別・年齢階層別、交際異性の有無(2012年10月末時点で20代の男女のうち配偶者が居ない者、2012年11月時点)

時間の拘束などでは非正規の方が融通は利きやすいはずだが、金銭面や生活の安定性の問題は、異性と付き合う余裕のあるなしにも関わってくるようだ。また、付き合う異性との巡り合いの機会の観点でも、非正規社員は正規社員と比べて恵まれていないのかもしれない。

このグラフの値はあくまでも「配偶者が居ない」、つまり未婚の人に限った値となっている。「仲の良い人同士がすでに結婚した事例が多いのでは」との可能性も考えられるが、上記のように少なくとも男性は結婚率も正規社員の方が高い。すなわち男性は非正規の方が結婚率は低く、未婚者でも異性との付き合いをしている人も少ない、未既婚に関わらず異性との付き合いは難しいとの結果が透けて見えてくる(あくまでも相関関係ではあるが)。女性も未婚者に限れば、非正規の方が異性との付き合いをしている人は少ないことになる。



結婚願望と子供の保有願望は多分に連動している。さらにそれらは異性との交際が無ければ実現は不可能。そしてそれらの多く、少なくとも男性ではすべてにおいて、経済的安定感を持つ正社員の方が高い値を示している。職の安定が生活・経済面での安定を生み出し、結婚や子供保有・子育てへの促進につながることを意味すると解釈できる。「少子化対策は子育て世代の包括的かつ安定感をもたらす経済支援から」との説を、大きく後押しできる結果には違いない。


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