雑誌も含めて市場規模1400億円超え…「電子書籍ビジネス調査報告書2015」発売

2015/06/30 05:00

インプレスグループのメディア事業会社インプレスビジネスメディアは2015年6月29日、同社のシンクタンク部門であるインプレス総合研究所の調べとして、電子書籍の動向、電子書籍に関する市場規模の推計結果を発表すると共に、その内容を詳細にまとめた出版物「電子書籍ビジネス調査報告書2015」を同年7月30日に発行すると発表した。今回はそのリリースで公開された、同調査における一部要項を基に、日本の電子書籍市場動向を確認していくことにする(【発表リリース:2014年度の電子書籍市場規模は前年比35%増の1,266億円 2019年度は2,900億円規模へ成長と予測『電子書籍ビジネス調査報告書2015』 7月30日発行】)。

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今調査によれば直近2014年度(2014年4月1日から2015年3月31日まで)の日本国内における電子出版市場は1411億円。これは電子書籍市場に電子雑誌市場を加えたものだが、電子新聞、教科書、企業向け情報提供、ゲーム性の高いもの、さらには書籍や雑誌提供時の通信費、端末本体価格、各種制作費用、広告費などは該当しない。

↑ 電子出版市場規模推移(確定分のみ)(億円)(-2014年度)(2014年度以降は電子書籍は機種別区分をせず一括)
↑ 電子出版市場規模推移(確定分のみ)(億円)(-2014年度)(2014年度以降は電子書籍は機種別区分をせず一括)

PC(パソコン)向け電子書籍市場は当初全体に占める比率も大きかった。当時の携帯電話では「端末で書籍を購読する」との概念そのものがまだ受け入れがたいものがあったのも一因。しかしモバイル端末(従来型携帯電話)の普及と性能アップにつれ、その比率を下げていく。さらに機動力の低さもあり、モバイル端末全般に押される形で、2007年度をピークに市場そのものも縮小する。無料化が進んだのも「(金額面換算の)市場」が縮小した原因の一つだろう。

モバイル端末では当初従来型携帯電話(フィーチャーフォン)による市場拡大が続いていた。数年前までブームとなり、若年層から絶大なる支持を受けた「ケータイ小説」を覚えている人も多いはず(中には自ら執筆した経験を有する人もいるに違いない)。ところが2009年度あたりからスマートフォンやタブレットなどの新世代端末の普及に伴い電子出版への展開も進み、それと共に従来型携帯用の市場は縮小していく。2010年度がピークとなり、以後は急速にその規模を縮め、前年度の2012年度ではスマートフォンやタブレットなどの新世代プラットフォームに市場規模の上で逆転されてしまうことになる。

今回一般発表分(2014年度)からは電子書籍において機種別が行われていない。これは従来型携帯電話による電子書籍の提供が縮小の一途をたどるのに加え、機種限定のみの提供サービスが減ったことなど、機種別仕切り分けの必要性が薄れた、意味を成さない状況となりつつあるものに対応したものと考えられる。

その2014年度分だが前年度と比べ書籍の伸びはプラス35%、それに対して雑誌はプラス88%と書籍に比べ2倍以上の伸び率を示している。元々金額が少ないのも一因だが、紙媒体としての雑誌の発売と同じタイミングで電子雑誌版の発売を行う主力雑誌が続々登場するなど、対応誌が増えたのも大きな要因となる。報告書でも「メジャーなコミック誌の月額課金モデルの配信」との言及が見受けられる。また月額課金制度による読み放題サービスの普及も市場拡大の後押しをしている。

今件発表資料ではこれまでの調査結果や業界動向を基にした、インプレス総合研究所による今後の市場動向予想も語られている。

↑ 電子出版市場規模推移(2015年度以降は予想)(億円)
↑ 電子出版市場規模推移(2015年度以降は予想)(億円)

↑ 電子出版市場規模推移(予想)における前年比成長率推移
↑ 電子出版市場規模推移(予想)における前年比成長率推移

先の震災による流通網の混乱や紙・インクなどの素材不足による印刷冊数の減少をカバーするための電子書籍化による提供をきっかけにした、電子媒体体制の加速化、2011年度から2013年度にかけて急速に進んだ携帯電話市場におけるスマートフォンへのシフト化に伴うシェアの変化や市場規模そのもの拡大など、予想がつきにくい要因により、電子出版市場は大きく様変わりする可能性がある。今件予想はそれらの「ゆらぎ」によるイレギュラーな変動は盛り込みようがなく、あくまでもこれまでの状況変化が今後も継続したらという仮定に基づいたものだが、十分に参考になる値ではある。

特に電子雑誌の伸び率が電子書籍を大きく上回っているのが目に留まる。やや大げさな値のようにも見えるが、上記説明の通り大手雑誌が続々参入していることに加え、雑誌の購読スタイルの定額制サービスとの相性の良さを合わせて考えると、あながち大げさなものでもない感はある。

一方、法人、コミュニティサイトを問わず、ビジネスモデルの一環として、無料で電子書籍・電子雑誌を(一部)提供し、その上でプラスα版や完全版を紙媒体として発売する手法も増えている。電子媒体に紙媒体同様の対価を支払うことに抵抗感を覚える人もまだ多い。そこで電子媒体を試供版・プロモーション素材と割り切り、紙媒体を実対価が期待できる商材メディアとする手法である。この場合、コンテンツの量は確実に増えるが、電子出版「市場」規模はそれほどの伸びは見せなくなる。

もっともインターネット界隈は各種技術の発達や市場動向に伴い、大きく様変わりする可能性はある。周辺業界を巻き込む形で、出版物全体としての概念、様相も少しずつ、そして確実に変化をとげ、その中で電子出版市場は拡大を遂げていくに違いない。


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